「AMNESIA」「栃の葉ヱレジィ」 / Călătorie-カラトリア- | 安眠妨害水族館

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AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ / Călătorie-カラトリア-

 

1. AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~

 

栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ / Călătorie-カラトリア-

 

1. 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~

 

ヴィジュアル博士のるによる"3×4プロジェクト"の第6弾、第7弾。

12ヵ月連続配信リリースも、いよいよ折り返しとなりました。

 

「AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~」は、黒服系がテーマ。

コテコテ系等に分化する前の、ダークで退廃的な世界観を持ったバンドたち。

第4弾の「Whitely」 で白系がモチーフとなっていましたが、それと対峙する黒系の位置づけとなりますでしょうか。

アートワークも、デジタルシングルであるにも関わらず、8cm仕様としているところにこだわりを感じます。

 

ザクザクしたギターのリフに、性急なドラム。

シンプルなのにやたら主張するベースに、こってりしたボーカル。

相変わらず"あるある"が至るところに詰め込まれていますが、90年代好きならたまらないベタさなのでは。

個人的には、メジャー中期のROUAGEを思い出しました。

それっぽいけれど冷静に考えると何を言っているかよくわからない歌詞も、おそらくは狙い通りなのかな。

仮にこれがどこかのバンドの持ち曲だったとして、規模が大きくなったら、絶対この曲で銀テープが飛び出すのだと思う。

 

「栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~」は、昭和歌謡系、哀愁系、郷愁系と言われたりするジャンルですね。

タイトルに、別バージョンがあるわけでもないのに"愛憎編"とつけてしまうところや、プロジェクト名を"愛愁単独カラトリア音楽團"にマイナーチェンジしているあたりからも、あの頃の香りがプンプンと漂ってきます。

 

初期のシドやホタル、最近だとベルがこのジャンルに該当するのかと思われますが、彼の場合は、もっとお洒落系バンド的な見地からのアプローチにしたのが上手いな、と。

それ専門にやっているバンドの王道というよりは、"手広くやっているバンドが流行に乗って哀愁系に寄せてきた"感がよく表現されていて、この楽曲こそミディアム調の歌謡曲に仕上げているものの、もう少ししたら激しい曲や楽しい曲も用意しているよ、というライブ構成的な部分まで想像できてしまう。

もっとも、のるさんの出自的に、天然でそういう要素が出ているのかもしれませんけれど。

寸劇や手紙の朗読的なものを入れても面白かったかも。

 

なお、本作も前作同様、ゲストギター&ベースにex-f.e.sの暁人さんが参加。

企画の趣旨をよく理解していて、痒いところに手が届く演奏を聴かせてくれます。

残すところ、あと5曲。

そろそろお約束的なジャンルは出尽くした感もありますが、そういえばこのジャンルがまだだったよね、という気付きを与えてくれるのも、また楽しみだったり。

最後はどこに落とすのだろう、と推測してみながら、次回作を待ってみようと思います。

 

<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>

「Whitely」「桃色レイトショウ」

「Psycho Neuropathy」「the Bottom of Despair」

罪に咲く華~affection of cruelty~

琥珀の花