MASS / the GazettE | 安眠妨害水族館

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MASS/the GazettE

 

1. COUNT-10

2. BLINDING HOPE

3. ROLLIN'

4. NOX

5. HOLD

6. 濁

7. THE PALE

8. MOMENT

9. BARBARIAN

10. FRENZY

11. LAST SONG

 

 

長い沈黙を破り、3年ぶりの発表となったthe GazettEのフルアルバム。

先行配信されていた「BLINDING HOPE」をリードトラックに据えた全11曲を収録しています。

 

あえて無観客でのライブは開催しなかったこともあり、随分と水面下での活動に徹していた感のある彼ら。

いい加減、the GazettEのサウンドへの禁断症状が出始める、といったタイミングでのアルバムのドロップは、狙っていたにしてもインパクトが大きく、更には、過去のライブのプレミアム配信も大盛況。

これ以上ないほどの注目度を浴びることとなり、19周年を迎えてもなお、勢いが衰え知らずであることを示していました。

 

本作は、Vo.RUKIさんがほぼ原曲を作り上げ、アレンジについてもイニシアティブを取っているとのこと。

音楽的にはバラエティに富んだラインナップになっている一方で、しっかりと統制がとれて、聴きやすく仕上がっているのは、彼の明確なヴィジョンのもとにアルバムが制作されたからに他なりません。

停滞せざるを得なかった社会に対して、溜まったストレスを発散するかのような攻撃性の高さ。

そこに重なるエモーショナルなヴォーカルライン。

思った以上に"V系然"としている彼らのアップデートされたスタイルには、空白の期間を十分に埋める高揚感があるのです。

 

リードトラック「BLINDING HOPE」は言わずもがなのキラーチューン。

ラウドにまくし立てる部分があれば、繊細な歌メロを奏でていくパートもあって、節目となる10枚目、幕開けを飾ります。

勢いを加速させる「ROLLIN'」も独自性が高く、アッパーなラテン系のノリを、ラウドサウンドに昇華してしまうセンスは抜群でした。

結果として、前半戦は「HOLD」まで一息で駆け抜ける怒涛の展開に。

シンプルに贅肉を落とした中で、バンド演奏から生まれるハードな音像に帰結していて、ある種、源流に立ち返ったアプローチと言えるのかもしれません。

 

後半戦は、歌モノを中心に世界観を構築しつつ、ラストに向けて再び高揚感を高めて。

民族音楽的なアレンジを取り入れた「濁」に、引き算の美学を感じさせる「THE PALE」、そして、アコースティック調のあたたかいバラードに挑んだ「MOMENT」。

似たような楽曲が並ぶことはないとはいえ、純粋にメロディの良さを実感させるナンバーばかりで溜息が漏れます。

「FRENZY」がそこにふっと混ぜ込まれて、凶悪なサウンドでゴリゴリ削ってくる構成も、なんだか面白いな。

 

そして、激しくも美しい「LAST SONG」で最高潮に達するのである。

ラウドなサウンドはそのままに、どこかファンタジックな音色を巧みに織り込んで、衝動性が過ぎるほどのメッセージソングが完成。

この1曲だけでも十分にクオリティの高さを示しており、the GazettEの現時点での立ち位置を照らす道標になっていました。

 

もはや替えの効かない存在となった彼ら。

渇望していた分、ハードルは相当に高くなっていたのですが、なんのそので飛び越えてしまいましたね。

長く聴いていられそうな予感もあり、少し気が早いニーゼロ年代の名盤候補に躍り出る1枚。

 

<過去のthe GazettE(ガゼット)に関するレビュー>

NINTH

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BEAUTIFUL DEFORMITY
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蛾蟇
[reila]

大日本異端芸者的脳味噌中吊り絶頂絶景音源集。

斑蠡~MADARA~