生まれ月/曖ノ音
1. 生まれ月
ex-サリィ。のVo&Gt.叭紅さんによるソロプロジェクト、曖ノ音。
本作は、2019年1月の公演の予約特典として配布され、その後ワンコインデモCDとして販売されています。
紙を折りたたんで作った手作り感のあるパッケージ。
歌詞カードは、CDとともに同封されていました。
収録された「生まれ月」は、アコースティックギターでの弾き語りによるナンバー。
楽曲に入る前の音出しからスタートする、ライブを彷彿とさせる音源に仕上がっています。
音質的にはザラつきがあるし、マイクにぶつかる音とかも入っていたりするのだけれど、それはそれで生っぽくて味わい深い。
これ、一発録りなのかしら。
もともと感情優先で歌い上げるスタイルだった叭紅さん。
それは曖ノ音でも継続のようですね。
序盤こそ丁寧に歌っていますが、サビに入るぐらいから、声を張り上げて迫力が出てきます。
やや荒々しすぎるきらいはあるけれど、内向的な歌詞も相まってハマったな、と。
ラスト、張り上げる部分での歌い尻など音程に不安な点はあるも、もしかしたら意図的なのかも。
確かに引っかかりになっているし、さらっと流されることなく、感情と共に耳に張り付くような感覚。
サリィ。時代も似たようなアプローチがありましたし、すべてが戦略的に思えてくるほど、良い方向に作用していました。
なんだか視野が広がって聴こえますよ。
曖ノ音というプロジェクトは、必ずしもアコースティックというわけでもないのかな。
サポートメンバーを加えてバンドサウンドでのライブも予定されていたり、ソロになったことでやりたい音楽の自由度が増したと捉えたほうが良さそうです。
ただし、ある種、一切無駄を省いた彼の音楽とも言えるデモシングル。
まずは手に取っておきたい1枚と言えるでしょうか。