洗剤いらずの洗剤!?【洗濯マグちゃん】大検証!!洗浄メカニズムや実際の洗浄力・安全性は?その② | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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前回記事の続きになります。

 

 

洗剤いらずの洗剤!?【洗濯マグちゃん】大検証!!洗浄メカニズムや実際の洗浄力・安全性は?その①

 

 

 

というわけで前回の実験の結果、

 

洗濯マグちゃんの「油汚れへの洗浄力」は思ったほど高くないということが明らかになりました。

 

 

 

 

しかし、

 

それにしてはマグちゃんを実際に使っている人からは「思ったより洗える!」という意見がかなり多いことに気がつきますよね。

 

Twitterにてご報告下さった「Cheer Channel youtube☆yuki」さんが作成して下さった動画でも、

 

普通に洗うと市販洗剤と同等かそれ以上くらいに汚れが落ちているように見えます。

(とても素晴らしい実験だと思いましたので共有させて頂きました!)
 

 

 

 

僕もセスキ炭酸ソーダくらいは洗えるかも?という予想でこの実験をしたので、

 

この結果には意外と驚きました。

 

 

 

 

…ということは、もしかしたらこのマグちゃんには

 

アルカリ洗浄とは別の効果が隠されている可能性はないでしょうか。

 

 

 

 

◎洗濯マグちゃんには「アルカリ洗浄以外の効果」がある?

 

 

 

そういう予測をしたのにはメーカーが提示している消臭効果や抗菌効果・抗カビ効果などの資料も手がかりになります。

 

 

 

 

 

 

 

マグちゃんは消臭効果に優れていて、

 

市販洗剤と比較して10倍以上の臭い成分の除去効果があるそうです。

 

さらにこのマグちゃんを使っていると洗濯槽のカビが徐々に消えていくのだそう。

 

抗菌効果も高く、菌の繁殖を抑えることでの消臭効果も期待できるのだとか。 

 

 

 

臭い除去効果については試験法を見ると

 

 

酸性の臭い成分ばっかり使っているのでこれだけ効果が出ているのかな?という気もしますが、

(水酸化マグネシウムのアルカリ性による中和反応…なのでエステルやアルデヒドなどの酸性臭気以外には効果が薄い可能性も?)

 

 

 

抗菌効果や抗カビ効果に関しては、

 

単なるアルカリ剤の作用だけでは説明ができません。

 

 

 

 

というのも、確かに微生物はアルカリに弱いので、アルカリ性の物質には総じて抗菌的な作用はあると思います。

 

ただpH=9.5程度だとカビをキレイにするほどの効果があるかはかなり微妙なところで、

 

少しでも効果を見込むなら10以上は欲しいところなのです。

 

 

 

にも関わらず、

 

実際に高い抗菌・抗カビ・消臭効果を実感している人が多い

 

というのには

 

何かしらの隠れた要素があると考える必要があるでしょう。

 

 

 

 

というわけで僕が考えたもう一つのマグちゃんの洗浄(?)機構として最も可能性の高いものを説明してみます。

 

(あくまで考察です)

 

 

 

◎マグちゃんは『還元漂白剤』の可能性あり!?

 

 

 

 

『還元漂白剤』とは、漂白剤として用いられているものの中でもかなり珍しいアイテムです。

 

漂白剤の使い分けについて

 

 

 

「漂白」とは、

 

主に『酸化還元反応』という化学反応を利用して色素成分を分解することによって着色汚れの色を失わせる反応です。

 

 

一般的には過酸化水素や次亜塩素酸ナトリウムなどの「酸化剤」を使用してその効果を及ぼします。

 

 

 

しかし中には、「二酸化チオ尿素」などの「還元剤」を使用した漂白剤もあります。

 

あまり使い勝手が良くないために利用頻度は少ないものの、

 

酸化作用ではなく還元作用でも色素成分は分解できるため、

 

そのような成分を利用した漂白剤を『還元漂白剤』と呼びます。

 

 

 

 

 

先ほど、「マグちゃんによって生成される『水素』には大した還元力はない」という話をしました。

 

 

実際に水素の還元力というのはあまり高いものではなく、

 

本来、『強力な還元剤』は反応性が非常に高いためそれを多量に飲めば毒になります。

 

水素水は人が飲めるレベルのものである以上高い還元力はないと考えるべきです。

 

 

 

つまりやはり生成された水素による還元というのは考えにくいのですが、

 

 

実はマグちゃんには水素などよりも圧倒的に強力な「還元剤」が使われています。

 

 

 

 

それは、『マグネシウムそのもの』です。

 

 

 

これは非常に難しい資料で申し訳ないのですが、、、

 

 

簡単に言うと一番上の右側の成分が最も強力な還元剤で、

 

下に行くほど還元力が下がります。

 

 

 

金属マグネシウム(Mg)は上から数えて4番目の還元剤になります

 

(水素溶液と比較すると3倍近くの還元電位。気体として発生した水素ガスは還元電位は0なんですよね。)

 

 

 

 

マグネシウムはその反応性の高さから水と反応して還元力を失った水酸化マグネシウムになってしまうのですが、

 

