公会計の動向 -32ページ目

受注予定が狂うリスクは誰が負担すべきなのか

 朝日が12月23日に掲出した「富士重、防衛省提訴へ ヘリ発注中止巡り 」は、富士重工業が22日、防衛省の戦闘ヘリコプター調達の方針変更でライセンス料などが未回収のままになっている問題で、同省に400億円弱の支払いを求める民事訴訟を起こす方針を固めたと報じる。来年1月にも提訴するとのこと。国と少数の企業が「蜜月」関係を保ってきた防衛業界で、企業側が国を訴えるのは、極めて異例と記事は評する。問題となっているのは、防衛省が13年に62機の導入を決めた戦闘ヘリ「AH64D」(愛称アパッチ・ロングボウ)で、同ヘリを生産する富士重工と関連部品メーカーは、すでに米ボーイング社にライセンス料など4百数十億円を支払っており、富士重工は、これを62分割して1機ごとの代金に上乗せして回収する予定だったとか。ところが、防衛省の発注は19年度までの計10機だけで、その後は事実上中止されたとのこと。同社は21年9月、ライセンス料など400億円弱に、購入済みの部品代100億円弱を加えた計500億円弱の支払いを同省に文書で請求したが、現在まで同省はライセンス料を支払う意思を示しておらず、損害賠償請求に踏み切るとのこと。購入済み部品代は、支払う可能性が残っていると見て、当面提訴を見送るとか。


 ライセンス生産せずに輸入していれば良かった、ということなのか?

補助金の交付金化を進める

 東京新聞が12月20日に掲出した「自治体向け交付金1兆円を創設へ 国交省、財務省が方針 」〔共同〕は、国土交通省と財務省が、22年度予算で1兆円規模の地方自治体向けの新たな交付金を創設する方針を固めたと報じる。下水道や道路、河川などの補助金を対象に、自治体の裁量を増やし、使いやすいように衣替えする考えで、民主党が16日に政府に出した「重点要望」で求めた「三位一体改革で削減された地方交付税1兆1千億円に見合う交付金の創設」を受けた措置だとか。ただ既存の補助金の衣替えのため自治体に配分する額は増えず、地方側が求める交付税の大幅増額も難しい情勢で、反発が出そうと記事は伝える。交付金は下水道などの補助事業について、政策目的に基づき、(1)活力、(2)環境、(3)安全・安心、の3分野に分けて創設する方向で検討しており、交付額は自治体が提出した計画に基づき決定し、使途はそれぞれの趣旨に合う範囲で自治体の裁量に委ねることで自由度を増やすとのこと。一方で、地方で無駄な事業が生まれないよう、交付条件として住民参加で事業を事後評価する仕組みの創設も自治体に求める考えで、21日までに対象とする補助金や制度の大枠を固める予定とか。交付金の規模について財務省は国交省が1兆円、農林水産省が1千億円とする方針とのこと。

21年度補正予算に、こども手当支給のためのシステム経費

 東京新聞が12月15日に掲出した「子ども手当システムに123億円 厚労省、不可欠と 」〔共同〕は、厚生労働省が21年度第2次補正予算案に、市区町村が子ども手当の支給事務に使う電算システムの開発経費123億円を盛り込んでいると報じる。政府が目指す来年6月の支給開始には、21年度内に自治体の準備を整えておく必要があるとのこと。子ども手当は、中学卒業までの子ども1人当たり月額1万3千円(11年度以降は倍額)について2、6、10月の年3回支給を想定していて、電算システムは、自治体が対象者の認定や支給を管理するのに不可欠とか。来年4月の施行予定日までにシステムを発注するには、自治体が地方議会で予算の承認を得なければならず政府は年度内の予算計上が必要と判断したとのこと。

