罪に咲く華~affection of cruelty~ / Călătorie-カラトリア- | 安眠妨害水族館

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罪に咲く華~affection of cruelty~/Călătorie-カラトリア-

 

1. 罪に咲く華~affection of cruelty~

 

ヴィジュアル博士のるによる新企画、"3×4プロジェクト"の第一弾。

配信限定でのリリースとなります。

 

もともとは、エイプリルフールの企画として誕生したソロプロジェクトですが、単発でライブを行うなど、継続的な活動も匂わせていたCălătorie-カラトリア-。

のるさんの34歳のバースデーに発表された新企画は、12ヵ月連続でデジタルリリースを行うというものでした。

 

コンセプトとしては、ルーツとなっている1990年代、2000年代のテイストを取り入れた楽曲とのこと。

この「罪に咲く華~affection of cruelty~」は、特に1990年代色を強めているでしょうか。

オルゴール風のSEから、ツタツタドラムが突っ込んでバンドサウンドになるイントロ、キメとシャウトのタイミング、中盤で三拍子に転調してのボソボソとした語り…

当時を知っているリスナーには懐かしいギミックの応酬。

歌詞も、実にそれっぽいです。

 

企画の趣旨的に、前作「琥珀の花」に比べて、二次創作的な要素が強いかな。

独自の解釈で再構築したというよりも、90年代を再現することに重きを置いた印象。

言ってしまえば、次にどういう展開が待っているかが読めるということなのだけれど、ここは、それだけツボを押さえた構成になっているのだと捉えたい。

いかに当時のシーンを知る人にとってストレスがないベタベタナンバーを作り上げるかなんて、"ヴィジュアル博士"としての研究のたまものじゃないですか。

 

また、ボーカリストとしての歌唱力が、企画モノとしての期待値を軽々と飛び越えているのもポイントですね。

メロディアスな部分での安定感がありすぎて、そこだけが90年代のジャリバンドとは違うところだな、と違和感を覚えてしまうぐらいで、逆に考えれば、この武器があるから、そのまま90年代をなぞっても個性化できるということ。

少し、チートすぎる気さえしますよ。

 

とりあえず、12曲、どのようなラインナップになっていくのかが楽しみ。

まずは完走を目指してほしいです。

 

<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>

琥珀の花