自己中心的リミッター/DAMY
自己中心的リミッター
2,967円
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1. 心髄
2. milk
3. 喰らい殺す
4. 友達ごっこ
5. 溺愛公園四丁目
6. キンセンカ
7. ままごと
8. chilled
9. 僕らの言葉
10. 以上
残念ながら、5月の渋谷TSUTAYA O-WEST公演をもっての解散が発表されてしまったDAMY。
本作は、2018年にリリースされた2ndフルアルバムです。
1stアルバムの「調教」が、とても個の強いアルバムだったのですが、この「自己中心的リミッター」もなかなかのもの。
1曲1曲に表現したいメッセージを詰め込んで、それに対して向き合っている印象です。
「心髄」、「milk」、「喰らい殺す」と、スタートからDAMYらしいダークで濃厚な世界観。
ただし、「溺愛公園四丁目」のようなレトロチューンでハズシも入れてきて、相互に存在感を高めていました。
特に、Vo.椋さんの歌声のバリエーションが格段に増えていて、今までは同じような楽曲に仕上がっただろうな、というナンバーでさえ、個々のパワーが強化され、独立した輝きを放っていますね。
驚いたのは、バラードの「キンセンカ」。
アルバム収録にあたって、バンドサウンドでリアレンジされているのですが、それでもここまでのストレートなバラードには意外性がある。
切なく、優しく、まさかこんな楽曲をDAMYがやるなんて。
そして、それが思いのほか、似合っているのだから興味深いものです。
一方で、個々の楽曲の強さが、アルバムとしてのバランスを損なっていないこともポイント。
一作目では、どうしても雑多さが目に付いてしまったのですが、小さいところにまとめていくのではなく、更にバリエーションを増やすことで、アルバムとしてのトータル的なバランスを整えようとする逆説的な発想で構成されているのですよ。
バランスが悪くなるのを避けようと思っても、では規則性のある楽曲ばかり並べて面白いか、といったジレンマがあるわけで、だったらバランスがとれる別の曲を作り出そうとする創造性は、キャリアを積んだからこその気付きだったのではないでしょうか。
また、楽器隊も、何気にチャレンジは多いのですよ。
ギターやベースにもソロのフレーズが増えているし、ドラムも贅肉が削がれ、よりタイトに。
重低音をぶつけて細部を潰すのではなく、シンプルに誤魔化しがきかないサウンドを選ぶようになっており、成長しようとする意図を感じます。
そのうえで、最後の最後、「僕らの言葉」と「以上」にて好き勝手弾き倒しているのが、DAMYとしてのプライドなのかもしれません。
もともと2タイプでリリースされることになっていたのですが、諸事情により、1種類のみでの販売に。
結果として、初心者を迷わせることはなくなったと言えましょう。
現時点では集大成としても、まだまだ過渡期と思っていただけに、この続きを聴くことはどうもできなくなりそうなのが心残りです。
ちなみに、リード曲となる「ままごと」が、どうしても人格ラヂオの「溺愛」に重なってしまうのだが、偶然ということでよいかしら。
<過去のDAMYに関するレビュー>