定額給付金の国庫返納

 朝日が12月6日に掲出した「定額給付金、130万世帯申請せず 190億円が国庫へ 」〔丑田滋〕は、景気対策として打ち出された総額約2兆円の定額給付金の対象約5500万世帯のうち、約130万世帯分の申請がなく、金額にして予算の約1%、190億円強が国庫に戻ることが、総務省のまとめでわかったと報じる。札幌市が11月20日で締め切ったのを最後に全国の自治体で受け付けが終わっており、11月30日時点の総務省のまとめでは、対象の97.6%の世帯に、計1兆9359億円が支給されているとか。申請がなかった約130万世帯は、給付金の趣旨に反対で申請しなかったか、自治体が転居先をつかめず申請書が届かなかったなどの理由が考えられるとのこと。都道府県別の世帯給付率は、秋田、山形、新潟、島根、鹿児島など8県が99%台だった一方、都市部の東京、愛知は95%台と低かったとか。一方、朝日新聞の調べでは、政令指定市と県庁所在地計50市のうち13市が「使い道が決まっていないなら」「受け取る意思がないなら」などと住民に寄付を呼びかけたが、全体としてはうまく寄付が集まらず低調だったとの由。浜松市は6月、寄付の受け皿となる基金を創設し、300万円の寄付を見込んで、公共施設にチラシを置くなどしたが、31件62万3千円にとどまり、担当者は「給付金に批判的だった人も、受給まで時間がかかり、寄付にも手間がいるとあって、思いが冷めたのでは」とみているとのこと。校舎の耐震補強や災害応急対策などに寄付を募った長野市は28件50万3千円、市民活動支援や地域福祉などの基金に募った山形市は9件14万円にとどまっており、川崎市も8月末までの寄付のうち給付金からと確認できたのは15件23万5千円だけだったとか。大阪市は、申請書を入れた封筒の裏などでふるさと納税での寄付を呼びかけたが、1人当たりの給付額と同額の寄付を選び出して集計すると、10月末までに寄せられたのは60件99万2千円にとどまっており、一方で不申請は約6万世帯あって、約8億5千万円が国庫に戻るとのこと。市によると、いったん受給してから寄付の手続きをとる必要があると説明すると、「めんどうくさい」と言われるケースがあり、手続きの煩雑さが嫌われた面があるようだと記事は伝える。大阪市と同様のやり方で寄付を募った神戸市も27件53万3千円、京都市も給付金からと確認できたのは13件約20万円で、いずれも3億円余が国庫に戻るとか。鳥取市は8月、帰省する人が多くなる盆に合わせ、広報誌で寄付を呼びかけたが、給付金が原資と確認できたのは1件3万円のみだったとか。「成功」と言えるのは横浜市で、1万1339件、計9778万7812円が集まっており、これは、申請書の入った封筒に寄付の申込書も入れ、申請書と一緒に申込書を出せば自動的に寄付に回るようにしたのが奏功したとの由。市のホームページからクレジットカードでも寄付できるシステムづくりも含め約1800万円かけたが、それを上回る成果があったと記事は評する。

雇用安定資金が枯渇する

 朝日が12月6日に掲出した「雇用調整助成金、3000億円不足の見通し 10年度末 」〔林恒樹〕は、国が企業に休業手当の一部を助成する雇用調整助成金の利用が急増しているため、財源となる積立金が、22年度末に3千億円程度足りなくなる恐れがあることが厚生労働省の試算で分かったと報じる。景気の低迷が長期化するなか、同省は今後も多くの利用があるとみて、失業給付向けの積立金からの借り入れで不足額を確保することを検討しているとか。雇用調整助成金は、国が企業に従業員の休業手当や教育訓練中の賃金を助成し、解雇を食い止めるのが狙いで、昨秋以降の雇用情勢の悪化で、要件の緩和や助成率の引き上げが繰り返されており、大企業は最大で休業手当の4分の3、中小企業は9割が助成されるとのこと。利用を申請して計画が受理されたのは、昨年10月には140事業所の3632人分だったのが、今年10月は8万4672事業所の197万2568人分に増えており、財源となる労働保険特別会計の雇用安定資金は、雇用保険料のうち企業の負担分でまかなわれているが、利用の急増で、20年度末に1兆円余りあった残高は21年度末には3500億円に減る見通しで、22年度末の残高は、10月時点では1100億円になると試算していたが、新たな経済対策で12月から要件がさらに緩和されたことや、雇用情勢の厳しさが続いていることから、3千億円程度の不足が生じる見込みとなったとか。同省は不足分を一般会計から直接、穴埋めすることを検討したが、政府内の調整がつかなかったため、労使折半の雇用保険料と、国庫負担を財源とする失業等給付の積み立てから不足額を借り入れるよう検討しているとのこと。失業手当の受給者も増えているが、残高は21年度末で4兆8千億円あり、一時的な借り入れであれば給付に影響がないと判断したと記事は伝える。

