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MIYAVIさんが"雅-miyavi-"名義だった2002年に発表した1stフルアルバム。

初回盤は角度によってジャケットが変わる特殊仕様でインディーズからのリリースでしたが、2006年に通常ジャケットにてメジャーレーベルから再発されています。

 

音楽性としては、Dué le quartz時代の複雑な展開を好むスタイルを踏襲。

ただし、ボーカリストとしてのスキルは未知数だったこともあってか、エフェクトをかけて声を潰すか、囁くような歌い方に徹しての楽曲が中心で、メロディアスに歌い上げるナンバーは避けていた印象ですね。

 

一方で、ギタリストとしてのプレイを前に出したという感じもない。

この時点では、"サムライギタリスト"の代名詞となるスラップ奏法は未開発。

実験的でカオティックなインダストリアルサウンドか、アコースティック風のアレンジかという2極化した作品になっており、幅の広さや、テクニックで魅せる作品というわけでもありません。

 

その結果、やや聴きにくさが先行したイメージ。

独自路線を突き詰めようと、安易なポップロックに流れていないプライドの高さには共感できるものの、ヴィジュアル系コンポーザーのソロ作品、という枠からははみ出ていないのが正直なところで、ex-Dué le quartzのネームバリューに助けられた感は否めませんでした。

 

もっとも、この時代の試行錯誤があったからこそ、ギタリストとしての魅せ方を追求できたのも事実でしょう。

現在の音楽性とは大きく異なってはいても、向いている方向は必ずしも違っていないと思わせる部分も多く、20歳~21歳という若さで本作を制作したということを踏まえれば、ポテンシャルの大きさを十分に感じさせた1枚。

その後の、削ぎ落とせるものはすべて捨てる、といったレベルまでシンプル化していく姿を見ていれば、これだけゴテゴテなサウンドで武装していたこの時期の作品も、人に歴史ありといった観点で面白いのでは。

 

なお、ボーナストラックには、Dué le quartz時代の楽曲「Dear...fromxxx」のアコースティックバージョンが。

本作で唯一と言っていいほど、MIYAVIさんの歌声をはっきり捉えられるという点も相まって、この曲のためのアルバムと評価するリスナーも少なくありませんでした。

実際、この曲を聴く限りでは、ここまでボーカルを押し込めなければいけないほど歌唱力が壊滅的というわけでもないのですよね。

確かにコテコテのメロディアスチューンがハマる歌声ではないのだけれど、味はある。

今となっては、Dué le quartzの路線を継続しなかったのは先見の明があったと断言できるわけですが、もっと歌が聴きたかったよね、というのもリアルタイムで聴いていたファンの本音だったかと。

 

<過去の雅-miyavi-(MIYAVI)に関するレビュー>

SAMURAI SESSIONS vol.2

Fire Bird

The Others
MIYAVI
SAMURAI SESSIONS vol.1
[雅-みやびうた-歌]~独奏~