若干量はやはり水に溶け出しているかもしれません。

 

 

すると、

 

水素ガスには大した還元作用は無いと言えましたが、

 

 

マグネシウムそのものはかなり強力な還元剤として働くため

 

ある程度の着色汚れを「漂白する」という形で洗浄効果をもたらす可能性があります。

 

 

また、角質などのタンパク質汚れや酸化固着した皮脂汚れは還元作用によって分解できるため、

 

時間が経った皮脂汚れや角質汚れなどにも効果があると考えることもできます。

 

 

 

 

こう考えると、

 

油汚れはあんまり落とせない割に実際には洗えていることや、

 

消臭、抗菌、抗カビ効果なども全て説明出来るようになります。

 

 

 

 

還元作用というのは簡単に言えば、相手を破壊する作用です。

 

酸化も同じくで、相手を還元したり酸化したりするとそのものの化学構造は破壊される(別の構造に変わる)ため、

 

 

臭い成分であれば臭いは失われるし、

 

菌やカビは分解されて死んでしまいます。

 

 

 

漂白剤にも除菌・消臭効果があるというのは以下の記事にも書いてあります。

 

敏感肌に「酵素」&「抗菌」は注意?! 洗濯用洗剤の酵素や漂白剤の働きとデメリット 

 

 

 

 

ただ、マグネシウムは本来水に溶かすと瞬時に水酸化マグネシウムという成分に変わるので、

 

金属マグネシウムそのものが溶解してくる量は極少ないと思いますし

 

劇的な漂白効果があるかというとそういうわけではなく、

 

あくまで気持ち程度の効果に落ち着くと思います。

 

 

 

ただし抗菌や消臭作用に関して言えば、確かにかなり強くなる可能性が高いと思います。

(微量でも十分な効果になるため)

 

 

 

 

◎「地球にやさしい?」マグネシウムの安全性や環境負荷について

 

 

 

そして個人的にはこれが大きな懸念点になります。

 

 

 

このマグネシウムの作用によってカビや菌類が死滅する

 

ということを肯定的に捉えることも可能ですが、

 

 

一方でカビや菌が少しずつでも死んでいくということは

 

それはつまり「微生物に対する毒性がある」ということです。 

 

 

 

 

 

 

メーカーさんのホームページや商品の説明には

 

『マグネシウムは天然の金属だから安心!』

 

『肥料の一種だから水に流しても大丈夫!』

 

的なことが 書いてあり、

 

 

メーカー曰くでは「マグネシウム粒」は「化学物質ではない」という判断のようですが、

 

 

僕に言わせてみればマグネシウムはれっきとした「化学物質」です。

 

 

水を入れたら水素が発生するほど反応性抜群の物質が化学物質じゃないとはどういうことなんだろう?

 

と非常に不思議に感じますけど、、

 

 

マグネシウムは単体物質なので

 

「化学合成物質ではない」

 

という表現なら正しいですが、

 

「化学物質ではない」というのは表現として不適切だと感じます。

 

 

 

そして、

 

正直に言うと安全性はそんなに高いものではありません。

 

 

 

マグネシウム粒 安全性データシート

 

 

 

 

 

還元作用が強いために皮膚の腐食作用がかなり高く目粘膜、気道刺激性があります。

 

image

 

 

実際最初に油断して手袋付けずに作業をしていたらいつの間にか指先がパッサパサになってしまったので、慌てて手袋をはめたんですが…。。

 

 

やっぱり還元作用があるからか、普通のアルカリ剤より腐食力が強い気がしました。

(タンパク質は還元に弱いので…)

 

 

粘膜刺激とか気道刺激は袋に入っているので大丈夫だと思いますが、

 

直に触れると皮膚表面も還元されてしまうようです。

(一応マグネシウムビーズに直接は触れていないはずなのですが…)

 

 

あとは引火性気体(水素)が発生するので、水反応可燃性化学品も区分2です。

 

 

 

 

そして、

 

カビや菌類への影響を見るに、一考の余地があるのが

 

『水生環境慢性有害性』

 

が区分4(長期的影響で有害の恐れあり)という評価になっている点です。

 

 

 

 

確かにマグネシウムは必須栄養素の一種ですが、

 

単純に環境に排出されると還元作用から水生生物への毒性を発揮してしまう可能性があります。

 

 

土壌中や栄養素としては通常は塩類(塩化マグネシウムとか)の形で存在していますし、

 

この形なら問題無いと思いますが…。

 

 

しかしマグネシウム粒をそのまま水に溶かして流し続けるというのは、

 

環境にどのような影響を与えるのか、正直あまり想像ができません。

 

 

 

実際に色々な文献を探してみましたが、

 

このような製品が開発されたのがつい最近のことですし、

 

マグネシウムそのものを洗剤として使うということ自体がかなり突飛な発想のため

 

誰もそんな研究はしていないんですよね…。。

 

(富栄養化でプランクトンが大増殖して赤潮やアオコになった湖沼にマグネシウム沢山入れたら改善したという研究が昔されていましたが、これってつまりプランクトンを一定数殺したということなんですよね…。そういう研究はあった。)

