Fire Bird / MIYAVI | 安眠妨害水族館

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Fire Bird (通常盤)/MIYAVI

¥3,240
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1. Another World
2. Fire Bird
3. Dim It feat.Bones
4. Raise Me Up
5. You Know It’s Love
6. Afraid To Be Cool
7. She Don’t Know How To Dance
8. Steal The Sun
9. Long Nights
10. Hallelujah

"NEW BEAT, NEW FUTURE"をテーマに制作された、MIYAVIさんの11枚目となるフルアルバム。
初回限定盤はボーナストラック付きのCD+DVD+特典ブックレットという豪華仕様、通常盤はCDのみとなっています。

タイアップが付いた「Afraid To Be Cool」、「Raise Me Up」の両A面シングルを含む、全⒑曲。
ジャケットやMV等のアートディレクションはファンタジスタ歌麿呂氏が担当しており、アーティストとのコラボレーション実績を、またひとつ増やした形ですね。

音楽性が洗練され、いよいよギタリスト・MIYAVIの本領発揮といったところ。
前作「The Others」でも十分に最先端の風格を醸し出してはいたのですが、本作では、そこに鋭いギターフレーズを放り込んで、あえて様式美を崩す余裕が生まれました。
アメリカでの生活にも肌が馴染んできたのか、より本場的な雰囲気を滲ませるリズム感を会得。
一方で、時代と逆行するギターでぐいぐいと引っ張るサウンドは、アメリカナイズに対するアンチテーゼのようにも聴こえます。

もともと自由度の高いプレーヤーではありましたが、更に柔軟性を増したアプローチの数々。
ボーカルがある楽曲においても、ギターで紡ぐフレーズのほうがキャッチー性が高かったり、お洒落なナンバーに、ヒステリックなギターフレーズを遠慮せずに押し込んできたりと、予想外のサウンドにゾクゾクする楽曲が続く。
「Another World」、「Fire Bird」のスタートダッシュで、既に掴まれていました。
このスリリングさと高揚感はたまらないな。

柔軟性という意味では、新たなドラマーとのコラボレーションにも挑戦。
長い間コンビを組んでいたBOBOさんの参加曲が大幅に減ってしまったことには寂しさもあるのですが、変化を求めなくなったらもはやMIYAVIさんではないじゃない。
ギターとドラムで大筋を構成する、という前提がなくなったことがプラスに働いたな、と感じる場面が多々あったのも事実。
距離的な問題もあったにせよ、どこかで訪れるタイミングが本作だったのかな、と思います。

必ずしも歌が前に出てこないという点で好き嫌いを分けてしまう部分はありますが、今の彼の魅力は歌謡曲ではなく、総合アートとしての感性。
メイン部分を女声コーラスに担わせたとしてもMIYAVIさんの音楽であるというのがはっきりわかるくらい、個性的なものに仕上がったのでは。
価格面を勘案して通常盤を選んでしまったけれど、ボーナストラックの「Cocoon」も聴いてみたくなりましたよ。

<過去のMIYAVI(雅-MIYAVI-)に関するレビュー>
The Others

MIYAVI
SAMURAI SESSIONS vol.1
[雅-みやびうた-歌]~独奏~