Hydrangea/Călătorie-カラトリア-
1. Hydrangea
3ヶ月連続でのリリースとなったCălătorie-カラトリア-のデジタルシングル。
ピアノとストリングスという、シンプルなサウンドで構成された三部作。
タイトルもすべて花の名前で統一されており、本作は6月という季節柄も踏まえてか"紫陽花"が冠されています。
使われている楽器構成は同じにも関わらず、三者三様と言える曲調に仕上げているのは、さすが引き出しの多さを伺わせますね。
本作のポイントは、J-POPでも通用するようなメロディ運びかな。
ピアノの旋律を活かした耳馴染みの良いフレーズが、気持ち良く耳から体に染み渡っていく。
のるさんの歌声も、優しく澄んだ声で歌うことを意識していて、高音でもブレることなく、それでいて繊細な世界観を維持。
聴く人を選ばない楽曲に仕上がったのではないかと。
一方で、歌詞については、前作から引き続き、暗さを帯びています。
痛みや悲壮感が、テーマに沿って雨として描かれているイメージで、ラストシーンは希望なのか絶望なのか。
そのときに聴いた自分の心境によって解釈が変わりそうな、考察の余地を残しており、それが味わい深さになっていました。
サウンドは聴きやすく、歌詞はディープ。
入口を広げて、出口を狭める、刺さったら抜け出せない構造になっているので、中毒性が高い。
なんとなく、節回しや後半の盛り上がりに鬼束ちひろの「月光」を連想したのだけれど、それだけハネるポテンシャルはあるのでしょう。
三部作の完結編にふさわしいと断言できる1曲です。
<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>
「琥珀の花 -alius fabula-」「[kˈəʊmə]」
「 AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ 」「 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ 」