「WALK」「WoRLD's eND」 / Călătorie-カラトリア- | 安眠妨害水族館

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WALK ~through the life~/Călătorie-カラトリア-

 

1. WALK ~through the life~

 

WoRLD's eND ~アンドロイドは最後の恋の夢を見るか~/Călătorie-カラトリア-

 

1. WoRLD's eND ~アンドロイドは最後の恋の夢を見るか~

 

ヴィジュアル博士のるによる音楽プロジェクト、Călătorie-カラトリア-。

12ヵ月連続配信リリースを行う"3×4プロジェクト"も第8弾、第9弾と、完走が近づいています。

 

ルーツとなったサブジャンルの王道をオリジナル楽曲で表現するという試み。

「WALK ~through the life~」は、ソフビ系をモチーフに。

パッチワークのようなアートイメージから、毎度のことながら、よくわかっているなと。

 

ソフト・ヴィジュアル系、通称、ソフビ系。

脱ヴィジュアル志向によってシーンの外に出たロックバンドをソフビ系に含める場合もあるのですが、源流としては、白系からの派生。

透明感のあるサウンド、幻想的な世界観を好みつつ、歌詞のテーマだったり、衣装やメイクだったりを親しみやすいカジュアルな路線に寄せたバンドたちを指すサブジャンルだったのですよね。

 

その意味で、この「WALK ~through the life~」は、あくまでヴィジュアル系のスタンスをとっているところに好感が持てます。

J-POPとしても通用するようなキャッチーなメロディと、大衆的に共感できる歌詞。

それでいて、軽やかなアルペジオを奏でるギターと、動きのあるベースラインで広がりを持たせたサウンドにより、どこか非現実的な響きもあって。

そもそも、この流れるようなサビメロがツボなのですけれど、それ以上に、あまり言語化されてこなかった"ソフビ系の世界観"を丁寧にやってくれたのが良かったな、と。

 

「WoRLD's eND ~アンドロイドは最後の恋の夢を見るか~」は、白塗りピコピコ系のど真ん中。

8bitのチップチューンをベースに、エフェクトボイスなどを使って近未来的な音楽性の再現を。

あえてチープなサウンドにしたり、タイトルの大文字小文字の使い分け、ドット絵風のアートワークなど、小ネタも効いています。

 

同じフレーズを繰り返すシンセのサウンドの影響で、パッと聴いた印象では単調に感じるのかもしれません。

しかしながら、実は起伏が作り込まれたメロディアスナンバーだったりして、このギャップもなかなかピコピコ系の神髄を突いているのでは。

サビでの盛り上がりも秀逸で、博士のイメージになかったけれど、案外ハマっているものですな。

強いて言うなら、サブタイトルはSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のオマージュをしがち、というあるあるネタであることは理解したうえで、ストーリーテリング調になっている歌詞のネタバレになってしまっているのがもったいないでしょうか。

これ、主人公がアンドロイドであることは隠しておいたほうがラストシーンが活きると思うのですよね。
 
企画も後半になってきて、そろそろネタ切れ、あるいは不得意なジャンルにぶち当たるかな、なんて心配していたのですが、完全に杞憂でした。
むしろ、回数を重ねるごとに面白さが増しているような。
期間限定での配信となるので、手元に残しておきたい人はお早めのダウンロードを。

 

<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>

「 AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ 」「 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ 」

「Whitely」「桃色レイトショウ」

「Psycho Neuropathy」「the Bottom of Despair」

罪に咲く華~affection of cruelty~

琥珀の花