公会計の動向 -38ページ目

年金運用は過去最悪

 東京新聞が6月28日に掲出した「年金運用、9兆円台の赤字 株価下落で過去最悪 」〔共同〕は、国民年金と厚生年金の積立金の市場運用で、20年度に9兆円台の赤字となったと報じる。単年度の赤字額としては、年金積立金管理運用独立行政法人(旧年金資金運用基金)が市場運用を始めた13年度以来、過去最悪で、赤字は2年連続とか。昨年9月の「リーマン・ショック」後の世界的な株価下落や円高による為替差損が響き、市場運用利回りもマイナス10%前後まで落ち込んでいて、19年度末で7兆円余りあった累積黒字は失われた計算になるとのこと。年金給付にただちに影響が出ることはないが、マイナス運用が続けば年金財政への影響も懸念されると記事は伝える。公的年金の積立金は全体で約140兆円で、うち90兆円余りを、厚生労働相が同法人に委託し、約8割を国内外の債券市場、約2割を株式市場で運用しているとのこと。20年度の市場運用分の収益は、昨年4~6月期が1兆3042億円の黒字だったが、株価下落の影響などを受け、同7~9月期が4兆2383億円、同10~12月期が約5兆7398億円の赤字となっていて、今年1~3月期も赤字は確実な情勢だったとか。市場での運用利回りは昨年4~12月期がマイナス9・13%、20年度通年では10%前後とさらに悪化したとのこと。


 日経が7月1日に掲出した「公的年金、運用損最悪に 08年度9.6兆円、世界株安が直撃 」は、公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1日i発表した2008年度の市場運用利回りがマイナス10.03%だったと報じる。運用損失は過去最悪の9兆6670億円とか。金融・経済危機による世界的な株安が響いて、過去2年の累積赤字は15兆円強と、市場運用を始めた01年度以降の累積収益に相当する規模に膨らんだとのこと。GPIFは国民年金と厚生年金の積立金を運用しており、3月末の運用資産総額は約117兆円で、このうち市場運用分が約92兆円を占めているとか。資産構成割合は国内債券が67%、国内株式が12%、外国債券が11%、外国株式が10%となっている。

問題が他にないか調べた偉大な市役所

 朝日が6月22日に掲出した「ふるさと納税20人の住民税控除漏れ 東京・武蔵野市 」は、東京都武蔵野市が22日に、ふるさと納税などで寄付をした市民20人に対して5月、個人住民税を控除せずに計算し、計72万円多く請求していたと発表したと伝える。ふるさと納税は、個人が居住地以外の自治体に寄付したとき、原則5千円を超えた金額分について居住地の住民税と所得税を控除する制度だが、武蔵野市によると、昨年、ふるさと納税や日本赤十字社東京都支部などに寄付した20人に対し、市民税計43万円、都民税計29万円を控除せずに請求したとのこと。担当職員が寄付の領収書や金額の記載を見落としたとか。今月、税額の通知書を受け取った男性が不審に思って市に問い合わせて発覚し、再点検したところ、ほかにも19人に同様の控除漏れが判明したとのこと。

日経が予備費の承諾案件を決算案件と誤認

 日経が6月24日に掲出した「参院、07年度の予備費決算を否決 」は、参院が24日午前の本会議で、19年度の一般・特別会計予備費の決算5件を、民主党などの反対多数で否決したと報じる。衆院を含め予備費の承認案件がすべて否決されたのは、昨年5月の参院本会議に続いて2回目で、衆院は4月の本会議で可決しているとのこと。麻生太郎首相は同日、「誠に遺憾。政府としては、今後とも予備費の適正な使用に努めていく」との談話を出したとか。


 「予備費の決算」との表現は誤り。

日本国憲法第八十七条
第1項  予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
第2項  すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

民主は一般歳出に13%のマイナス・シーリング?

