Blues Para Un Cosmonauta/Horacio "Chivo" Borraro | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 祝 大谷選手 2勝目&猛打賞でAngels首位浮上。やっぱり団体競技はチームが勝ってなんぼ。大谷選手の活躍で首位に立ったAngels、今季こそ優勝めざして頑張ってほしい。

 

 Horacio "Chivo" BorraroArgentina出身のSax奏者。Brasil同様にArgentinaからはジャンルを越えて才能に恵まれた魅力的なMusicianが次から次に登場してきたが、"南米のJohn Coltrane"とも称されているBorraroは、同国のJazz界のLrgendの一人ともいってもよいTenor Sax奏者である。優れた演奏技術はもとより、Hard Bop、Mode、Freeを昇華し、独自の世界を構築したComposer/Sound Stylistとしての才能も注目すべきMusicianである。今年になって『Cuarteto En Vivo』という60年のLive音源がリリースされたのだが、それが良い意味で自分の予想を裏切った作風の素晴らしい出来だった。ベースに偉大なるJorge López Ruíz、ピアノにFernando Gelbard、ドラムスにEduardo Casallaという同国のトップレベルの実力者と組んだこのアルバムは正統派Hard Bopど真ん中で、Borraroは、ぶっとくも歌心に溢れたTenor Saxを吹いているのだ。MonkCole PorterStandardや、The Miles Davis QuintetMarathon Sessionでのアルバム『Relaxin'』でも取り上げられた“If I Were a Bell”といったナンバーをDrive感に満ちたSimpleな心地良さとDynamismで演奏する楽しさが伝わってくるLive盤ならではの快作になっていた。予想を裏切ったと書いたのは、実は Borraroといえば、あまりにも本日ご紹介するCosmicでジャンル越境の名作のイメージが強かったためで、66年作『El Nuevo Sonido』でもHard-BoiledにキメながらJazzの伝統を踏まえた冒険心に満ちた演奏が素晴らしかったのだった。そこには、60年代から欧米に負けじと個性ある才能を開花させてきたArgentinaのJazz、とりわけ60年代後半~70年代前半の、欧州同様に実にInnovativeで創造性に満ちた作品が誕生していった歴史の一コマがあったのだ。

 

 『Blues Para Un Cosmonauta』はHoracio "Chivo" Borraro75年にリリースしたアルバム。 Brasil出身のギタリストStenio Mendesを迎えてContrabassにBaby López Furst TrioQuinteplusのメンバーでLitto Nebbiaとの活動で知られる名手Jorge Gonzalez、Piano、 Fender Rhodes Electric Piano、Moog  Synthesizerを演奏するのは上述の『Cuarteto En Vivo』にも参加していたFernando Gelbard、PercussionにNestor Astarita、PercussionとEffectsに Miguel "Chino" Rossiというメンツでジャンル越境の精神性の高い名作に仕上がっている。Ring ModulatorWah Wahをかけたエレピがいかにも70年代半ばらしいCosmicな音世界を描き出している。BorraroはTenor SaxのみならずHammond、Piano、Electric PianoMoog Synthesizer、Xylophone、Percussion、Flute、Recorderも演奏している。

アルバム1曲目はStenio Mendes作の“Lineas Torcidas”。Mendesの弾くExoticCraviolaの響きに導かれてFender Rhodes Electric PianoをバックにBorraroのTenorスケールの大きい音宇宙を創り出す。

タイトル曲“Blues Para Un Cosmonauta”。

Hammondで始まるCosmicなBluesCancion De Cuna Para Un Bebe Del Año 2000”。Borraroは、この曲ではSaxを吹かずMoog Synthesizerを弾いてGelbardのHammondやPianoと共に謎めいた音世界で魅了する。

再びMendes作となる“La Invasion De Los Monjes”。異国情緒漂う謎めいた香りをまき散らして聴く者を雄大な音宇宙へ誘いこむ。

アルバム最後をシメるのは“Mi Amigo Tarzan”。PrimitiveなPercussionが鳴り響き、Recorderの響きとエレピ躍動するリズム隊Mysteriousな音世界へと誘い込む。そしてBorraroのTenorが炸裂していく。

(Hit-C Fiore)