
Caetano VelosoがCoverした“Ouro de Tolo”で、自分はその存在を知った。89年に44歳の若さで人生の幕を閉じたBrasilの自由奔放な異端派ロッカー、Raul Seixas。Joao GilbertoとLuiz Gonzaga、Elvis PresleyとBob DylanとFrank Zappaに大きな影響を受けたBahia出身の吟遊詩人は、『O Alquimista(アルケミスト - 夢を旅した少年)』で知られる人気作家Paulo Coelhoとのコンビで一世を風靡した。そのHippie Punkな音楽性で知られているが、Ray Davies先生も真っ青な味のあるヘタレVocalが素晴らしい。一昨年観たブラジル映画祭2013ではなんといっても最優秀作品賞を受賞した『Gonzaga - De Pai pra Filho(ゴンザーガ~父から子へ)』に本当に感動させられたが、最優秀ドキュメンタリー賞の『Raul - O Início, o Fim e o Meio(ハウル・セイシャス~終わりなきメタモルフォーゼ~)』にも強い衝撃を受けたのであった。DrugとAlcoholにまみれた破天荒な人生ではあったが、Brazilian Rockを語る時に外せない重要な人物である。Rock'n'Rollに北東部のRhythmを取り入れた“Let Me Sing, Let Me Sing”など、そのぶっ飛んだ発想が面白い。
『Gitâ』はRaul Seixasが74年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はHorn隊とChorus隊にヘロヘロギターが加わったRaul Seixasの脱力Vocalが最高なへなちょこBoogie Rock“Super Heróis”。
今度はStringsが盛り上げる“Medo Da Chuva”。
奇声を発してアコギをジャンジャカかき鳴らすチンピラRock And Rollな“As Aventuras De Raul Seixas Na Cidade De Thor”はSeixasの本領発揮。
牧歌的な弾き語り“Água Viva”。こういう美しいメロディーの曲をふいに唄い出すところもSeixasの面白いところ。
Gorgeousに、そしてJazzyにキメる胡散臭さ爆発のオサレなナンバー“Moleque Maravilhoso”。
一転してLatinなPopsの“Sessão Das 10”。情熱的に歌うかと思えば泣きそうなVocalがおちゃらけ風でもありSeixas節が絶好調。
男性ChorusとStringsをバックにAgitateする“Sociedade Alternativa”。Bruce SpringsteenもCoverしたナンバー。
美しいアコギのArpeggioで始まる“O Trem Das 7”。ここでは真面目な歌いっぷりのSeixasさん。
Slideギターがイイ感じの“S.O.S.”。Folk Rock調なのも楽しい。
ピアノの弾き語り風で始まる“Prelúdio”。Orchestrationも加わってしんみり聴かせる。
Live仕立てのノリノリのRock'n'Roll“Loteria De Babilônia”。
最後をシメるのはタイトル曲“Gitâ”。TrumpetやStrings、鐘の音、男女Chorusが飛び出しSeixas先生のヘタレVocalを盛り上げまくりやす。
◎Sociedade Alternativa/Raul Seixas
(Hit-C Fiore)