Althaea rosea/Călătorie-カラトリア-
1. Althaea rosea
Călătorie-カラトリア-にとって、約1年ぶりとなるデジタルシングル。
過去に発表したデジタルシングルをまとめたベストアルバム「SINGLE COLLECTION 1995~2010」を配信限定でリリースしたばかり。
それを受けて、仕切り直しの1発目となる楽曲が、この「Althaea rosea」なのですが、まさか、こう来るとは。
バックはピアノとストリングスのみ。
メロディの美しさと歌唱力、そして歌詞のメッセージ性という、音楽におけるプリミティブな要素だけで勝負してきました。
予想を裏切り、想像を超える。
ある種、ヴィジュアル系という文化において、至高の美学を体現しているとも言え、これはやられたな、と。
言ってしまえば、シングルで切ってくるような楽曲ではなく、アルバムの後半に挿入されるシンプルなバラードチューン。
それをシングルとして成立させてしまうタイミングの妙は、従前のように"〇〇年代っぽい、〇〇系っぽい"という枠組みに縛られた中では実現できなかったと思われ、間違いなく、ヴィジュアル博士のるによる音楽プロジェクトとしての成長、あるいは成熟でした。
ここにきて、まだ伸びしろを見せてくるとは。
今更言うまでもないが、凛とした歌声の存在感よ。
勢いで誤魔化せない、音数の少ないバラードに対して、真正面から向き合って期待値を上回る。
これが出来る現役バンドが、インディーズシーンにどれだけいるというのだろう。
歌詞に込めたメッセージを伝える、という表現の部分にも力が入っており、表面上の歌の上手さに留まらず、表現者としてのパフォーマンスの高さも示したと言ったところですね。
オムニバスCDの制作にも乗り出すなど、もっかファン目線からのV系道を追求中。
どのような形であっても、彼の歌が、また聴きたいと思わせる1曲です。
<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>
「琥珀の花 -alius fabula-」「[kˈəʊmə]」
「 AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ 」「 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ 」