国債の111兆円は銀行が保有
日経が8月28日に掲出した「銀行の国債保有、最高水準 6月末の残高111兆円 」は、資金需要の低迷により銀行が運用難に陥っているため、銀行に預金の形で集まったお金が国債市場に流れ込んでいると報じる。国内銀行が保有する国債の残高は昨秋から急増しており、6月末には111兆円台と最高水準に達したとか。企業や個人への融資金利の基準となる長期金利の上昇を抑える効果がある一方、預金で集めたお金が民間の経済活動に回らない構図も鮮明になっていると記事は伝える。銀行は預金で集めた資金を企業や個人に貸し出しているが、余った分は有価証券などで運用しており、日銀の「民間金融機関の資産・負債統計」(オフショア勘定含む)によると、国内銀行の6月末の預金額は過去最高の約573兆円に拡大していて、一方、貸出金は約431兆円と3カ月連続で減っているとのこと。預金から貸出金を引いた「預金超過額」は過去最高の142兆円に達しており、この8割程度が国債に回っている計算になるとか。
暴力団を抜けたとの虚言で生活保護を受給するケース
毎日jpは8月19日に「生活保護不正受給:「稼ぎがなくて」容疑の組員送検 愛知 」〔秋山信一〕を掲出。
記事は、「暴力団を抜けた」とうそをつき生活保護費を不正受給したとして愛知県警が18日に、同県豊田市京ケ峰、指定暴力団山口組系暴力団組員(43)=恐喝未遂罪などで公判中=を生活保護法違反(不正受給)容疑で名古屋地検に追送検したと報じる。同組員は妻と子供2人の4人暮らしで「ヤクザの稼ぎがなく家族で生活するためにやった」などと供述しているとか。送検容疑は、20年11~12月ごろ、豊田市役所生活福祉課に「暴力団は抜けた」とうそをついて、所属する組の離脱証明書を提出するなどして生活保護を申請し、同12月~21年5月、7回にわたって、生活扶助費や教育扶助費など計約138万円を受給したというもの。厚生労働省は18年3月、指定暴力団で活動する組員は労働能力があるとみなし、生活保護費を支給しないよう都道府県に通知しているとか。
総務省が公営事業の合理化を求めている
東京新聞が8月15日に掲出した「赤字事業は廃止、譲渡を 総務省、公営企業で通知 」〔共同〕は、総務省が、地方自治体が運営する観光施設やバスなどの公営企業について、赤字が続いたり、民間と重複し行政が手掛ける必要性がなくなったりしている事業は廃止や民間譲渡、完全民営化を検討するよう自治体に通知したと報じる。一般会計でなく特別会計で運営されている公営企業なども含め、自治体財政全体の悪化度を判定する自治体財政健全化法が4月に全面施行されたことを受け、財政運営の足かせになりかねない公営企業の抜本処理をあらためて促したと記事は伝える。通知では、経営が悪化している観光事業について「廃止を含め、抜本的改革に積極的に取り組む」と明記しており、一部で運転手の給与が民間より高いバス事業は「民間事業者との均衡に一層留意し、適正な給与制度・運用にする」としているとか。総務省は21~25年度に限り、借金の繰り上げ返済など公営企業の廃止に必要な費用にも充てられる地方債「第三セクター等改革推進債」の発行を自治体に認めたとの由。
「地域手当」の超過支給による特別交付税減額
日経が8月15日に掲出した「総務省、173自治体で特別交付税減額 地域手当の超過支給で 」は、総務省が18~20年度に静岡県や愛知県一宮市など3県170市町村の特別交付税を減額していたと報じる。県職員らの地域手当を国の基準を超えて支給していたためで、3年間の減額総額は静岡県の7億5000万円を筆頭に、173団体で65億5000万円に上っているとか。静岡県は基本給の4%を地域手当として一律に支給していて、国の基準で対象外の職員に支給しており、同省は「財政的に余裕のある団体」と見なしたとのこと。超過支給額は3年間で34億円となっているとか。愛知県は交付税の不交付団体だったために18年度だけ削減したが、超過支給額は3年間で337億円に達しているとのこと。
特別会計についても主計簿締め切りの結果を一般会計と同時に公表
