個人資産 / 鬼龍院翔 | 安眠妨害水族館

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個人資産/鬼龍院翔

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1. Love Days

2. メロメロバッキュン

3. きかせて!アンコール

4. Miren

5. バッドエンディング

6. アメリカ

7. ブリリアント ワールド

 

ゴールデンボンバーのボーカリスト、鬼龍院翔によるソロアルバム。

他アーティストに提供した楽曲を中心に収録した、セルフカヴァー作となります。

 

前作は、90年代のヒット曲のカヴァー。

今作も、本来は自分用に作曲したわけではない楽曲のセルフカヴァーということで、ソロ活動の位置づけがはっきりしていると言える鬼龍院さん。

あくまで、自身で歌う楽曲は、ゴールデンボンバー用として書き下ろすという矜持があるということなのでしょう。

 

とはいえ、なんだかんだ作詞・作曲をやっていれば、キリショー節が滲み出てくるもので。

90年代ポップスから踏襲されるキャッチーなメロディや、シンセを多用したアレンジは、もはやお約束といったところ。

ステージパフォーマンスまで考慮する必要がない、という点を踏まえれば、むしろ、こちらのほうが純度が高いのでは、と思えるほどです。

彼の音楽が好きであれば、何も気にせず聴くことが出来るでしょう。

 

一方で、他のアーティストが歌うことを意識して書いた楽曲だからこそ、普段と違う視点も入ってくる。

特に、氣志團に提供された「きかせて!アンコール」については、もともとのリスペクトの強さも相まって、お互いの良さを引き立て合うコラボレーションの醍醐味がバシバシと。

「イミテイション・ゴールド~金爆の名曲二番搾り~」などで、"他アーティストが作りそうな楽曲をオリジナルで生み出す"という観察眼の鋭さを示していましたが、そんな試みを本家を通じて行うことで、鬼龍院さんの引き出しをより広げることに繋がっていたのでは。

 

また、詰め合わせであるにも関わらず、楽曲のタイプが良い具合にバラけているのも良いですよ。

オリジナル作品として発表できる構成になった、というのは結果論かもしれませんが、"ちょっと真面目すぎるな"と思ったところで、2013年にライブで披露されていた待望のネタ曲、「アメリカ」が初収録というのも効いている。

タイトルである「アメリカ」を、クドいくらいに連呼するだけのナンバーで、インパクトは絶大でした。

 

加えて、ボーナストラックであるMUCCの「ブリリアント ワールド」のカヴァーも聴きごたえあり。

トリビュート作に参加した際の楽曲であり、改めて自身のアルバムにも収録されることになったようです。

「アメリカ」の直後に、こんなにも清々しくバラードを歌い上げてしまう振れ幅の広さ。

作品の性質上、独自の世界観を濃厚に、テーマ性を強めてコンセプチュアルに、とはなりませんが、割安な価格設定もあり、十分にコストパフォーマンスが良いと言えるはず。

さすがに他ジャンルまでは、と拾い切れていなかった名曲たちを救い上げる、個人的にもリリースが嬉しかった1枚ですね。

 

<過去の鬼龍院翔(鬼龍院翔fromゴールデンボンバー)に関するレビュー>

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