ケラチンの強さの秘密… “ジスルフィド結合” について | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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髪の構造と「ケラチン」の性質


さて前回までは髪の基本構成物質である「ケラチン」について

その性質を簡単に説明しました。


今回はそのケラチンについて、もう少し詳しい話を進めていきます!



◎髪の毛の「結合」


ケラチンはその分子中に、基本的に以下の4つの結合(つながり方)を持っていることが知られています。


①水素結合

②イオン結合

③シスチン結合(ジスルフィド結合)

④ペプチド結合

 

画像:DEMI 髪の基礎知識「髪の4つの結合」より引用




①~④で順番が書かれていますが、

まず④のペプチド結合から説明していきます。


ペプチド結合はタンパク質の最も基本的なつながりです。

 

 

慶応義塾大学 自然科学教育センターより引用 (一部改変)



アミノ酸が2個以上繋がったものを「ペプチド」と呼び、

それがもっと長くなったものを「ポリペプチド」と呼びます。

そしてこの時のアミノ酸同士の結合のことを「ペプチド結合」といいます。


タンパク質はポリペプチドの一種で、

生物などの生体組織や構造体として特定の性質を持った物質です。


ケラチンを含めタンパク質は一本のポリペプチドのなが~い鎖で出来上がっているという基本条件があります。


それが長く続くとアミノ酸の「側鎖」というところの性質から、

 

 

「らせん」のような構造(左)とか平たい「紙」みたいな構造(右)を作るようになります。

こういうのがたくさん集まってタンパク質の複雑な立体構造が作られていきます。

 


画像:理化学研究所より引用

 

↑元は一本の鎖。



まぁケラチンはほぼ全部らせん構造(α-ヘリックス構造)で出来上がってますので簡単です。

 

 



で、先ほどの紹介した①~③の結合は、

この時のらせん構造を作る際に重要になる結合です。


 

つまり

④ペプチド結合→ケラチンの主要な鎖(主鎖)を作る結合

①~③の結合→主にケラチンの形(らせん構造)を維持する結合


ということになります。





①の水素結合は簡単にいえば「水の結合」です。

「尿素」について

水っぽいものは引き合うんだな~と思って頂ければ良いかと思います。(笑)

タンパク質中の結合の中では最も弱い結合です。

水に濡らせば切れます。(でも乾かすと再結合します)




②のイオン結合は、「静電気力の結合」です。

分子内の+に帯電しているところと-に帯電しているところでくっついてます。

これも弱めの力ですが数が多いので結構重要だったりします。

負電荷の強い陰イオン界面活性剤で髪が痛む理由はこの結合が関係してます。



しかし今日の話で一番重要なのは、

③のジスルフィド結合(シスチン結合)です。



ケラチンはタンパク質の中で最もこのジスルフィド結合が多く、

この結合はケラチンの特性を左右する非常に重要な性質を持っています。



◎ジスルフィド結合とシスチン

 

 

 

 

 

 

 

 


人の毛髪には約15%程度の『シスチン』というアミノ酸が含まれています。


シスチンは以下のように「システイン」というアミノ酸が2つくっついた構造を持ったアミノ酸です。

 

 


実は元々のケラチンのポリペプチド鎖には「システイン」の形で存在しているのですが、

システインは近くに同じシステインを見つけると

酸化反応を起こして合体し、「シスチン」として定着します。




化学用語として「S(硫黄)」のことはSulfur」と呼び、

「2つ」を「ジ」と表すので、この結合のことを

『2つ(ジ)の硫黄(Sulfur)が連なる結合』→「ジスルフィド結合」

と呼びます。


また『シスチンが形成される結合』という意味を込めて「シスチン結合」とも呼ばれています。





これがタンパク質の分子内で行われ、

以下のようにらせん構造を補強していくわけですね。
(他の水素結合とかイオン結合も同じように結合しています)

 

 

 

 

 

 

 



そしてこのジスルフィド結合の面白いところは、

この結合の『結合力』が水素結合やイオン結合とくらべて圧倒的に強力である

ということです。


水素結合やイオン結合が「何となく引き合っている」程度の力であるのに対し、

ジスルフィド結合は「ガッチリ手をつないでいる」くらいの力の差があります。


ペプチド結合はほとんど切れない結合ですが、

実はジスルフィド結合も結合力の話をすればペプチド結合にも匹敵するくらいの力を持っています。




さらに15%の含有は非常に多く、

ケラチン分子ではそこかしこでこの強力な結合が作られているというわけです。



またジスルフィド結合はケラチンモノマーのらせん構造を維持するだけでなく、

髪の毛を構成する際にケラチンモノマー同士で「束」を作るときの接着補強までしてくれています。

 

 

 

 

 

 




おかげでケラチンは非常に硬く・強靭で巨大な分子となっているのです!




◎髪はなぜ痛むのか(次回予告)



と、いうことで髪の毛の基本中の基本となる

「ケラチン」というタンパク質のお話を進めてきました。


これまでで分かったのは、

とにかく「髪」というのは非常に頑丈なタンパク質(ケラチン)で出来上がっていて、

その理由は「シスチン」というアミノ酸が『ジスルフィド結合』という強靭な結合を大量に形成しているから!

ということですね。



ですがこれだけ「硬い!」とか「強い!」とかいうお話をしてる割には、

髪の毛って案外簡単に傷んでしまうような…?(´・_・`;)




これは一体なぜなのでしょう。

次回解説していきます。



つづく!







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