親愛なる鬼畜サイコ野郎(終身) / ゴシップ | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

親愛なる鬼畜サイコ野郎(終身)/ゴシップ

 

1. DESIRE

2. ヘドロ

3. 面会謝絶

4. 真夏ノ夜ノ夢

5. 鳥籠

6. ハナマチバーレスク

7. ロザリー

8. キッチンキラー

9. 少女A

10. 聖者の行進

11. 覗き穴から隣人はヒ素かに笑う

12. 能無し腑抜けですね。

13. 極東D.M.C

14. コドク

15. 輪廻

16. 過呼吸

17. 【Psycho≠pas$】

 

2018年末をもって解散となったゴシップの3rdフルアルバム。

108本のライブを行うツアーの敢行で地盤を作りつつあった矢先だっただけに、惜しまる限りです。

 

率直な感想としては、ここにきて、ようやく本当にやりたい音楽を解放したのかな、と。

これまでの活動は、事務所に明確な戦略があったこともあり、制約を受けていた部分があったもあったのだろうと推測されるのですが、解散が決まって吹っ切れたのか、引き出しが一気に広がった気がするのですよ。

 

もっとも、現代シーンの最先端のサウンドに、といった変貌ではなく、あくまで、ヴィジュアル系の原点に帰っていくようなアプローチは健在。

お約束的なギミックは残されていて、きちんとゴシップとして蓄積してきた経験は踏襲されています。

変わった点と言えば、ガゼットをはじめとしたゼロ年代のコテコテ系バンド、あるいは派生して誕生するコテオサ系バンドたちといったモチーフをなぞる従来の手法ではなく、体に染みついているサウンドで真っ向から勝負してきた印象。

結果、ある程度は本来の強みに近づきはするのだけれど、ちょっとだけ現代的な持ち出し方が顔を出すなど、ハイブリッドなオリジナリティとなったのではないでしょうか。

 

ワンフレーズ推しの「DESIRE」でインパクトを高めると、「ヘドロ」ではゴリゴリとヘヴィーに攻撃性を表現。

「ハナマチバーレスク」は歌謡曲テイストがあって、続く「ロザリー」の正当派な耽美メロディアスっぷりにも驚かされます。

呪術的で禍々しさすら漂う「聖者の行進」、とにかくカオティックに攻撃する「極東D.M.C」など、ダークでハードでマニアックという必要条件についても、メリハリをつけながら押さえにかかっており、バランスが非常にとれていました。

 

更に、目玉として結成当初のデモシングルから【Psycho≠pas$】を再録。

純粋なレベルアップも示して、楽曲の内容からすれば大団円とは程遠いのだけれど、彼ららしいラストを飾ってくれたのでは。

 

また、本作のセールスポイントになり得るのが、ボリュームの面。

全17曲と、とにかく収録曲数が充実。

先行的にライブ会場やオフィシャル通販でリリースされていたデモシングルからの4曲も無事収録され、既存曲も相応に含まれますが、それ以上に未発表曲が多く詰め込まれており、出し惜しみ感は一切ありません。

その分、ひとつひとつのプロダクションが少し甘くなってしまっているのでは、という面もないわけではないのですが、ラストアルバムをオリジナル盤として仕上げたことは評価したいところ。

結成から解散まで、どこかのタイミングでゴシップが引っかかったリスナーであれば、耳にして損はないと思われる1枚。

 

<過去のゴシップ(Gossip-ゴシップ-)に関するレビュー>

拝啓、鬼端児様へ(大日本鬼端児組 悪童会 ゴシップ)

出戻り鬼畜サイコ野郎(再犯)
Psycho-pas$