ラストスターサイン/Călătorie-カラトリア-
1. ラストスターサイン
ヴィジュアル博士のるによる音楽プロジェクト、Călătorie-カラトリア-のデジタルシングル。
"V系のサブジャンル"をテーマにした12ヵ月連続リリースを終え、フラットな立場になった中での作品。
これまで、何かに寄せる作風に敢えて挑戦していただけに、どのような音楽性でシングルを切ってきたのかは気になるところです。
結果としては、のるさんの世代ど真ん中、"コテオサ"に近いものになったのかな。
確かに "3×4"プロジェクトでは明確に採り上げてはいなかったテーマなので、補完する役割にもなったのではないかと。
その「ラストスターサイン」は、ゼロ年代の音楽性ごちゃまぜ感が良く出ている佳曲でした。
全体的には、歌唱力を活かしたメロディアスなフレーズが中心なのだが、ひとつひとつのパートごとに音楽ジャンルがコロコロ切り替わって、一筋縄ではいかない展開。
キメやリズムチェンジなどのギミックも多めで、比喩表現を使って文学的に仕立てつつ、口語調の軽さも交えた"あの頃"感満載な歌詞もたまりません。
終盤の刻むノリ、はい、これを待っていました。
これがCălătorie-カラトリア-としての自然体なのか、やはり"コテオサ"に寄せたということなのかは、もしかしたら本人も悩んでいたりして。
ここらで、二次創作的なアプローチから一歩踏み込んだ楽曲が聴きたい気もしますが、アヤビエや少女-ロリヰタ-23区-あたりと地続きのサウンドを好むリスナーであれば、ぜひ耳にしてほしい1曲です。
<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>
「琥珀の花 -alius fabula-」「[kˈəʊmə]」
「 AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ 」「 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ 」