「Whitely」「桃色レイトショウ」 / Călătorie-カラトリア- | 安眠妨害水族館

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Whitely/Călătorie-カラトリア-

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1. Whitely

 

桃色レイトショウ/Călătorie-カラトリア-

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1. 桃色レイトショウ

 

ヴィジュアル博士のるによる"3×4プロジェクト"の第4弾、第5弾。

それぞれ、配信限定でリリースされたシングルです。

 

まず、4th Digital Singleとなった「Whitely」。

こちらは、12月のリリースに合わせて、冬っぽい楽曲を送り込んできたといったところ。

季節感のリンクというのも、12ヵ月連続リリースの醍醐味でしょう。

 

テーマは、タイトルのとおり"白系"。

そもそも、黒系、白系というカテゴリーは、解釈がわかれるジャンルで。

というのも、前者はコテコテ系、後者はソフビ系へと形を変えていくのだけれど、ソフビ系のバンドが骨太ロックに傾向した時代があったため、源流的な白系バンドがむしろコテコテ系にまとめられてしまうなど、定義の歪みが発生してしまったのですよね。

 

その意味では、難しいテーマだったと思われますが、幻想的な世界観、透明感のあるサウンド、といったところで表現。

解釈が割れない最大公約数的なアプローチで、だからこそ外さない内容になっているのではないかと。

明確なお手本バンドがあるわけではないにも関わらず、このシリーズの中で二次創作的な意味合いがもっとも強いのは、案外、この曲だったりして。

サビのフレーズを繰り返すクリーントーンのギター、Bメロ終わりでのキメ、ハイトーンに抜けていくメロディライン…

三拍子になってから、終盤のたたみかけに入るあたりも、もう"わかっているな"としか。

 

5th Digital Singleは、「桃色レイトショウ」。

アートワークから想像できるとおり、テーマは"オサレ系"です。

こちらは、二次創作というよりも、"本物"といった感覚がバシバシと。

のるさんが現役時代に活動していたのが、オサレ系全盛期だったということもあるのでしょうが、染みついている音楽を、時代に合わせてカスタマイズすることなく、そのまま吐き出したという印象でした。

 

難しい言葉を口語調に砕いた歌詞に、ザクザク、わちゃわちゃしたサウンド、歌い尻を伸ばす部分における独特な抑揚と、挙げればキリがないあるある要素。

中でも、"ここでフォーメーションの振りが入りそう"とか、"ここをライブでは繰り返して煽りパートにするのだろうな"、"メンバー紹介と各メンバーからの煽りで時間を費やしてそう…"なんて想像が膨らむ間奏部分が秀逸。

ライブなんて見てないはずなのに、"ライブで聴いたときは暴れ曲と思っていたけど、音源で聴くと結構メロディアス!"と、記憶の改ざんまで起こってしまうレベルの再現性がありました。

 

なお、ギターとベースは、ex-f.e.sの暁人さんが弾いているとのこと。

 

この曲において、当時のシーンを知るミュージシャンが参加しているのは大きいはずです。

 

段々、ネタとして聴くのがいいのか、マジとして聴くのがいいのか、わからなくなってきた。

明確な誰かの真似をするのではなく、シーン全体を振り返って、その時代その時代の王道を蘇らせる試み。

次はどの辺のジャンルをサルベージしていくのか、残り7ヶ月、予想しながら答え合わせしていくのも楽しそうです。

 

<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>

「Psycho Neuropathy」「the Bottom of Despair」

罪に咲く華~affection of cruelty~

琥珀の花