 読売が6月23日に掲出した「民主「20兆円捻出」公約、無駄削減で9兆・埋蔵金も活用 」は、民主党が次期衆院選で掲げる政権公約(マニフェスト)の財源案について、「税金の無駄遣いの根絶」など歳出削減で9・1兆円、埋蔵金の活用や租税特別措置見直しなど歳入増で11・4兆円、計20・5兆円を捻出するとしていると報じる。歳入・歳出改革は4年間かけて行い、財源が確保され次第、1人あたり月額2万6000円の「子ども手当」や高速道路無料化などの政策を順次実施する計画とか。政府・与党は「国の一般会計と特別会計を合計した約212兆円の8割を占める国債費、社会保障関係費、地方交付税の3区分は削減の余地がない」として、民主党の主張を非現実的だと批判しているが、これに対し、民主党は「3区分の中にも削減可能な経費はある」として、3区分を「人件費」や「施設費」などの細目に分けて試算し、削減困難な予算は、〈1〉借金返済88兆円、〈2〉年金・医療などの保険給付47兆円、〈3〉財政融資資金へ繰り入れなど10兆円、計145兆円に過ぎず、残る67兆円のうち9・1兆円は削減可能としたとの由。

国の空港の着陸料を引き下げ

 毎日jpが6月17日に掲出した「国交省:国管理空港の国内線、来月から着陸料引き下げ 」〔位川一郎〕は、国土交通省が16日、国管理空港の国内線の着陸料を7月から来年3月まで引き下げると発表したと伝える。航空需要の急減を受け4月に方針を決めた航空業界支援策の一環で、運賃引き下げなどを通じ地方の航空ネットワークを維持するのが目的とか。引き下げ率は14~33%、引き下げの対象は既に軽減措置を取っている路線で、羽田、伊丹以外の空港に到着する場合は、3割軽減を4割軽減に広げるとのこと。羽田到着の場合は便数や旅客が少ない路線の引き下げ率が大きく、稚内、能登、佐賀などからの路線は5割軽減を3分の2軽減に拡大するとか。

22年度概算要求基準は7月初旬に決定の方向

 日経が6月12日に掲出した「概算要求基準、7月初旬に 財務省、決定前倒し検討 」は、財務省が、22年度予算の大枠となる概算要求基準(シーリング)を7月初旬にも決定する調整に入ったと報じる。3日か7日が軸で、7月下旬から8月にずれ込むことが多い近年としては異例の早さと記事は評する。「8月総選挙」が取りざたされるなど政治日程が不透明な中で、予算編成作業への政局の影響を最小限に抑える狙いがあるとみられると記事は伝える。平成元年以降、財務省(旧大蔵省)が7月初旬までに概算要求基準を策定できた年は3回しかなく、今年は政府が経済財政運営の基本方針(骨太の方針09)を23日に決定する予定で、同省は政府・与党内の調整を前提に、1週間程度で基準策定にこぎつける日程を有力視しているとか。

リニア中央新幹線の途中駅は各県1駅の地元負担

 毎日jpは6月9日に「リニア中央新幹線:JR東海社長 「1県1駅」設置を表明 」〔位川一郎〕を掲出。

 記事は、JR東海の松本正之社長が、8日に開かれた超党派のリニア中央新幹線建設促進国会議員連盟(堀内光雄会長)などの合同総会に出席して、リニアの途中駅について「1県に1駅ずつ設置することが適切と考えている」と明言し、駅の建設費については「受益の観点から地元負担をいただきたい」と述べたと報じる。途中駅については同社の葛西敬之会長が昨年末、1県1駅が「常識的な話だと思う」と述べていたが、同社が事業主体として正式に表明したのは初めてとのこと。東京-名古屋間でJR東海が2025年の開業を目指すリニア中央新幹線は、神奈川、山梨、長野、岐阜の各県を通るが、途中駅はこの4県に1駅ずつ設置されることになり、東京-名古屋間ノンストップと各駅停車の列車の両方が運転されるとみられるとか。山梨県では県内4地域が途中駅の誘致運動をしており、また、長野県内の自治体は、JR東海が望む直線ルートではなく、南アルプスの北側を迂回するルートを主張しており、今後、駅の設置場所をめぐってJR東海と各県の調整が活発化する見通しと記事は伝える。また、JR東海は駅設置に伴う追加費用の負担を地元に求める意向で、ホームや駅舎など、リニアの軌道以外の部分を想定しているとみられるが、具体的には「しかるべき時期に個別に説明したい」(松本社長)との由。山梨県の横内正明知事は8日夕、「JR東海の要望と受け止める。市町村や県議会とよく相談して県の態度を決めたい」と東京都内で記者団に語ったとか。


 時事が6月9日に掲出している「1県1駅は「合理的」=中央リニア、JR東海表明で-金子国交相 」は、金子一義国土交通相が9日の閣議後会見で、JR東海が「中央リニア新幹線」に「1県1駅」設置を正式表明したことについて「合理的な判断だ」と評価した上で、「地元調整が順調に進むといい。その結果、ルートもおのずから決まってくると思うので見守りたい」と述べたと伝える。

