Reminiscence of Rose / Călătorie-カラトリア- | 安眠妨害水族館

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Reminiscence of Rose/Călătorie-カラトリア-

Reminiscence of Rose Reminiscence of Rose
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1. Reminiscence of Rose

 

 

ヴィジュアル博士のるによる12ヵ月連続配信企画の締めくくり。

最終章となるデジタルシングルです。

 

自身の音楽的なルーツを辿る"3×4"プロジェクト。

最後のテーマに選ばれたのは、"耽美系"でした。

ギターにex-MeteoroiD、ex-GreeΣの帝さん、ベースにScarlet ValseのShianさんが参加。

衣装協力として、Scarlet ValseのVo.Kakeruさんも名を連ねており、最後を飾るにふさわしい豪華な顔ぶれが揃ったと言ったところでしょうか。

 

壮大なイントロから、しっとりとしたメロディへ。

ワンコーラスが終わると、疾走を開始して、耽美メタルを意識した作風に変貌していきます。

といっても、のるさんの楽曲に共通した歌メロを第一にするというスタンスは変わっておらず、様式美的な構成にはこだわっているものの、必要以上に難解な展開にしたり、メタル、プログレに振り切りすぎていないのがポイントかと。

これにより、昨今の本格メタル主義の耽美系バンドとは差異化ができており、二次創作的なオマージュであることを示したうえで、Călătorie-カラトリア-の個性も打ち出すことができているのですよ。

 

盛り上がるまでが少し長いので、序盤でもうひとひねり欲しかった気はしないでもないですが、走り出してからは爽快。

もっとも、この前半にこそ、オペラティックな歌唱、組曲のような楽曲構成、荘厳な世界観…

オマージュとしての面白さが詰め込まれているわけで、このプロジェクトの総括的な評価としては、無駄と切り捨てるものではないのだよな。

これによってわかりやすくなっているのは事実だもの。

 

気になったのは、狙ってかけたエフェクトなのか、録音環境による偶発的なものなのか、ラジオボイスっぽく歌声が浮いて聞こえること。

バンドサウンドに移行したらクリアに聞こえるのかと推測しておりましたが、結局、このまま押し切っていました。

むしろ、サビの後に歌い流されるコーラス部分のほうがクリアな質感。

好みの問題とはいえ、逆の方がハマったのではないか、と思ってしまいます。

 

なんとなく、耽美に寄せすぎずに美味しいところをとってきた、という印象。

その結果、王道の耽美系バンドよりも、Luinspear等、V系としての矜持も相応に持っていたバンドとの親和性が高まった気がします。

兎にも角にも、デジタルシングルのリリースを12ヵ月連続で行うという途方もない企画。

まずは完遂お疲れさまでした。

 

 

⇒ この作品を聴いた人はこんな作品もおススメ!

 

Voyage in Chronos / Scarlet Valse

 

詳細なレビューは<こちら

衣装協力であるKakeruさんが、まさに本作でのるさんが着ている衣装を使っていた頃の作品。

メンバーチェンジ前で、まだまだ定まっていない部分はありますが、耽美なサウンド、様式美的構成の片鱗は伺えるのでは。

どちらかと言えば歌声は細めで、オペラティックな歌い方は特に見られず。

ただし、それが耽美メタル界隈では個性とも捉えられそうです。

同じ方向性を向いていても、これだけアプローチに違いが生まれるという面白さ。
聴き比べをするために、手に持っていても

 

<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>

「琥珀の花 -alius fabula-」「[kˈəʊmə]」

「WALK」「WoRLD's eND」

「 AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ 」「 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ 」

「Whitely」「桃色レイトショウ」

「Psycho Neuropathy」「the Bottom of Despair」

罪に咲く華~affection of cruelty~

琥珀の花