吊サレタ奇形ノ罠/Marvelous Cruelty
1. 三〇九号室~空虚ニ舞イ散ル桜~
2. ツルワルデ奏ト君
3. 傀儡ノ絲
4. 切断神経症
5. 逆サマノ夢
突如として姿を現した関西発のコテコテバンド、Marvelous Cruelty。
本作は、ライブ会場で販売されたデモ音源が軒並み即日完売となったことを受け、通信販売限定でリリースされたデモ音源集となります。
内容は、過去のデモ音源から4曲をセレクトしたものに、新曲1曲を追加したもの。
意図的なものなのか、制作上のミスなのかはわかりませんが、"制作者ノ神経状態ガ不安定ノ為"記載されている曲順と、実際の曲順が異なります。
実際にCDに収録されているのは、「切断神経症」、「傀儡ノ絲」、「三〇九号室~空虚ニ舞イ散ル桜~」、「ツルワルデ奏ト君」、「逆サマノ夢」の順ですので、ご留意を。
音楽性としては、90年代ダーク系バンドへのリスペクトが強いですね。
言葉の選び方、楽曲の構成、発狂や笑い声などの演出、至る所で徹底した当時の再現が試みられており、斬新なアプローチや、現代的なアレンジワークは、敢えて排除しているのかな。
直接的にMadeth gray'llからの影響を示唆しており、「ツルワルデ奏ト君」のサビは、「オペラ座の悲劇」からのオマージュでしょうか。
2分弱狂いっぱなしのツタツタ発狂ナンバー「切断神経症」、ダークでドロドロした「傀儡ノ絲」、クリーントーンのギターが印象的なダーク系バンドによる刹那系、「三〇九号室~空虚ニ舞イ散ル桜~」…
ベスト盤的なセレクトがされているとはいえ、実にツボを押さえたラインナップ。
音質がチープなのは、デモ音源だからか、そこまで狙っているのか。
全体的に激しさを前に出しているのに、ドラムがポコポコと軽いあたり、懐かしいやら残念やら。
新曲の「逆サマノ夢」は、ウネウネしたギターのリフと、ダウナーなメロディで進行していく退廃的な楽曲でした。
サビになると開けてメロディアスになるのですが、キーが上がるとボーカルが苦しそうになるこの感覚まで再現するのか、と。
良くも悪くも、セオリーに忠実ですよ。
この手のバンドは、二次創作的な側面もあって、曲数が増えてきたときにどうなるかが勝負。
オリジナリティを出してネオ・コテコテ系に進化するのか、ネタが尽きてシーンの変遷を辿るようにオサレ系などに手を出していくのか、そこで改めて真価が問われる気がしますな。
今のこの時点では、素直に"面白い!90年代っぽい!"と楽しんでいればいいのでリスナーとしては気楽なもの。
そんな感じのサウンドが好きな層は、まずは聴いてみても良いでしょう。
どうせだったら、完売した音源の収録曲を全部ぶっこんでほしかったけれど。