Peter Gabriel/Peter Gabriel | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Peter GabrielのVocalは実は最初苦手であった。それはGenesis時代にPeter Gabrielが歌った作品を聴いて、当時Punkにのめり込んでいた自分は、中々受け入れられないものがあったから。しかし、本作の1曲目となる”On The Air”、この攻撃的に畳み込んでいくカッコ良さにPunk上がりの10代はシビレてしまったのだ。Peter GabrielはHipgnosisの手によるアルバムのジャケットは、どれも不気味で最高なのであるが、タイトル77年にリリースされた1stソロから82年4作目までずっとPeter Gabriel』で同じや(笑)、これまた最高ですな。興味深いことに、Genesisには抵抗があったが、バンドを脱退したAnthony PhillipsやPeter Gabrielのソロ・アルバムを聴いて気に入った自分は、彼らが在籍していた頃のGenesisを再び聴いて、その魅力がようやく理解できるようになったのであった。まあ、Gabrielのソロでは、なんとっても3作目のアルバムには1曲のみだけど我らがPaul Weller兄貴、そしてXTCDave Gregoryが2曲ほど参加しているわけで、「おおっPeterのおやっさんも、こっち側か」などと大喜びして、86年の大ヒット・アルバム『So』あたりまではリアルタイムで追いかけたものである。2ndアルバムとなる本作では、ベース、Chapman StickのTony Levin、SynthesizerにSynergyのLarry Fast、そして本作のProduceを担当したギターのRobert Fripp先生がデビュー・アルバムから引き続き参加し、新たにドラムスにJerry Marotta、ギターとMandlinにSid McGinnis、鍵盤にBayeté (Todd Cochran)、Roy Bittan、SaxにTim Cappelloといった米国のMusicianが参加しているのが興味深い。なんといっても LevinとMarottaのリズム隊が強力である。個人的には次作が一番好きなアルバムであるが、本作も素晴らしい出来である。

 

 『Peter Gabriel』はPeter Gabriel78年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は”On The Air”。とにかく勢いがあってカッコイイ。Punkからの影響もあったと思わせるAggressiveなVocalと演奏が素晴らしい。

D.I.Y. ”もベースが突き進んでいく下降進行が気持ち良い。PeterのTheatricalなVocalも相まって生み出される摩訶不思議な雰囲気がたまらない。

当時の奥方Jillとの共作”Mother Of Violence”はピアノとアコギをバックにLyricalなMelodyが沁みる。詩情に満ちたVocalも素晴らしい。

A Wonderful Day In A One-Way World”は脱力したVocalと後に開花するEthnicで異国情緒的な雰囲気が面白い。Reggae調英国的ともいえる捻りを加えて独自のサウンドを作り出している。

White Shadow”はMysteriousで摩訶不思議なPeter Gabriel Worldが全開の大好きなナンバー。抒情に流されず、奇妙な浮遊感を伴いながら聴く者を見たこともないような世界へ連れていくRobert Fripp先生の鬼気迫るギターも素晴らしい。

ピアノ弾き語り風で始まる”Indigo”は優美な英国風情が漂い、歌い方は時にどこかDavid Bowieをも思わせる。

Animal Magic”は後のDanceableなGabrielに通ずるナンバー。

共作者として名を連ねるRobert Fripp先生のFrippertronicsが炸裂の”Exposure”。曲のタイトルはご存知の通りDaryl Hallの『Sacred Songs』と本作との3部作と先生はおっしゃっている79年リリースのソロ・アルバムのタイトルとなる。

Flotsam and Jetsam”は2分チョイで終わってしまうが英国の香りが漂う魔訶不思議なLove Songといった感じ。

Hornも入ってPopに弾ける"Perspective"。

最後をシメるのはピアノ弾き語り風のBalladHome Sweet Home”。牧歌的で穏やかな風景が拡がる中にGabrielらしいMelodyがイイ感じ。

(Hit-C Fiore)