やっぱり自分にとってこのアルバムは永遠の宝物だ。塩辛いしわがれ声が独特の大好きなVocalist ChappoことRoger ChapmanとギタリストCharlie Whitneyの名コンビ。Familyを解散して、この二人がChapman-Whitneyを名乗り、King CrimsonやFamilyにいたMusicianを始め豪華なゲスト陣を迎えて制作したのが本作である。CrimsonからはベースのJohn Wetton、なんとMichael GilesにIan Wallaceの新旧ドラマー、Multi管楽器奏者のMel Collins、これだけでも豪華なのにFamilyからはベースのRick Grech、VibraphoneのPoli Palmer、さらにJim CreganがBack Chorusで相方Linda Lewisと共に集結。加えて鍵盤にMax Middleton、Jody GrindのTim Hinkley。CongaにはThe Gass~Brian Auger's Oblivion ExpressのGodfrey McLean、StringsのArrangementは名匠Del Newmanが担当ときたもんだ。これだけの豪華な演奏陣が集まった場合、意外にまとまりきれずに散漫な結果に終わってしまうリスクも大きいのだが、そこはFamily結成以来幾戦練磨のChapman-Whitney。全曲書下ろしで、腕達者なMusicianを配して見事に効果的に楽曲をひき立てる名人芸を発揮させる手腕は流石。楽曲自体はFamily時代のBluesやTrad、Jazzを呑み込んだ多彩で捻りのある楽曲によりFunkyでHardな要素を強めにして、時代的にMellowな雰囲気を持ったナンバーも飛び出す硬軟合わせた正に70年代半ばのBritish Rockといった出来である。Family後期から米国南部音楽への香りがより漂うようになったが、本作でも Charlie WhitneyがLap SteelのSlideを効果的に使ったり、Brass隊がNostalgicなJazzの演奏でNew Orleansの下町に突然迷い込んだような楽曲も登場するが、最終的には英国流に仕上げているところが素晴らしい。敢えてChappoのHardなShoutを前面に出さず多彩な楽曲で彼らの懐の深さを感じさせる芳醇な味わいのある作品となった。それ故に派手さこそないが随所に職人芸や小技が光るBritish Rockの名品として聴けば聴くほど味が出るスルメ味のアルバムといえる。彼らもその出来に満足したのか、アルバム・タイトルStreetwalkersをバンド名にして再始動、よりHardでFunk指数の高い名作を生み出していくのであった。
『Streetwalkers』はChapman-Whitneyが74年にRepriseからリリースしたアルバム。
アルバム1発目はCharlie WhitneyのぶっといSlide Guitarで始まるBluesyな“Parisienne High Heals”。中間の展開なんかはこれぞBritish Rockな捻りが最高。勿論、迫力満点のChappoのVocalにシビレまくり。
軽快なピアノで始まるNostalgicなDixieland Jazz仕立ての“Roxianna”も英国南部のPubから一気にNew Orleansの安酒場までひとっ飛びの正に英国の香り漂うナンバー。 Mel Collinsが大活躍。Vaudeville調のメロディを歌うChappoも素晴らしい。
Tropicalな雰囲気漂うBallad“Systematic Stealth”。エレピや WhitneyのSlideやAcoustic Guitarがイイ感じ。Fluteが入るところも気持ち良すぎ。
Mel CollinsのTenor Saxソロが最高なBallad“Call Ya”はこの時期でしか生まれなかっただろうMellowなナンバー。但し例によって一筋縄でいかないところが最高。後半のFunkyでBluesyな展開がお気に入り。こういう曲のChapoのVocalも良いんですな。
雷雨のSEから始まるFunky Rock“Creature Feature”。Del NewmanのStringsが緊張感を高めLinda LewisのBacking Vocalも頑張っているBritish Rockの王道。
Chappoの抑えた歌声が味わい深いLyricalなBallad“Sue And Betty Jean”。Max Middletonの揺らめくエレピも素晴らしい。
Mel CollinsがBrass Arrangeを担当した“Showbiz Joe”もChappoのBluesyなVocalがRetro Jazzなバックの演奏にのって独自のBritish Rockを味あわせてくれる。こういう路線もCahppoは得意なのだ。
ピアノをバックにMonologueが始まる“Just Four Men”。バックのギターの演奏がWhitney節発揮で美味である。
Funkyな重量級のRhythm Sectionを従え、これまた小技も飛び出す“Tokyo Rose”。MelのTenorソロがシビレますなあ。
アルバム最後をシメるのはChappoの本領発揮のHeavyなRock“Hangman”。Stringsも入ったGorgeousなBritish Rock。
◎Tokyo Rose/Streetwalkers
(Hit-C Fiore)