公会計の動向 -31ページ目

公共財のはずの街路灯が外部不経済を生じることもある

 東京新聞が1月20日に掲出した「広島、街路灯の光で「コメ不作」 庄原市が農家に賠償 」〔共同〕は、広島県庄原市が設置した街路灯の光でコメが不作となったとして、市が農家5軒に計14万円の賠償金を支払ったと報じる。夜間も光が当たり、稲の生育バランスが崩れたとみられると記事は伝える。市建設課によると、被害があったのは庄原市西本町と新庄町の水田計約1300平方メートルで、地元住民の要請で20年8月~21年5月に設置した街路灯5基のうち、水田付近の3基の光を浴びた稲は、夏ごろになっても実らなかったとか。21年8月、農家側の苦情を受け市が実態調査し、街路灯を消した後、穂はついたが収穫量が例年より大幅に減り、農協の買い取り価格などを参考に賠償額を決めたとのこと。市建設課は「賠償は異例だが、やむを得ない。水田を直接照らさないようカバーを付けるなど、工夫したい」としているとか。


公有地上の宗教的施設で憲法解釈に新基準

 東京新聞が1月21日に掲出した「市有地に神社 違憲 砂川・政教分離訴訟 『一般人の評価』新基準 」〔加藤文〕は、北海道砂川市が神社の敷地として市有地を無償で使用させていることが、憲法の政教分離原則に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷が20日、「特定の宗教を援助していると評価されてもやむを得ない」として違憲との判断を示し、その上で違憲状態を解消する方法について「撤去以外に現実的な手法があり得る」として、この点を審理するよう札幌高裁に差し戻したと報じる。政教分離をめぐり最高裁は11件の憲法判断を示しているが、違憲判断は愛媛玉ぐし料訴訟判決(9年)以来、2件目で、神社や寺院の関連施設には同様のケースも多いとみられ、国や自治体は対応を迫られそうと記事は伝える。これまで政教分離訴訟の判決では、行為の目的や効果が社会通念上、認められる範囲にあるかどうかを判断する「目的効果基準」(津地鎮祭訴訟・大法廷判決=昭和52年)が踏襲されてきたが、今回の判決は、市有地の無償提供が、宗教団体への公金支出などを禁じた憲法89条に違反するかについて「宗教施設の性格や無償提供の経緯、一般人の認識などの諸般の事情を考慮し、総合的に判断すべきだ」とする新たな基準を示したとか。違憲判断が示されたのは、砂川市の「空知太(そらちぶと)神社」をめぐる訴訟、原告は地元住民の二人で、神社の建物は町内会館と一体化しているが、判決は「建物は神道の神社の施設にあたり、行われている祭事なども宗教的な行事だ」と指摘し、「一般の人の目から見て特定の宗教に特別の便宜を供与し、援助していると評価されてもやむを得ない」として、政教分離原則を定めた憲法20条や89条に違反すると結論づけたとか。さらに神社の多くが戦後、国から土地の払い下げを受けたものの、国や地方自治体の土地に立つ神社も多数ある点を踏まえ、「撤去以外に違憲状態を解消する方法を検討すべきだ」としたとの由。判決は14裁判官中8人の多数意見であり、反対意見二人のうち一人は違憲としたものの「二審判決は正当で、市側の上告を棄却すべきだ」とし、いま一人は合憲と判断したとのこと。また5人が「二審の認定事実では判断できない」として憲法判断を示さなかったとか。大法廷は同日、砂川市内の別の市有地にあった「富平神社」をめぐって、市が市有地を町内会に無償譲渡した行為の是非が争われた訴訟の上告審では、「無償譲渡は違法状態の解消が目的であり、手段も相当」として全員一致で合憲とする判決を出したとか。記事の解説によると、この違憲判決には、二つのポイントがあり、一つは、訴訟対象となる宗教行為の目的と効果を「社会的・文化的諸条件」に照らして判断する「目的効果基準」を使わず、「一般人の評価も考慮し、総合的に判断するべきだ」とする新基準を示して、目的効果基準でカバーできない宗教行為に対する判断基準を設けたこと、いま一つは、「神社を撤去するのは現実的ではなく、ほかの手段があり得る」として、違憲状態を解消する手段を検討するよう高裁に審理を差し戻したこと。公有地上の宗教施設としては、関東大震災の犠牲者を慰霊する仏式の東京都慰霊堂(墨田区)や、伊達政宗の家臣をまつったキリスト教式の後藤寿庵廟(岩手県奥州市)などがあり、原告側は「全国で二千カ所以上」と主張しており、神社本庁(渋谷区)によると、法人格を持つ神社は約八万社あり、「公有地にある施設の数は把握していない」というが、公有地に存在することが違憲であるとすれば、全国で訴訟が相次ぐ可能性があり、判決は、こうした現状を考慮し国や自治体の混乱を避けるため、最大限の配慮を示したといえると記事は説く。


