漂白剤の使い分けについて | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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先日の衣類洗剤の記事で『漂白剤』について質問があったので補足しておきますね!

 

 

 

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かずのすけの自宅に置いてある漂白剤は、

 

・ワイドハイターEX

・ワイドハイターEX(泡)

・ハイター

・ハイドロハイター

 

の4つです。

 

 

 

これらの漂白剤の具体的な使い分けについて説明していきます。

 

 

 

◎【酸素系漂白剤】…『ワイドハイター』の使い方

 

 

僕が持っている「酸素系漂白剤」は、

 

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このワイドハイターEXの2つです。

 

 

 

こちらについては基本的に、

 

ワイドハイターEX ▶ 消臭殺菌、広範囲の漂白(薄い汚れに)

 

ワイドハイターEX(泡) ▶ 部分的なシミ抜き用(濃い汚れに)

 

というような使い分けをしています。

 

 

 

普通のワイドハイターEXはもうほぼ前回書いた消臭殺菌用に使用しており、

 

漂白剤として使用することは実際のところほとんどありません。

 

 

ただ、例えば衣類やタオル類が全体的にちょっと色がくすんだりした時にたまに使用します。

 

 

この時は通常の洗剤と一緒に表示の濃度を加え、30分ほど水につけ置きし、その後通常の洗濯をします。

 

 

しかし全体に薄くしかつかないので効果的にはあまり大きな漂白力はありません。

(なんとなくぼやっと色が薄くなるイメージです)

 

 

 

 

対してワイドハイターEX(泡)は、シミの部分に直接吹きかけて使用するアイテムです。

 

 

洋服にお醤油だとか油物のシミが一部分に固まってついてしまった時に、

 

こちらをその部分にシュシュッとしてそのまますぐに洗濯します。

(詳しい使い方は裏面記載。)

 

 

この場合原液が幹部に直接付いているので、

 

浸け置き洗いのように万遍なく漂白する方法と比べて強力に色が落とせます。

 

 

 

基本的に色物洋服の染み抜きにはこのワイドハイターEXを使用することが多いですね。

 

 

 

 

 

ところで、

 

ワイドハイターは「酸素系漂白剤」という種類の漂白剤になります。

 

どういうメカニズムで漂白をしているのか、簡単に説明しておきます(^_^)

 

 

 

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酸素系漂白剤の主成分は「過酸化水素」という成分です。

 

酸素系とは言いながら酸素そのものではありません。

 

化学式はH2O2で、『オキシドール』という呼び方も有名ですね。

 

 

 

ちなみにこの過酸化水素は有名な【酸化剤】です。

 

 →「酸化」と「還元」について

 

 

つまり周囲の物質よりも大きなエネルギーを持っているため、

 

エネルギーの少ないものにエネルギーを与えて別の物質に変化させる作用を持ちます。

 

 

 

つまり酸化剤の漂白メカニズムは、

 

「色素」という物質を酸化して構造を破壊することで色味を失わせています。

 

 

※具体的には、色が付いている物質には『共益二重結合』という特異的な構造があり、その構造は比較的脆い特性があるため、色が付いている化学物質は優先的に酸化剤の影響を受けます。

 

 

 

 

しかし過酸化水素の酸化力は、ハッキリ言ってそんなに強くはありません。

 

 

まぁ消毒液として皮膚に塗布できるくらいですから、

 

構造を破壊する威力自体はそれほど…ということなのです。

 

 

 

漂白力をMAX100の数値で感覚的に表すと、

 

過酸化水素の漂白力は…10~30くらいでしょうか(^o^;)

 

 

 

なので酸素系漂白剤は色が付いている繊維にも使用できます

 

繊維そのものの色構造を破壊するほどの力はないということですね。

 

 

 

まぁ比較的穏やかな漂白剤なので大抵の衣類に気軽にお使い頂けるアイテムだと思います。

 

 

 

 

◎【塩素系漂白剤】…『ハイター』の使い方

 

 

塩素系漂白剤というと、『ハイター』が有名ですね。

 

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この可愛くない見た目は、やはりその成分的な危険性を物語るものだと思います…(^-^;)

 

 

ハイター(塩素系漂白剤)の主成分は【次亜塩素酸ナトリウム】という成分で、

 

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これは非常~に強力な酸化剤です。。

 

 

 

漂白メカニズムは酸素系と同じく【酸化作用】によるものですが、

 

次亜塩素酸の酸化力は過酸化水素とは全く比較になりません。

 

むしろ過酸化水素が還元剤の扱いになってしまうくらい強力な酸化剤です。

(数値で表せば、もちろん『100』です。笑)

 

 

 

皮膚に付けば、皮膚そのものを酸化して構造を破壊…つまり腐食します。

 

もちろん色も抜けます。

 

 

なのでこの漂白剤を使用するときは、必ず皮膚に付着しないように気をつけてください。

(目に入ると失明の恐れもあります。)

 

写真ではガッツリ素手で触ってますが…できれば使用時は手袋推奨です(;^_^A

 

 

 

 

ちなみにこの漂白剤はアルカリ性ですが、酸性のものと一緒に使用すると次亜塩素酸Naが中和して塩素ガスが発生することは有名です。

 

 

塩素ガスは非常に危険な毒ガスなので、

 

絶対に酸性の洗剤などと混ぜて使用してはいけません。

 

 

 

 

 

それで、使用できるのは【白物繊維】のみです。

 

色柄ものを洗うと、漂白力が高すぎて普通に色も柄も漂白します…(苦笑)

 

 

白いTシャツとか白いパンツとかにシミがついてしまった場合に使用してください。

 

 

 

 

ただ液性がアルカリ性ですから、

 

アルカリに弱い動物性繊維(毛や絹など)には使わないでください。

 

 

 

また酸化作用が非常に強力なため、繊維へのダメージもとても大きいです。

 

そのため普段は出来るかぎりこのアイテムは使用しないのをオススメします…;

 

 

綿やポリなどのどうしても落としたい強力なシミにのみ使用しましょう。

 

 

 

 

◎【還元漂白剤】…『ハイドロハイター』の使い方

 

 

 

次に、これはかなり珍しいやつなんですが…。。

 

 

じゃじゃーん、『ハイドロハイター』!!

