for Japanese sheeple / メリー | 安眠妨害水族館

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for Japanese sheeple/メリー

 

1. Toxicosis Island

2. 匿名希望

3. Kamome Kamome

4. 【人間曲芸坐】

5. sheeple

6. 最後の晩餐

7. sheeple Living Dead Remix by Miya (MUCC)

 

2019年はカタカナ表記で活動することを表明したメリーのミニアルバム。

CORE完全限定盤、初回限定盤、通常盤の3種類での発表となります。

 

Gt.結生さんがはじめて作詞を担当した「sheeple」と、そのリミックスを含む全7曲。

アルバムタイトルにもなった「sheeple」とは、"sheep"と"people"を掛け合わせた造語であり、羊のごとく自分の意見なしに群がる人々のことを指しているとのこと。

名義を"メリー"に戻しただけあって、原点であるじめじめしたレトロックを強く感じさせる作風に仕上がっています。

 

全体的に悲哀や閉塞感に満ちている印象。

リード曲となった「Toxicosis Island」は、ここ最近の彼らのサウンドのブラッシュアップ版といったパンキッシュテイストだが、歌詞はとにかく内向的。

普段であれば勢いを持って突っ走るところを、2曲目から歌モノ要素が強い「匿名希望」を送り込んで、早速じめっとした世界に誘っているのも本作の特徴と言えるでしょう。

 

歌謡曲的なメロディを駆使しつつ、アングラな雰囲気を纏った「Kamome Kamome」、どんよりとした重苦しさに押しつぶされそうな「【人間曲芸坐】」など、初期のエログロナンセンスを彷彿とさせる楽曲を挟みつつ、力作である「sheeple」に繋げる構成は、正攻法ではないが彼ららしい別ルートを見つけたな、という気にさせられる。

音楽性が変わったことでアングラ気質が高まったのではなく、もともと持っていた要素を本作では凝縮して送り込んでいるのですよ。

サウンド的には、しっかりとMERRYとして積み重ねてきたアンサンブルが継続されており、これは異端な集大成なのです。

 

また、テンポ的にはゆるめの楽曲が多いのに、攻撃性を維持したまま本編ラストの「最後の晩餐」に突入できるのは、多少強引な展開でも押し通せるミニアルバムという媒体だからこそ。

否が応でも見せ方が変わる作品形態を、満を持して名義変更のタイミングではじめて切ってくる。

それにより、双方のインパクトが高まっているのだから上手いとしかいいようがありません。

 

なお、「最後の晩餐」は、実態的には4分半程度の楽曲なのですが、トラックとしては11分ほどが収録されており、後半はほぼ無音。

最後の最後に、本編の締めとなるのか、リミックスへの繋ぎとなるのか、意味深な台詞が挿入されています。

こうなってくると、空白の解釈も色々できるわけで、考察が滾りますね。

 

アンコール的に収録された「sheeple」は、同世代を戦ってきた盟友、MUCCのGt.ミヤさんによるリミックス。

カタカナ時代を知るリスナーにとっては、これ以上ない熱いコラボレーションではないかと。

帯と歌詞カードが一体化した仕様により、やや保管に困るのだけが玉に瑕ですが、どの角度から切り取っても聴きどころしかない1枚。

MERRYからメリーへ。

これは回帰ではなく、進化でした。

 

<過去のメリー(MERRY)に関するレビュー>

エムオロギー

NOnsenSe MARkeT
ZERO-ゼロ-
窓 -replay-
群青
Beautiful Freaks
ハーメルン
アンダーワールド
Midnight Shangrila/空っぽな歌~final cut~
PEEP SHOW
nuケミカルレトリック
個性派ブレンド クラシック~OLDIES TRACKS~
モダンギャルド 

現代ストイック(日本青年館会場限定盤)