 

 

 

なのでこの場で確固たる結論を言うことは出来ません。

 

 

 

 

 

ただ、あくまでかずのすけの予想を言うのであれば、

 

 

金属マグネシウムの環境負荷は、決して低いものではないと思います。

 

 

 

 

メーカーが出している資料を見ればこれだけカビや菌が死んでいくのですから、

 

毒性が低いとはどう考えても言えないですよね。

 

今は使っている人がそんなに多くはないので大した影響はないと思いますが、

 

ただ、今後もっと沢山の人が使うようになった場合

 

湖沼や河川の生き物に何らかの悪影響を与える可能性は低くはないのではないでしょうか。

 

 

 

少なくとも、

 

その辺りの安全性や環境影響の研究が十分にされていない現時点では、

 

洗剤としてザブザブ使って良い物なのかどうかを判断するのは非常に難しいと僕は思います。

 

 

 

もちろん色々な研究を重ねた結果として「安全で有害性もない」ということが明らかになれば

 

それはとても良いことだと思いますが、、

 

 

商品として多人数の消費者に流通させるというのも、

 

まだ時期尚早ではないかな?という気がします…。

 

 

 

 

◎アルカリ剤よりも非イオン系洗剤の方が環境負荷や安全性面は優れている

 

 

それで、

 

こないだ敏感肌の方や環境負荷の少ない洗剤をお探しの方にお勧めということで「おしゃれ着洗剤」の話をしましたよね。

 

肌と衣類に1番優しい衣類洗剤はどれ?いろいろな【おしゃれ着洗剤】を比較してみた

 

image

 

 

実際の安全性などを比較すると

 

例えば今回のマグネシウムよりも上記のおしゃれ着洗剤(非イオン系洗剤)の方が安全性は高いし、環境への負荷も少ないと僕は考えます。

 

 

 

ポリオキシエチレンアルキルエーテル 安全性データシート

 

 

界面活性剤なので高濃度だとお魚さんのエラ呼吸を邪魔するため水性環境の急性毒性があるのですが、

 

湖沼に流れたり時間が経つと分解されて無毒性になるため長期的には問題なく利用できると評価されています。

 

それ以外にはほぼ全て無毒性の評価で、とても安全に使用できる洗剤成分です。

 

 

 

またマグちゃんは弱アルカリ性ですので、

 

ウールやシルクなどのアルカリに弱いタンパク質繊維を洗うことができません。

 

 

しかも還元性があるとなるとなおさらタンパク質繊維とは相性が悪いです。

 

非イオン系のように気にせず何でも洗えるわけではないのはネックだと思います。

 

毎回着色汚れが多少落とせる程度に還元漂白してたとしたら、普通の衣類も多少は傷みやすい気もします。

 

 

 

 

あと、マグちゃんのデメリットとして、

 

実はマグネシウムの化学特性で放っておくと表面が酸化していって効果を失っていきます(^_^;)

(酸化マグネシウムという物質を形成してしまう。)

 

 

これが生じたら戻す方法はあるのだけど、

(リクエストがあればブログ書こうと思います。)

 

知らずに使っていると全く効果が無いなんてこともありますね…。

 

(最初に買ったやつが全く気泡が出なくてなんじゃこりゃとなりました。笑)

 

 

 

 

 

 

以上、とても長くなりましたが、

 

僕なりの『洗濯マグちゃん』の検証と考察を書いてみました。

 

 

前々から書く書く言いながら後回しになっていたのは、

 

ご覧の通り非常に難しい内容だったため

 

予備知識としてアルカリ剤や洗剤に関する色々な知識を予めお話しておかないと

 

全く話について行けない方が多数だろうな…と感じたからです。。

 

 

 

 

ちなみにもし僕なら、この商品は使用しません。

 

それは環境への影響や長期使用における安全性に疑問を覚える点が多いからです。

(還元性についてもあくまで予想でしかなく確かな洗浄メカニズムが未解明であるし、発生する水素が可燃性気体であることから、万が一洗濯機が故障したりすると大事故に繋がる可能性もある)

 

 

またメーカーの商品説明などもあまり好印象ではありません…。

 

水素水とかアルカリイオン水とか、化学物質を使っていないとか、

 

個人的には非常に怪しいなと感じるフレーズです。苦笑

 

 

 

 

僕としては、今では界面活性剤などの方が環境影響や安全性などはかなりしっかり研究されているので全然安心して使えるよな、と思うのですが

 

 

一般の方は多分そうではないのでしょうね。

 

まだまだ「洗剤(界面活性剤)は毒だ」と頭のどこかで思っている人が多く、

 

「洗剤を使わない」

 

ということに魅力を感じているのかなと感じました。

 

(時短やコスパ、その他各々理由はあると思いますが…)

 

 

 

ともあれ洗濯マグちゃんについては

 

まだまだ分からないことが多いので、ぜひ今後に期待したいところです!

 

 

また、もし「こういうメカニズムも考えられる」とか「マグネシウムの環境影響についてこんな知見がある」などの追加情報があればぜひコメント頂けると幸いです!

 

 

 

 

 

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