22年の政党交付金

 東京新聞が1月19日に掲出した「民主、交付金も初の第1党 36億円増、自民は激減 」〔共同〕は、総務省が19日、22年分の政党交付金を受け取るため、8政党が届け出たと発表したと伝える。共同通信の試算では、衆院選で大勝した民主党は、前年比36億3700万円増の172億9700万円で、初めて交付金でも第1党となったとか。一方、自民党は36億500万円の大幅減の103億7500万円と、民主党に約69億円の差をつけられており、夏の参院選にも影響を及ぼしそうと記事は伝える。公明党は23億8900万円(前年比2億2900万円減)、社民党は8億6400万円(同2600万円減)、国民新党は3億9700万円(同2200万円減)で、昨年の衆院選で議席を増やしたみんなの党は、2億4800万円増えて3億6100万円、新党日本は1億3500万円(同4600万円減)。自民との“議員トレード”で交付要件を保った改革クラブは1億2千万円(同4300万円増)を維持したとのこと。政党交付金制度に反対する共産党は、申請していないとか。政党交付金は、国民1人当たり250円を負担し、総額は319億4100万円とか。


公表資料:政党助成法に基づく政党の届出の状況

大阪府が予算策定過程で議会各派と意見交換

 読売が1月18日に掲出した「橋下知事提案「大阪版・事業仕分け」スタート 」は、大阪府の新年度予算案編成に向け、橋下徹知事ら府側と府議会各会派が、重要政策や財政状況について公開で意見交換する「大阪版事業仕分け」が18日i始まったと報じる。橋下知事が「議員にも予算編成に参画してほしい」と要望したのを受けて開催するもので、予算案が固まる前に知事と議会側が議論するのは異例とか。意見交換会は2日間の日程で会派ごとに開かれ、この日は最大会派の自民党(38人)からスタートし、府側は新年度の府税収入がバブル期前の水準に落ち込むとの見通しのほか、新年度に実施予定の私立高校生に対する授業料支援、大阪市内のライトアップ事業などについて説明したとのこと。議会側からは「授業料支援はもう少し手厚くできないか検討を」「ライトアップは、金をかけないようもう少し大阪市と協力を」などの注文が付いたとか。


 「事業仕分け 」とは関係なさそうだ。

大阪市は生活保護で財政破綻

 朝日サイトが1月13日に掲出した「大阪市の生活保護費が2割増 来年度2888億円見通し 」は、大阪市が13日、全国の市町村で最大となっている生活保護費が、22年度に21年度当初予算より445億円(18%)増え、過去最高の2888億円に上る見通しだと明らかにしたと報じる。うち市の負担額は722億円で、初めて700億円を突破するとか。市はこの日、22年度予算案について各局からの予算要求の概要を公表し、一般会計の要求額は1兆7050億円だが、不況で市税収入が大幅に減り、67億円の収支不足になると見込んでいるとか。なかでも生活保護費の増大が、市の財政を窮地に追い込んでいる状況で、市では一昨年末ごろから生活保護の申請が急増し、昨年11月現在の受給世帯は10万4643世帯(受給者13万5507人)で、20人に1人が生活保護を受けている計算になるとのこと。市幹部は「大阪市は生活保護で破綻する」として、若年層への雇用支援や、「貧困ビジネス」の根絶などを国に求めていると記事は伝える。


耕作放棄地を山林へ用途変更して国庫補助を受けようとする県

 東京新聞が1月6日に掲出した「長野の耕作放棄地、山林に変更へ 4千ヘクタールを調査 」〔共同〕は、長野県が、長期間、耕作が放棄され樹木が生い茂った県内の耕作放棄地約4千ヘクタールについて「山林」に用途変更できるかどうか調査する方針を固めたと報じる。農地への復元が困難になっている現状に対応し、多くを用途変更して森林資源としての活用を図る見通しと記事は伝える。耕作放棄地は過疎、高齢化に伴い全国で急速に拡大しているが、農林水産省は「これだけの規模を山林に用途変更する例は聞いたことがない」としており、放棄地対策に悩む各地の自治体や、環境、雇用対策として林業再生を重視する政府の関心を集めそうだとか。長野県によると、20年度時点の林野化した県内の放棄地面積は6626ヘクタールで、鹿児島県に次いで全国2番目だが、このうち農振地域を除いた山間地など4175ヘクタールについて、22年度から5年間かけて木の種類や樹齢、密度などを調べて、山林への用途変更を検討するとのこと。市町村の農業委員会での審議などを経て、放棄地が農地から山林に用途変更されれば、国から森林整備の補助を受ける道が開かれるとか。

