2,000,000 Voices/Angelic Upstarts | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 いつまでたっても、身体動かしてなんぼな体育会系の気質が抜け切らない。学生の頃も頭や気を使う仕事よりも身体を使って汗を流す肉体労働のアルバイトが好きであった。勿論、時給が高いにこした事はないが、自分としては一心不乱に熱中できるのは、そっち系なのである。それなのに、今はまったく正反対の日々を送っている。それゆえにストレスがたまるのだ。本来、自分はそちらの方が向いているのだと思う。今でもたまに、そんな学生の頃のバイト先での夢を見ることがある。先日、そんなバイト先で、色々お世話になったオッサンが夢に登場したのだ。実にうまそうに、握り飯を食べ、水を飲み、スケベで豪快に笑う人だった。今どうしているのだろう?、ふと思った。オッサンは東北から出稼ぎに来ていた人だった。
 さて、このジャケットからもわかるようにAngelic Upstartsは英国労働者階級Punkを代表するバンド。77年にSouth Shieldsで結成された彼らは、ルックスからは力技で押し捲る豪快なPunkを連想するけれど、実は何気に懐が深いところもあるのが面白い。炭鉱夫出身だと言う VocalのMensiを中心に力でねじふせるかと思えば、音楽的に広がりもあるところもみせたり、英国的な陰影を醸し出すところなど、中々やりますな。基本はAnti-fascistで反権力の実に骨のあるバンド。それでいてSongwritingもしっかりして、バンドとしてもタイトなまとまりもあるのである。このアルバムの頃の彼らは実に魅力的だ。その後はキーボードが入ったりして、方向性も変わってしまうけれど、しぶとく生き残って現在も活動中だそうだ。

 『2,000,000 Voices』はAngelic Upstarts81年作の3rdアルバム。
ジャケットのイラストも素晴らしい。当時、英国で深刻になっていた失業問題を象徴しているようなジャケットをじっくり見てみると、あの鉄の女が…
一発目から豪快にとばす“Two Million Voices”。
イントロのリフがカッコいい“Ghost Town”。なんとSaxも入っておりやす。
これまたSaxが入った“Youre Nicked”。Popな味もあるナンバー。
アコギで始まる“England”は、タイトル通り英国的な情緒が感じられる。最後の大合唱も良い。
彼ららしい反権力の語りのみの“Heaths Lament”。
シンガロングな“Guns For The Afghan Rebels”もカッコイイ。
Reggaeの“I Understand”はThe Clashあたりの影響がみられるけれど、ありがちなナンチャッテReggaeではないところに彼らの実力を感じる。
一転してアップテンポの“Mensis Marauders”もまた、Punkらしからぬ彼らの幅広い音楽性が垣間見られる。
拳を思わず振り上げてしまう一番のお気に入りナンバー“Mr Politician”。
これまたシンガロングな名曲“Kids On The Street”はギターがカッコよすぎ。
ラストのナンバーはなんと女性Vocalも入る“I Wish
(Hit-C Fiore)