主要41空港で黒字は10空港

 日経が5月29日に掲出した「全国の主要41空港、75%が赤字 「航空政策研究会」分析 」は、航空に詳しい大学教授らでつくる「航空政策研究会」(理事長・杉山武彦一橋大学長)が29日、全国の主要41空港の収支分析を発表したと報じる。滑走路などの減価償却負担を除いても、全体の75%にあたる31空港が赤字だったとか。赤字が続けば、自治体の財政を圧迫する恐れがあるとのこと。同研究会はすべての空港に収支の公表を求めるなど経営の透明化を提言したと記事は伝える。空港は全国に97あり、株式会社で決算を公開している成田、中部、関西の3空港、小松など自衛隊との共用空港、離島空港は分析の対象外としており、北九州と神戸は2006年度、ほかは05年度の収支を調べたとのこと。主な空港を網羅した収支分析は初めてとか。減価償却費を除いた場合、収支が黒字なのは羽田、伊丹、新千歳など10空港で、黒字額は羽田(127億円)、伊丹(101億円)、新千歳(42億円)が大きく、ほかは10億円以下で、赤字が73億円と最大なのは福岡で、土地の賃借料などが重荷になっているとか。

市区町村の9割が今年夏の賞与をカット

 日経が5月27日に掲出した「市区町村の9割、夏の賞与カットへ 景気後退に配慮 」は、全国1611の市区町村が職員の今夏の賞与を削減することが総務省の調べでわかったと報じる。賞与削減に踏み切るのは全市区町村の89..5%に当たり、すでに減額を決めた国家公務員に準拠して月給の0.2カ月分の削減幅とする地方自治体が多いとか。景気の後退で民間企業の賞与も大幅に減りそうなため、官民格差の縮小を目指すと記事は伝える。神奈川県や愛知県、宮崎県など17県では、県内すべての自治体が減額を計画しており、例えば名古屋市の場合、月給の0.2カ月分に当たる約8万3000円を減らし、職員平均で約81万3000円とする予定とか。

アクアライン値下げ実験

 日経が5月22日に掲出した「アクアライン値下げ、8月から実施へ 千葉県が社会実験 」は、千葉県の森田健作知事が22日、金子一義国土交通相を訪ね、東京湾アクアラインの普通車通行料を800円に引き下げる社会実験を8月に始めると明らかにしたと報じる。期間は2011年3月末までで、金子国交相は「首都圏の物流体系を変える取り組みになる」と評価し、国も財源面などで協力する考えを示したとか。値下げは自動料金収受システム(ETC)を搭載した全車種を対象に、毎日行うもので、普通車以外の通行料は、軽自動車が640円、中型車が960円、大型車が1320円、特大車が2200円とし、いずれも現行のETC搭載車の平日昼間料金より6割安くなるとのこと。県は7月上旬に国、運送業者団体、東日本高速道路(NEXCO東日本)の担当者や学識経験者らによる協議会を設けるとか。21年度の総費用は20億円で、県と国交省が半分ずつ負担し、NEXCO東日本への減収補てんや、実験の調査費に充てるとのこと。


 東京新聞が5月27日に掲出した「アクアライン値下げに10億円 千葉県、6月補正予算案 」〔共同〕は、千葉県が森田健作知事が公約に掲げた東京湾アクアラインの値下げにかかる費用10億円を盛り込んだ一般会計の6月補正予算案を27日に発表したと伝える。県によると、アクアラインの通行料金を自動料金収受システム(ETC)搭載車限定で普通車800円、大型車1320円に値下げするため、本年度だけで現行料金との差額補てんが約17億円、効果調査費に3億円それぞれかかると試算し、これを国と半分ずつ負担したい意向で、県として10億円を計上したとのこと。国土交通省有料道路課は「22日に要望を受けたばかりで、現在検討中」とか。森田知事は27日の記者会見で値下げの効果について「(神奈川や東京と)相互に行ったり来たりすることがお互いの経済力アップにつながる」と述べたが、負担について話し合うと「2年、3年たつ」として、緊急に実施するため周辺自治体に応分負担を求めない考えを示したとか。