特別会計については20年度から「特別会計に関する法律 」によって財務省による共通的な統制が可能となって、情報開示も大幅に改善された。その背景を抜きにして、MSN産経ニュースが8月1日に掲出した「特別会計 剰余金28兆5400億円 財務省決算 」は、財務省が7月31日、平成20年度の特別会計決算を、昨年よりも約1カ月半早めて発表したと報じる。歳入から歳出を差し引いた剰余金は、国債整理基金、外国為替資金など21会計の合計で前年度比33.1%減の28兆5413億円となっていて、2年連続で減少したものの、剰余金は依然巨額と記事は評する。剰余金のうち、すぐに使う必要のないものは積立金として残され、これが「埋蔵金」と呼ばれると記事は伝えるが、将来の年金支給や地震時の保険金支払に充てるための積立金を「埋蔵金」と呼ぶ人は少ないだろう。20年度の決算でも剰余金から4兆1658億円が積立金に組み入れられていて、積立金の残高は21年度末で約183兆円に上る見通しと記事は伝えるが、そのほとんどは年金支給のための積立金のはず。国の財政が厳しい中、20年度は約6兆円を一般会計で、21年度は約10兆円を利用し、資金不足を埋め合わせていると記事は伝えるが、それも為替変動のリスクを低めに評価した結果のはず。記事は「財務省は、「国債償還や外国為替相場の安定など利用目的は決まっている」と説明している。しかし埋蔵金を新規施策の財源として活用したいとする声は、自民、民主両党の間から上がっている。」と伝えるが、「積立金=埋蔵金」という誤った前提を下にした意味のない文章。20年度の剰余金は、国債償還などのための国債整理基金特会が16兆4674億円、外国為替相場安定のための外国為替資金特会が3兆3761億円、財政投融資管理のための財政投融資特会が2兆3770億円などで、昨年は会計検査院への報告時期に合わせ9月中旬に決算内容を発表したが、今年は「国民の関心が高い」と時期を早めたと記事は伝える。同時に発表した一般会計決算の確定値は、歳入から歳出を差し引いた不足額が7181億円で、7年ぶりの「歳入欠陥」が確定したとのこと。
公表資料:平成20年度決算
大学入学希望者が地方回帰
毎日jpが7月31日に掲出した「地方私大:入学者増 不況で地元回帰? 」〔加藤隆寛〕は、私立大への今年度入学者は、昨年度比で、中国、東北などの地方で増え、都市部で減っていることが日本私立学校振興・共済事業団の調査で分かったと報じる。有名大規模校に人気が集中し、地方校が苦戦してきた近年の二極化傾向に変化が見られ、同事業団は「景気の悪化で、仕送りなど経済的負担がかからない地元校を選ぶケースが増えたのでは」と分析しているとか。通信制などを除く私大570校を調査したもので、全国を21地域に分けて入学者数が前年度から増加したのは、▽中国(広島除く)5.2%増、▽東北(宮城除く)4.8%増、などとなっており、一方、東京は入学者が0.5%減少。他に減少したのも神奈川1.3%減など主に都市部だったとか。定員3000人以上の大規模校の志願倍率は3年ぶりに下落し11.6倍(前年度比0.3ポイント減)、志願者も1万4000人余り減っているとのこと。同事業団はこうした傾向について「景気悪化による一時的なものなのか、今後も続くかは不明」としているとか。一方、入学者が定員に満たない私大は全体の46.5%(265校)で、過去最多を記録した前年度(47.1%)よりやや改善されていて、定員充足率50%未満の大学は2校増え31校になったとのこと。
国が管理している空港の損益
朝日は7月31日に「羽田・那覇…国管理22空港が赤字 黒字は4空港のみ 」〔山本精作〕を掲出。
記事は、国が管理する全国26空港について、税金投入を除いた営業損益では約8割の22空港が赤字に陥っていることが国土交通省の調べで分かったと報じる。同省がすべての空港別の収支を集計したのは初めてとか。ほとんどの空港が独立採算ではやっていけない実態が浮き彫りになったと記事は評する。国が管理する空港の収支は社会資本整備事業特別会計で一括管理していて、空港ごとの実質の収支が不透明との指摘があり、このため政府は「骨太の方針08」で透明性の高い空港別収支をつくる方針を示していたとの由。国交省は、企業会計に近い手法で収支を試算し、一般財源や航空機燃料税、自治体の負担金を投入する前の営業損益ベース(18年度)で22空港が赤字となったとか。営業赤字が大きいのは福岡の67億円、那覇の54億円、新潟の23億円、羽田の20億円で、福岡と那覇は空港用地の賃借料が響いており、新潟は2本ある滑走路など資産の減価償却費がかさんで、着陸料等収入の4倍の営業赤字となったとのこと。羽田は滑走路拡張工事に伴う整備費負担などがのしかかっており、新千歳を除く北海道の空港や、福岡に近い北九州空港も赤字額が目立ったと記事は評する。営業黒字は大阪(伊丹)の43億円、新千歳の16億円、鹿児島の2億円、熊本の2億円弱だけで、税財源を収入に含む経常損益だと営業赤字22空港のうち10空港が黒字に転じるとのこと。株式会社が管理する成田、関西、中部の3空港は今回の試算の対象外で、国交省は、自治体が管理する69空港についても同様の手法で収支を試算し、開示するよう自治体に要請するとのこと。国管理より人口の少ない地域に多く、赤字空港はさらに増えそうと記事は伝える。地方空港は増え続けているが、国内線利用客数は伸び悩んでおり、航空会社が不採算路線から撤退する動きも相次いでいてるが、これまでは空港の必要性を議論するための前提となる収支すら明らかになっておらず、今回、空港ごとの税金への依存度が判明したことで、「野放図」との指摘もある空港整備のあり方をめぐる議論が深まりそうと記事は伝える。