 

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みなさんこれ知ってますか?(^o^) 

 

…もしかしたら知らない人もいるかと思います。

 

 

ドラッグストアによっては売っていないところもあるくらいですから…( ̄ー ̄;)

 

 

 

なぜかと言うと、ほぼ普通の生活では使うシーンが無いからです(笑)

 

 

 

 

このアイテムは主成分に『二酸化チオ尿素』という成分を使用しており、

 

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これは酸化剤ではなく、『還元剤』という化学物質です。

 

 

なのでこのハイドロハイターは【還元漂白剤】というタイプの漂白剤で、

 

これまでの「酸化漂白剤」とは全く真逆のメカニズムによる漂白機構を持ちます。

 

 

 

 

具体的には、『酸化』によって出来てしまった汚れを『還元』によって元に戻すというもの。

 

 

 

 

 

まぁ物によっては「酸化」することで色がついてしまうというケースもありまして、

 

例えば『鉄サビ』などは、鉄そのものが酸化することで赤みを帯びた色が付いてしまいます。

 

 

また塩素系漂白剤などの強力な酸化剤を使用した結果繊維そのものがどんどん黄ばんでいくという話も聞きます。

 

 

これは繊維に付着した皮脂に含まれる油脂類などが酸化した結果黄色く色がついてしまったものです。

 

 

 

 

 

こういった『酸化汚れ』は酸化漂白剤を使用しても、より色が濃くなるばかりで漂白することができません。

 

 

しかし酸化して出来た汚れならば、還元すれば色が薄くなるはず…。

 

そのような考えから作られたのがこのハイドロハイター(還元漂白剤)です。

 

 

 

つまり【還元漂白剤】はこういった酸化汚れ専用の漂白剤というわけです。

 

 

 

 

酸化剤のように色素そのものを破壊するというよりは酸化生成物を打ち消そうというもので、

 

色そのものを白くする効果はあまり高くなく、

 

正直なところ『漂白剤』といえるのかどうかはかなり微妙です…;

 

(数値で言えば、、場合によっては『50』くらいだけど、ほとんどの場合は『5』とかかなぁ…;)

 

 

 

それで、実際冒頭でも言いましたがこれを使用するシーンというのは本当に少ないです。

 

 

鉄サビにまみれるお仕事をされている方以外はほとんど使う機会がないと思います(^^;)

 

 

 

衣服の黄変も、そこまで漂白して使用することは珍しく、大抵そうなれば買い替えてしまうものでしょう。

 

 

 

しかも還元漂白剤は非常に使い勝手が悪いのです。

 

 

 

黄変しやすい繊維というとシルクとかウールなどのタンパク質繊維が基本です。

(タンパク質の変性で黄色い色が付くことが多いからです。)

 

しかしタンパク質繊維には繊維内に『ジスルフィド結合』という還元に脆い結合があります。

ケラチンの強さの秘密…「ジスルフィド結合」について

 

 

なので

 

ウールやシルクは還元漂白剤と相性が悪く、使用を推奨出来ません!

 

使うと型崩れ・質感や風合いの低下をもたらす可能性が非常に高いです。

 

 

 

ちなみにパッケージの表面には↓こんなことが書いてありますが…

 

 

いやいや、そんなわけがない。。(;^o^)ゞ笑

 

 

 

 

あと、『チオ』系の成分というのは非常に臭いです( ̄ー ̄;)

 

中学校で習う【硫化水素】ってご存知かと思います。それとほぼ同じ臭いがします。

 

「卵が腐った臭い」というやつです。。

 

(ちなみにたまに硫化水素を主成分にしている還元漂白剤もあります。)

 

 

 

繊維に臭いが移ったりもしますし、

 

これもできればあまり使用を勧めない漂白剤ですね。。笑

 

 

 

 

 

 

 

 

…ちなみにかずのすけは衣類に使ったことはありません。ヾ(; ´ー`)/

(シンクの鉄さび汚れとかに効果的です。笑)

 

 

 

 

◎衣類用漂白剤のまとめ

 

 

というわけで衣類用漂白剤の特質などをまとめた表を作ってみました。

(クリックして見ていただいた方が見やすいです。)

 

 

 

記事中で紹介しなかった「過炭酸ナトリウム」というのも表には載っています。

 

これは炭酸ナトリウムと過酸化水素の混合物なのですが、

 

アルカリ性にした方が漂白力が上がるので商品化されています。

 

 

でも粉末は溶け残りし易いので僕は持っていません。

 

使える繊維も少ないのであまりオススメもしません(^^;)

 

 

 

 

あと漂白剤の漂白力を検証する面白い実験をしているブログがあったので、

 

こちらも紹介しておきたいと思います。

 

知ってるようで知らない漂白剤の話~酸素系・塩素系・還元型の漂白効果を実際に比較してみる
 

(ちなみに上の表はこちらのブログに載っている表も参考にしたのですが、細部をかずのすけなりに変更しています。)

 

 

こちらを見ると、もう次亜塩素酸Naの威力が一目瞭然ですね…(^o^;)

 

 

 

 

 

というわけで以上!

 

少々難しい話になったところもありますが、皆様の参考になれば幸いですm(_ _)m

 

 

 



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