 毎日jp千葉ページが5月28日に掲出した「東京湾アクアライン:800円化 期待の一方、疑問も 求められる説明責任 /千葉 」〔森有正、児玉賢二、倉田陶子、木村健二〕は、東京湾アクアライン通行料が、県の「社会実験」として引き下げられることになり、森田健作知事は「4年でやろうと思っていたものが1カ月半でできた」と手放しで喜んでいて、一部の自治体では経済活性化を期待する声も上がっているが、県の負担が単年度で10億円に上ること、恩恵が自動車利用者に限られることなど、疑問の声もあると伝える。森田知事は4月半ばの会見で値下げ実現を冷ややかにみる県民やマスコミに向けて、「熱意は分かるができない、とか、冗談じゃない。初めに宇宙へ行こうと思わなかったら今、宇宙ステーションできますか。初めは思うことが大事だ」と息巻いていたとか。森田知事は就任直後から「とにかく行動することが大切だ」と訴え、官邸で麻生太郎首相に直談判で値下げの必要性を訴え、八都県市首脳会議(首都圏サミット)で合意を取り付けるなど、矢継ぎ早に手を打ち、難色を示す国土交通省をよそに、5月中旬再び麻生首相に直訴したとのこと。うれしいのは、地元の木更津市で、水越勇雄市長は「観光客増加など南房総地域全体の振興につながるものとうれしく思う。産業利用拡大も期待できる」とコメントしており、木更津などの商工団体などでつくる「アクアライン800円実現化推進協議会」も、「我々の長年の活動が実を結び、大変喜ばしい。値下げにより通行台数も増え、経済活性化につながるだろう」と希望を寄せているが、期待とは裏腹に懸念も消えておらず、地元の商工業者の間には「東京や横浜に買い物客や観光客を吸い取られる」(地元商店主)という「ストロー現象」への不安があるとか。富津市金谷で観光施設を営む鈴木裕士さん(48)は「観光客増加が期待できる」と歓迎する半面「(金谷発着の)東京湾フェリーは料金競争で厳しくなるだろう。産業廃棄物の持ち込みや不法投棄が増えるのではという心配もある」と話しているとか。そもそも、値下げを実現する根拠とすべき経済効果の試算は、県が2年前、普通車を750円に値下げした場合、東京圏で200億円を見込むもののみで、「直接的経済効果が約405億円、間接的経済効果は数千億円」と森田知事は繰り返している、その数字は、民間調査機関のデータと記事は伝えるが、民間調査期間のデータは信用できないという前提があるのかは不明。県の担当者は「8月からの値下げで経済効果のデータを得たい」としており、まず政策ありきで、根拠が後からくっついてくるようだが、そこは「あくまで社会実験」と言えば済んでしまうと記事は伝えるが、表現にトゲを感じるのは気のせいか。ETC搭載普通車を対象とする東京湾アクアライン800円化が、2年弱の期間限定とはいえスムーズに実現した背景には、県費を投じる「社会実験」というマジックがあり、舞台裏では、国土交通省と県の激しい駆け引きがあったとか。国交省幹部は、森田健作知事が値下げへ向けて動き出したころを「知事が要望したから、はいそうですかと料金を下げるようでは、全国同じことになる。そんな空気が省全体にあった」と振り返っているとか。森田知事は当初、全額国費による値下げを主張しており、首相や与党の支援で「政治案件」として国交省にのませようとした節があるが、「首都圏発展のためにも何とか……」と4月10日に値下げ要望に訪れた森田知事を、金子一義国交相は「ただ下げてくれと言うのではだめ」と追い返しており、「知事の政治力だけで、無理が通るような世界ではない」(同幹部)とか。県は作戦を切り替え、5月22日に「県による社会実験」として単年度20億円を国と県で折半する案で提案し、省内の空気はガラリと変わったとか。「国策で、という要望からロジックを変えたな、という印象だった」と幹部は語っているとのこと。国交省にも「弱み」があり、アクアラインは、9年の開業当初から高い通行料が大型車に嫌われ、首都高や京葉道路など在来路線の負荷は減らず、千葉と折半なら、渡りに舟、という受け止め方が広がっているとのこと。森田知事も国交省もともにメンツを保つのが「社会実験」のミソと記事は評する。記事は、懐を痛めずに恩恵を享受するのが神奈川県で、松沢成文知事は27日の会見で、通行料引き下げについて、「神奈川県で費用を負担することは考えていない。私どもとしては活性化が進んでいない状況にない」と伝えているが、神奈川県にとって「恩恵」があるかは疑問。