Nazz Nazz/The Nazz | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Nazzは大好きなバンドである。

そしてTodd関連で一番好きなアルバムは『Nazz Nazz』かもしれない。

このアルバムは後述の理由(※1)によって不遇な扱いを受けているし全く売れなかったらしい。

音を聴けば、当時としては進みすぎていたサウンドなわけで売れる要素はまったくない。

けれどカッコイイものはカッコイイし好きなモノは好きなのである。


 なぜ自分はこのアルバムが好きなんだろうか?

ToddのMod好きな部分が最も出ているアルバムだから。

それに加えてPhillyPhych Popな部分が上手くBlendされてTodd節としか言いようのない個性が既に発揮されている事。

British BeatPhiladelphia SoulBaech Boys、そしてLaura Nyro好きなToddの凝ったメロディーメイカーとしての才能と独創的なサウンドクリエイターとしての才能が爆発しているから。

それとToddは意外と楽器の音色なんかには無頓着な部分がある(時にシンセの音とか)ようなんだけど、ここでのGuitarとかOrgan音色がTodd関係の中で一番、自分好みだったりする。

それと、どうでもいいけどバンドのメンバーのルックスがカッコイイのも案外ポイントが高い。

(イケメンというよりバンドとしての立ち姿というかバンドとして並んだ姿、雰囲気のカッコ良さみたいなもの)

“Not Too Long” The Nazzの映像

“Open My Eyes” The Nazzの映像(最高!)

とにかく自分にとってストライクど真ん中なのである。


 『Nazz Nazz』は69年に発表されたNazzの2ndアルバム

(※1)当初ToddがLead Vocalをとって2枚組の作品『Fungo Bat』が世に出る予定だった。

傾倒していたLaura Nyroのバンドに誘われて一時はNazzの活動のために断わったToddだったけれど、

メンバーとの音楽的な対立があったのかNazzを脱退してしまう。

録音されていた『Fungo Bat』はToddのLead Vocalを差し替えて『Nazz Nazz』と『Nazz Ⅲ』の2枚のアルバムとして発表されるのであった。


 “Forget All About It

コレだよ、コレ、カッコイイとしか言いようがない。まず、このイントロでノックアウト。

Toddのカッコイイ(連発)ギターソロの後の大サビの部分もToddらしくて最高。

Beach BoysばりのChorusもエンディングも最高。

ピアノで始まりドリーミーなChrusとOrganが気持ちよい“Not Wrong Long

もろBritishな雰囲気でもろなRiffとコミカルなChorusが面白い“Rain Rider”もHammondが良い感じ。

Modなバンドが好きなToddが良くわかる。

Gonna Cry Today”のSentimentalなメロディーとチョッと凝ったコード進行はTodd節全開

ミステリアスな“Letters Don't Count”も凝ったChorusがToddらしい。

A Beautiful Song”はBrian Wilsonばりの夢想的な世界が垣間見れるOrchestrationも登場の大作。

次々と展開されるサウンド・スケープの中で狂言回しとなるToddのギターが素晴らしい。

アルバム最後を飾るこの曲は後のToddのStudio Wizardぶりが既に出ている。

ありふれた売れ線を狙うよりも冒険心や独創性、新しいサウンドの追求の方を選ぶToddは素晴らしい。

本人はやりたい事をやってるだけなのかもしれないが。

デビュー・アルバムほどではないがWhoやCreamといったバンドの影響力から抜け出せない部分もある。

アルバム全体としては方向性がバラバラで焦点が定まっていないし大衆受けするメロディーもない。

でも、そこがToddらしくて最高なのである。

最初と最後の2曲だけでこのアルバムは自分にとっての名盤認定である。


                       Hit-C Fiore