John Renbourn名義にはなっているが、BBCの放送音源として届けられたこの音盤には1曲のみRenbournとStefan GrossmanのアコギDuoのLive演奏で、後は全てThe John Renbourn GroupのLive演奏が収録されている。日時は違えど、どちらもLondonのParis Theatreで収録されたものである。言うまでもなく、Pentangleという英国音楽史上、いや全ての音楽史上に残る、伝統音楽やBlues、Jazz、Rockといったジャンルを超越した類稀なるグループを支えた2人の偉大なギタリストの一人がRenbournである。冒険心に富み革新性を追及していったPentangleの5人のオリジナル・メンバーは、それぞれ有能な音楽家であるが、Bert JanschとJohn Renbournというギタリスト2人の持つ高い演奏技術と音楽的な多様性はグループ解散後も素晴らしい作品を生み出していった。個人的にはS.S.W.的な資質を持つ無頼派のJanschの作品がツボではあるが、音楽的な多様性が、さまざまなフォーマットで披露されていったRenbournの活動も特筆すべきだ。たった2枚のオリジナル・アルバムを残しただけではあるが、Pentangleの歌姫Jacqui Mcsheeと組んだThe John Renbourn Groupも個人的にはもっと評価されるべき素晴らしい足跡を残している。本盤では80年の2ndアルバム『The Enchanted Garden』発表時のメンバーでの演奏。新たにFiddle及びDulcimer奏者のJohn MolineuxがSue Draheimに代わり加入している。RenbournとMcshee、Nucleusに短期間在籍したマルチ管楽器奏者Tony Roberts、Tabla奏者のKeshav Satheというデビュー作からのメンバーと息もピッタリだ。やはりMcsheeの歌声は最高だし、Renbournのバッキングとソロも手堅いが、個人的にはOregonを彷彿とさせるTablaの使用とTony Robertsの縦横無尽に駆け抜けるFluteがツボである。
『BBC Live In Concert』はBBCの放送音源の中からLondonのParis Theatreで収録された80年のThe John Renbourn Groupの演奏と、78年のJohn RenbournとStefan GrossmanのDuo演奏1曲を収録したBBCお得意の蔵出し音源シリーズの中の作品。
“All Things That Rise Must Converge”はJohn Renbournと米国人ギタリスト/SongwriterのStefan GrossmanのアコギのDuo演奏。79年発表の2人のDuo作『Under The Volcano』に収録されていた曲で、かつての相棒Janschお得意の指バッチンのバッキングをするGrossmanと、Jazzyな技を見せつつ後半になるにつれてBluesyに弾きまくるRenbournが微笑ましい。
以降の7曲は80年のThe John Renbourn GroupのLive音源となる。
フランス語の歌詞からもわかるようにRenaissance時代のPavane（舞踏曲）“Belle Qui Tiems Ma Vie”。Jacqui Mcsheeの清らかなVocalと少々オッサン入った男性陣のChorusが対照的で面白い。
間を置かずにMedleyで演奏されるのは同様にRenaissance時代の舞踏曲“Tourdion”。三拍子の舞踏曲Galliardの初期形式であるが、Tablaがあることによって不思議な魅力を感じさせる。そういえばRobertsはGalliardというグループにいたなと思ったりして。
John Molineuxが歌う“Douce Dame Jolie”。中世フランスの楽曲に英詞をのせている。
Ry Cooderにも影響を与えたギタリスト/SingernoJoseph Spenceで知られる宗教曲“Great Dreams From Heaven”。
透明感のあるJacqui McsheeのVocalがたまらなく魅力的な“Plains Of Waterloo”。
オリジナルのインスト曲“Sidi Brahim”は個人的に本盤のハイライト。TableにのってTony RobertsのFluteがどこまでも飛翔していく。BluesyなRenbournのギターも心地良い。
最後を飾るのはPentangle時代に『Sweet Child』でも取り上げていた伝統曲“Trees They Do Grow High”。
（Hit-C Fiore)