ダム建設負担で得た水利権を返上

 MSN産経ニュースが1月4日に掲出した「宮崎市、一度も取水せず52億円…ダムの水利権返還 」は、宮崎市が水需要予測を誤り、工事費約52億円を負担した平成12年完成の県営田代八重ダム(宮崎県小林市)から一度も取水せず、17年に水利権(1日6万トン)を国に返上していたと報じる。市は現在、工事費に充てた市債の元利償還金やダムの維持管理費として年約1億3千万円を水道事業会計から支出しており、担当者は「予測が甘かった。当面利用しないため水利権は一時的に返上したが、渇水時の保険としての貯留権は維持している」と釈明しているとか。市によると、ダムは大淀川水系の綾北川上流に水道水確保や発電の目的で造られ、総工費約290億円は同県と宮崎市が負担し、市は昭和55年度、完成時の平成12年度には給水人口が約14万人増えて1日約6万トンの水不足が生じると予測していたが、人口増は約4万5千人にとどまり、水需要も予測を約11万トン下回ったとか。このため、17年に河川法に基づいて国土交通省に水利権を返上したとの由。

公営企業にも減損会計を導入

 47NEWSが12月24日に掲出した「公営企業会計の基準を厳格化 民間並みに、総務省 」〔共同通信〕は、総務省の有識者研究会が24日、地方自治体が特別会計を設けて運営する鉄道や病院などの地方公営企業について、負債計上や資産評価などの会計基準を民間並みに厳格化すべきだとする報告書をまとめたと報じる。総務省は地方公営企業法施行令などの関連法令を22年度に改正し、2~3年の準備期間を経て実施する方針とか。財務内容を正確に情報開示して、住民が経営状況を監視しやすくするのが狙いで、財務内容の悪さが浮き彫りになり、料金引き上げなどの対応策を迫られる公営企業も出てきそうと記事は伝える。報告書は、設備投資に充てた長期借入金や地方債を「借入資本金」として資本に計上する公営企業特有の会計処理をやめ、負債に含めるよう提言するとともに、経営不振で投資額が回収できなくなった場合、土地や設備などの帳簿価格を引き下げ、損失を決算に反映させる「減損会計」の導入を求めたとか。


公表資料:「地方公営企業会計制度等研究会」報告書の公表

自治体関係会社の4割弱が赤字

 日経が12月25日に掲出した「三セクなど37%が赤字 08年度末 」は、総務省が25日、地方自治体が出資する第三セクターや公社、独立行政法人の20年度末の経営状況を発表したと伝える。自治体から一定の出資、財政支援などを受けている7431法人のうち37.5%、2787法人が赤字で、赤字法人の割合は19年度末に比べて2.3ポイント増えており、地域経済が厳しいなか、三セクの経営改善が遅れている実態が浮き彫りになったと記事は評する。赤字額の合計は1093億円で前の年度末に比べて0.3%増加しており、業種別では鉄道や空港ビルの運営会社など「運輸・道路」の赤字額が350億円と最も多く、「地域・都市開発」「農林水産」が続いたとか。実質的な債務超過に陥っているのは409法人で、前年度末に比べて15法人減っており、債務超過の総額は13.5%減の3705億円で、多額の債務超過を抱えていた大阪市の三セク、大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)が経営破綻し、調査対象基準から外れたことが影響したと記事は伝える。

公表資料:第三セクター等の状況に関する調査結果

生活保護費の不正受給による損害の回復

 朝日が12月23日に掲出した「不正な生活保護費の返還、35億6千万円が未収 大阪市 」は、大阪市の生活保護費に関し、不正受給などで市が返還請求すべき債権のうち、20年度で約35億6千万円が未収となっており、うち約7億8千万円が時効で欠損処理されたことが市公正職務審査委員会の調査でわかったと報じる。審査委は21日、催告状を送っていなかったり、時効中断の手続きを取らなかったりした市側の対応は問題だとして、適切に管理するよう勧告したとか。生活保護受給者が収入を隠して不正受給したり、受給後に年金など収入を得たりした場合、市は支給額を返還請求することになっており、20年度決算で返還請求すべき債権額は約54億4千万円だったが、返還されたのは約18億8千万円で、約7億8千万円(4375件)は納付期限から5年間の時効を過ぎていて、欠損処理し、残る約27億8千万円(9万3362件)を未収金として計上しているとのこと。審査委によると市内24区のうち少なくとも11区では、未返還の受給者の書類を生活保護終了後5年で廃棄しており、催告状の未送付なども散見され、「マニュアルが職員に徹底されていない」と指摘したとか。21年度には新たに33億円の返還請求が発生し、21年度決算では10億円が時効になる見込みで、委員長代理は「早急に時効中断の手続きが必要」と促したとか。