L'Uovo di Colombo/L'Uovo di Colombo | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 テレビがないから近所の定食屋さんや正月に実家に帰った時に食事をしながら皆で見ることになる。で、過去には『あまちゃん』とか半沢なんとかとか、それなりに面白い番組に出会うことがあったのだが、このところしばらくそういった出会いはなかった。ところが今年の正月には能年玲奈さんと長嶋茂雄様という日本が誇る超天然キャラの人物がそれぞれ出演した2つの番組に魂を持っていかれたのであった。長嶋さんについては全盛期を知らない自分にとって平成になってからの背番号33の監督時代が一番印象が強いのであるが、この人はやっぱり天才でありスーパースターであるとあらためて再認識。能年ちゃんも同様である。その条件とは見る人たちに勇気や夢や希望を与えてくれる人物ということ。そして、その笑顔が最高だということ。新年早々大きなエネルギーをいただいたのである。
 さて、イタリアらしいエネルギッシュなリズム隊を要するL'Uovo di Colomboというバンド。うねるまくるベースRollでビシバシとオカズを叩きこむドラムス、そして唸るHammondキレキレのピアノは、リハビリというよりトレーニングという長嶋さんの気合入りまくりの前向きな闘争心を思わせる。鍵盤はEnzo Volpini、ベースにはElio Volpini、ドラムスはRuggero Stefani、VocalはToni GiontaというRomaで結成された4人組。ベースのElioはFlea On The Honey出身で後にFleaEtnaに参加した名手。ドラムスのStefaniは後にSamadhiに参加する。

 『L'Uovo di Colombo』はL'Uovo di Colombo73年にリリースしたデビュー作であり唯一のアルバム。
アルバム1発目はいきなり攻撃的なHammondと強力なリズム隊が高いテンションで迫ってくる“L'indecisione (Vedi "I King")”。Sharpなドラムに動き回るベースが激カッコイイ。クラシカルで攻めまくりのオルガン弾き
高速フォービートで始まる“Io”。Vocalはいかにもイタリア的な歌心があるが、それほどくどくないのが良い。
表現力豊かなVoalが光る“Anja (Coscienza E Vanita)”。バックの鍵盤も好プレイ。
おごそかなオルガンで始まる“Vox Dei”。クラシカルな鍵盤さばきにリズム隊はドッシリとしながらも鋭さが光る。Vocalはイタリア特有の歌い上げ系ではなくイイ感じで盛り上げる。
ギターのRiffが激カッコイイ“Turba”。ベースも激しく動き回りHammondやSpacyなSynthesizerも縦横無尽に暴れまくる。切れ味抜群のドラムスも心地良い。
チョイ20世紀の何とかとかを思わせる英国調の“Consiglio”。Chorusやギター・ソロもいかにも、それ風。途中でJazz Rock調を挟んだりするところもニクイ。
優美なアコギで始まる“Visione Della Morte”。VocalChorusもイタリアらしい陽性の輝きが眩しい。と、気を許すといきなりリズム隊が暴れまくる展開、そしてピアノFluteを中心にした抒情的なエンディングに。
最後はあっという間に終わってしまうオルガンとテープ早回しの冗談のような“Scherzo”。
(Hit-C Fiore)