記事は、調査結果を31日に公表するとしているが、31日に開催される第2回交通政策審議会航空分科会空港別収支部会 で議事とされている「空港別収支の試算結果について」なのだろう。ちなみに、空港整備特別会計の19年度財務書類がここ にある。
交付税不交付団体が減少
日経が7月28日に掲出した「「不交付」自治体、09年度27減 愛知、4年ぶり「交付」に 」は、佐藤勉総務相が28日の閣議で、自治体の財源不足を補う地方交付税の配分額をまとめた21年度の「普通交付税大綱」を報告したと報じる。交付税がなくても財政運営ができる不交付団体は152自治体と前年度比27減っており、減少は2年連続とか。景気悪化による地方税の減収が響いており、不交付の都道府県は東京都のみで、業績悪化が目立った自動車産業の集積する愛知県が4年ぶりに交付団体となったとのこと。不交付団体が27減るのは、11年度の34自治体減などに次ぐ落ち込みで、特に昨年秋からの世界経済の低迷で、中部や北関東など製造業が集まる地域で企業からの法人2税(法人事業税・住民税)の減収が深刻化しており、国の支援がなければ住民サービスなどを賄いきれない自治体が増えたとか。愛知県は県税収入が今年度当初予算ベースで前年度比28.8%減の9680億円で、主力産業の自動車の販売不振などで、トヨタ自動車グループをはじめとする企業か らの法人2税が前年度の約3分の1の1981億円に減少しており、このため約406億円の普通交付税を受け取ることになったとか。
民主はトップダウン型の予算編成が可能と思っている?
日経が7月22日に掲出した「予算編成、迷走の懸念 民主は「脱官僚」掲げる 」は、衆院選で争点のひとつとなるのが国の予算など財政のあり方で、民主党は「官僚主導の予算づくり」からの脱却を掲げ、首相直属の「国家戦略局」を新設し、予算の骨格づくりを担わせる案などを検討すると報じる。これまでのやり方の大転換だけに、自民党や霞が関の官僚からは「現実的でない」との声も漏れており、政権交代が実現した場合、すぐに作業が始まる予算編成の難航は必至と記事は評する。これまでの予算編成では、各省庁が必要な予算を財務省に要求し、与党との折衝を経て政府全体の予算案を決める「積み上げ式」が軸となってきたが、民主党内ではこの手法を転換し、官邸主導で予算の大枠を決定→各省庁の予算額を決定という段取りに改革する案が浮上しているとか。予算の骨格を官邸主導でつくるため、首相直属の国家戦略局の新設も検討していると記事は伝える。
大阪市がピンチを自覚
朝日が7月16日に掲出した「大阪市「第2の夕張」危機 財政再生団体に転落、試算で 」〔島脇健史〕は、大阪市が今後10年間の収支見通しで、27年度にも財政破綻状態の「財政再生団体」に転落すると試算していると報じる。景気悪化で税収が大幅に落ち込んでいるためで、今後3年間の税収は昨秋の見通しより2千億円減り、10年後には2600億円の収支不足になるとしているとか。地方自治体財政健全化法に基づき、財政再生団体になると財政再生計画の策定が義務づけられ、国の管理下で市民サービスの大幅な見直しなどを迫られることになると記事は伝える。市は昨秋の試算で、23年度までの税収を2兆600億円と見込んでいたが、今年度予算では1200億円減少すると下方修正しているものの、その後の市内企業の業績悪化が市の予想を超えており、税収はさらに800億円落ち込み、1兆8600億円にとどまるとしているとか。今後、税収が伸びても生活保護費の大幅な増加も見込まれることから、30年度に2600億円の累積赤字になると試算しており、大幅な歳出削減に着手しなければ、26年度には実質赤字比率が基準の11.25%を上回って財政破綻手前の早期健全化団体となり、27年度には同比率が基準の20%を超え、財政再生団体に転落するとしているとの由。総務省によると、旧法(地方財政再建促進特別措置法)による財政再建団体は北海道夕張市のみで、現行法に基づく早期健全化団体、財政再生団体に転落した自治体はないとか。今回の収支見通しには、第三セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)の2次破綻に伴う最大495億円の損失補償などの要素は含まれておらず、実情はさらに厳しいとみられるとか。平松市長は昨年、職員給料の5%カットなど21~22年度に688億円の歳出削減策を打ち出したばかりで、敬老優待乗車証の有料化案など一部の削減案は、市議会の反対で暗礁に乗り上げているとのこと。