Stéphane Grappelliのアルバムを引っ張り出しては、ご機嫌な気分になることがある。また、時々ふとしたきっかけでGrappelliの軽やかにSwingするViolinを外出先で聴いたりすると、思わず気分が揚がるのだ。Grappelliは70年代に数多くのアルバムを残していて、それらの作品は緑に囲まれたカフェのテラスで夏の心地良い風を感じながら聴くと最高である。気分は70年代、おフランスはParisの街角みたいな感じで、柄にもなく気取っちゃったりして。本作は60年代後半に設立された贔屓にしているFranceのLabel Black And Blueからリリースされた作品で、タイトルからわかるようにStephane GrappelliがJazz Bassist Slam Stewartと組んだアルバムで、30年代から40年代にかけてSlamとSlim Gaillardが結成していたDuo Slim and Slamにかけてある。ちなみにSlam Stewartは20歳でBassistになる前はViolin奏者であったという。本盤は正にGrappelliの優美で流れるように軽やかに歌いまくるViolinにピッタリなStandardを中心に自作曲もまじえ実に心地良く気分爽快になるアルバムに仕上がっている。本当に70年代のStephane Grappelliは充実しまくっていて、とても還暦越えとは思えない、伸びやかで生命感に満ち溢れたViolinに魅了される。もしかして、この時期こそがGrappelliの全盛期なのではと思ってしまうほどである。NostalgicでElegantなSwingというStyleから、さまざまなジャンルのMusicianと共演してHard BopやJazz Rockにも挑戦していったこの時期のGrappelliであるが、本作のような作品は、やっぱり心が落ち着き和むGrappelliの持ち味が十分に発揮されたもので自然と手が伸びる。Stewartのベース、ピアノにJohnny Guarnieri、ギターにJimmy Shirley、ドラムスにJackie Williamsというメンツとの相性もバッチリ。
『Steff And Slam』はStephane Grappelliが75年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はArt Tatumの名演で知られNat King Coleも歌ったStandard“I Would Do Anything For You”。軽やかに小気味よくSwingするご機嫌なOpener。
“Deed I Do”もNat King ColeやElla Fitzgerald、Perry Como、Blossom Dearieらの名唱でも知られる大好きなStandard。これまたStephane Grappelliの小粋なViolinにピッタリである。
42年公開の映画『Casablanca』で有名になったStandard“As Time Goes By”。RomaticなGrappelliのViloinが Johnny Guarnieriのピアノと共に雰囲気タップリで思わず浸ってしまう。
20年代のBroadway Musical『Hold Everything!』で使われた“You Are The Cream In My Coffee”。心弾むピアノで始まり、GrappelliのViloinもご機嫌に歌いまくり。Jimmy Shirleyの鯔背なギター・ソロも良き。
“Sysmo”はGrappelli自身が弾く優美なピアノの演奏。これがまた実に心地良い。
お馴染み“It's Only A Paper Moon”はSlam Stewart得意のBassを弾きながらのScatも絶品である。
Louis ArmstrongやChet Baker、Betty Carter、Ella Fitzgerald、Billie Holidayの名唱で知られる大好きなStandard“You Are Driving Me Crazy”もStwartのScatやGuarnieriのピアノもSwingyで思わず指パッチンのご機嫌な仕上がり。
数多くの映画に使われた大好きなStandard“It Had To Be You”。StewartのMoodyなScatも良き。
“My Blue Heaven”も大好きな曲だが、心ウキウキするSwingyな演奏はギター・ソロ、ピアノ・ソロ、Arcoソロもキマって、いつ聴いても最高。
アルバム最後をシメるのは典雅な自作曲“Flonville”。気持ち良すぎ。
◎As Time Goes By/Stephane Grappelli
(Hit-C Fiore)