Funkの基本である上半身裸のジャケットが見事。
それだけで中身が極上である事を物語っている。
このアルバムが出た時は相当、興奮して何回も何回も聴いたのを覚えている。
中毒性の高いFunk。
揺らぎとすき間の美学。
独特の間合い、リズムの揺れ、タメ、休符の使い方、音色、Chorus,すべてが快感原則に忠実である。
Loop感を表現した?uestloveのドラミングの妙、このタイム感は尋常ではない。
キックやスネアのタイミングのずらし方一つ一つをとってみても確信犯である事は明確だけど
HIP HOPを体現した人間にしかできないノリ。
一度この快感を覚えると抜け出せない。
どうやら、この揺らぎの美学はD'Angeloの指示によるものらしい。
絶妙である。
リズムのマジックに最初は戸惑うだろうし、決してコマーシャル性を持ったメロディーが頻繁に出てくるわけでもない。
つまり聴きやすい作品ではない。
幾重にも重ねられたChorusもMarvinのごとくエロティックであるが、よりドス黒い。
最初は独特のリズムとメロディー優先ではない曲作りに違和感を覚える人も何回も何回も聴いて欲しい。
この独特のGrooveに戸惑う人も何回も繰り返して聴くうち快感を得られるようになるだろう。
Pino PalladinoのBassはプレベ(Precision Bass )独特のぶっとさとチューニングを下げた実に黒い音。
この低音と鳴りを抑えた弦が作り出すBottomが気持ちよすぎる。
元々PinoはFretless Bassの名手で有名な人だが、このアルバムでは完璧に別世界を作り出している。
職人である。
Pino以外にもBassはRaphael SaadiqとCharlie Hunterと曲に応じて使い分けしているところが憎い。
2000年以降、これを越える官能的なGrooveを持ったFunkに出会えていない。
コレを越えるのは容易ではないだろう。
またD'Angelo自身も数々の問題を抱え、未だに次作をDropする気配もない。
なんでもD'Angeloは完璧主義者らしく作品が完成しても気に入らないと平気でお蔵入りさせるらしい。
ライブ録音も完璧なものがあるらしいが、未だにリリースされていない。
それにしても気持ちよい。
全曲最高。
圧倒的な肉体性を持っているこの音楽の根っこにあるのはBluesである事が重要。
クォンタイズやベロシティーを駆使した打ち込みがジャストなノリから人間っぽいノリを出す90年代的な手法を経て、さらに行き着くところまでいっても、このRawなBeatは絶対に出せない。Erectric Lady Studioで漆黒の闇を抜けて見えてくるのはAfricaであろう。
↓PinoがBass弾いている。(これライブ盤を絶対出して欲しいですな)
“Chicken Grease”のCoolなステージング 。
Hit-C Fiore