出戻り鬼畜サイコ野郎(再犯) / ゴシップ | 安眠妨害水族館

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出戻り鬼畜サイコ野郎(再犯)/ゴシップ

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1. 凶育シンリカウンセラー
2. 悪童会-クソッタレ行進曲-
3. 腕
4. とあるアイドルオタクの異常な愛情
5. 絶交-キレる5秒前-
6. 七月三十一日
7. 慰存症

バンド名が、"Gossip-ゴシップ-"から、カタカナ表記に改められたゴシップの1stミニアルバム。
それに伴い、コンセプトも"ブラックギャング"から、"大日本鬼端児組 悪童会"に明確化されたのかしら。

昔ながらのヴィジュアル系を受け継ぐ異端児バンド、という触れ込みである彼ら。
コンセプトのモチーフにしても、ヴィジュアル面にしても、前身バンドの音楽性にしても、それが"大日本異端芸者"を名乗っていた頃のガゼットであることは明白。
実際、ガゼットっぽいサウンドメイクやフレーズ回しは見られますし、その前提で聴いて、ひっくり返されるということはないでしょう。

しかしながら、彼らの言う"昔ながら"は、必ずしもガゼットオンリーだけではなさそうだぞ、というのが見えてきたのが本作であると思います。
ゴシップのサウンドから漂うのは、ゼロ年代の"コテオサ"的な雰囲気。
古き良きコテコテバンドが、お洒落系のブームに引っ張られて、歌詞やタイトルでのユーモア性や、ノリやすさを求め出した時期のそれに近いのである。

もっと掘り下げると、蜉蝣が得意としていたエログロナンセンスの要素や、MERRYが構築したレトロとパンクの融合といった、V系御三家時代に登場して、一気にシーンに広まったアプローチを、ガゼット的なサウンドのフィルターに通してやってみたといったところ。
どちらにしても、オリジナリティの面での課題は残るのですが、愚直にあの時代の音楽を奏でるバンドというのも現代では稀有なので、他にもゴロゴロといるガゼットのフォロワーバンドでいるよりも、リスナー開拓の余地は多いということなのかもしれません。

内容としては、「慰存症」、「とあるアイドルオタクの異常な愛情」といった過去の作品の楽曲も含めた、現時点での集大成といったもので、まずは入門書のような作品に仕上がりましたかね。
SEから繋がって入るシャッフル調のナンバー「凶育シンリカウンセラー」、彼らのコンセプトがタイトルに据えられた意欲作「悪童会-クソッタレ行進曲-」、シリアスな面を前に出しながらも、歌い癖にやはりコテオサ意識が表れている「腕」、とにかく激しい煽り曲「絶交-キレる5秒前-」、歌謡曲要素を落とし込んだ壮大なロックバラード「七月三十一日」と、バラエティは豊富。
そのうえで、しっかり耳に残るメロディと、インパクトのあるフレーズを揃えたな、と。
なんだかんだ、キャッチーさも忘れていません。

新鮮味のない二番煎じな内容も覚悟していただけに、予想以上に面白い出来だったというのが率直な感想。
もちろん、まだまだオリジナリティを出していく必要はあるのですが、ある程度は戦略のうちということだろうし、まずはバンド名を浸透させるというのも悪くはないか。
早くも次の作品のリリースが発表されていますし、勢いのあるうちに畳み掛ける方針なのだと思いますが、それがひと段落したところで、何をやってくるかが楽しみ。
リスナーの期待の斜め上を突き進むべく、まだまだ引き出しを隠し持っていてほしいものです。

<過去のゴシップ(Gossip-ゴシップ-)に関するレビュー>
Psycho-pas$