素晴ラシキ残酷/Marvelous Cruelty
DISC1
1. 黒ノ旋律
2. 悲劇ノ調ベ
3. 奇劇ノ終焉
DISC2
1. 陰鬱ト影
2. 悲哀故ニ…
3. 逆サマノ夢
2018年11月に会場限定でリリースされた、Marvelous Crueltyの2枚組デモCD。
1曲を追加した通販盤が、急遽、2019年5月に49枚限定でリリースされました。
ライブ会場で即日完売する程度に生産数を絞ったデモCDのリリースを畳み掛ける戦略。
オフィシャルにてアーカイブが一覧化されていないため、全体の把握が難しい状況ですが、本作を2枚組にした意味合いとしては、新作シングルと既存曲をまとめた音源集ということだったのでしょうか。
DISC1は、ノイズ音に重なる形で、語りやアカペラでの歌唱が乗せられた導入的な「黒ノ旋律」からスタート。
そこから繋がるように届けられる「悲劇ノ調ベ」は、コテコテ感満載のダークなツタツタナンバーです。
激しく攻め立てる三拍子のリズムは、90年代であれば使い古された手法ですが、現代では新鮮だったりするのかも。
リードトラックという位置づけと思われ、後にライブクリップが公開され、Twitterの連動企画としてデモテープも制作されています。
「奇劇ノ終焉」は、イントロや間奏での艶めかしいギターのリフが耳に残るハードチューン。
相変わらず、ツタツタ疾走し、キメも多く、退廃的な世界観を提示するという90年代コテコテの様式美を貫いており、まぁ、押さえるべきところを押さえているなと。
サビではメロディアスに展開しますが、歌い切れていないところを含めて。
DISC2は、発表済の楽曲からシングルとしてまとまるように選曲した、といったところか。
もっとも、過去の音源も手に入りにくい状況ではあるので、初聴きのリスナーも多いと踏んで、代表曲をもう一度、という意図もあるのだろうけれど。
全6曲、すべて4分以内で収まっているので、非常にコンパクト。
どうせ既存曲を入れての2枚組にするなら、もっとボリュームを増やして網羅性を高めてよかったのでは、とも思ってしまいますが、この小出し感による渇望を狙っているのだろうから、物足りないぐらいがちょうどよいとしておきましょう。
音楽性としてあの頃が好きな人には、たまらないであろうリアリティ。
ただし、新しい視点があるわけではないので、歌詞を考察したり、曲のテーマになった文献を読んでみたり、といった深いところまで行動させる創造性を、今のところ感じないのも本音。
むしろ、当時を知らない若いリスナーが、これをどう捉えているのかが気になるな、と。
作風に大きく影響を与えているMadeth gray'llの音源などを遡って聴いている、となってくれば、そこで改めて橋渡し的なバンドとして認められてくるのだろうし、そこまで行ってほしい気持ちはあります。
そろそろ、正式音源のリリースも期待したいですね。
<過去のMarvelous Crueltyに関するレビュー>