国大病院の赤字

 東京新聞が12月2日に掲出した「45国立大病院“赤字”82億円 「経営努力にも限界」 」〔共同〕は、全国45の国立大病院が大学本部から受けた支援金(実質的な赤字)の合計額が20年度だけで約82億円に上るという国立大学協会の調査結果を、旭川医大の吉田晃敏学長が札幌市であった記者会見で明らかにしたと伝える。政府の行政刷新会議は大学予算の見直しや、診療報酬の配分見直しを判定したが、吉田学長は「病院の経営努力にも限界がある」としていると記事は伝える。同協会の調査によると、16年度に約18億円だった支援金は20年度には約82億円に増加しており、19年度は16病院が赤字だったとか。各病院は国立大が法人化した16年度以降、経営努力で手術件数や診療単価は増加しているものの、診療報酬改定や運営費交付金の減少で経営は困難になったとの由。病院への交付金総額は16年度は約584億円で、21年度は65%減り約207億円との由。国立大学協会経営支援委員会病院経営小委員長の吉田学長は「地方の病院が消えていく状況で、医師を派遣している大学付属病院は地域医療の最後のとりでだ」と話したとか。

8道府県で基金から一般会計へ融通

 朝日が12月2日に掲出した「8道府県、基金から借金 大阪6千億円、兵庫3千億円 」〔池尻和生〕は、全国の都道府県のうち大阪府など8道府県で、特定の目的で積み立てた基金から一般会計が複数年度にわたって借り入れを続けていたことが、朝日新聞の取材でわかったと報じる。このうち大阪や北海道、香川など5道府県では、返済計画も立てていなかったとか。基金は地方自治法で「確実な管理」が定められており、総務省は「返す計画さえないのは問題だ」としていると記事は伝える。基金は自治体が文化の振興や借金の一括返済などに使うため、市民の寄付や一般財源を積み立てたもので、現金が不足した場合などに短期間、一般会計が基金から借り入れることは認められているが、複数年度にわたる借り入れは想定されていないうえ、予算書にも明記されず、「隠れ借金」と問題視されているとのこと。総務省が今春、都道府県の今年度当初予算を調べたところ、11道府県で基金からの借り入れ予定があったとか。朝日新聞の取材では、このうち複数年にわたって借り入れていたのは、大阪6681億円、兵庫3639億円、岡山288億円、香川102億円など、8道府県(金額は借入残高)で、なかでも北海道、青森、大阪、岡山、香川の5道府県は、いつ、どうやって返すのかという返済計画もなく、大阪府や北海道では、返済が事実上困難な状態とか。地方自治法では、基金などの現金は「最も確実かつ有利な方法により、保管しなければならない」と定めており、また5道府県の基金条例でも、確実な返済方法を定めることになっていて、条例違反にあたる可能性もあると記事は評する。返済計画がないことについて、大阪府財政課は「当初は借入期間を1年とし、必要であれば延長するという方針だったため」と説明しているが、返済すれば行政サービスを削ることになると判断し、「毎年、延長を繰り返してしまった」とか。北海道財政課も、1年の借り入れだったはずが「将来返さねばと思いつつ、延長を繰り返してきた」としているとか。また大阪府や北海道は借り入れた基金に利息を支払ってきたが、香川県では利息なしで借り入れを続けた結果、基金に運用益が出ておらず、ダム管理などのための基金約82億円を一般会計に貸している同県水資源対策課は「銀行に預ける方が運用上は有利だが、今の財政事情を考えれば仕方ない」と語っているとか。一方、大阪府に次ぐ3639億円の兵庫県は、7年の阪神大震災後の財政難で、7年度から一般会計で本来負担する毎年度の県債の償還分まで、減債基金を取り崩してあて、事実上の「借り入れ」となっているとか。総務省財務調査課は、一般会計で基金からの「借金」を続ける手法について「各自治体に改善するよう助言している」と話しており、また、すでに借り入れている場合は、返済計画を示すことが必要だとしているとか。

大阪府に「渡り」の残滓

 朝日が12月1日に掲出した「大阪府、給与かさ上げ 昇任せずに年176万円加算も 」〔池尻和生〕は、大阪府が給与ランクでは最も低い主事級を長年務める行政職の府職員に、それより上の係長級や課長補佐級と同じ給料を払っていると報じる。係長、参事、副理事らにも、それぞれ一つ高いランクの給料を支給しており、橋下徹知事は、こうした事例を23年度から見直す考えを示したと記事は伝える。府企画厚生課によると、ランクは1級(主事)から10級(部長)まであり、主事級は1~2級だが、在任が長くなると「主任主事」「専任主事」と呼び名が変わり、係長昇任に必要な論文・面接試験に合格しなくても、係長級や課長補佐級の給料が支給されているとのこと。本来、主事級の年収最高額は約550万円だが、この仕組みで課長補佐級相当の約726万円となり、176万円が加算されることになるとか。係長も8年以上の経験で課長補佐級、参事も5年以上で課長級、副理事も3年以上で次長級と、それぞれ一つ高い級の給料が支払われており、副理事の年収加算額は最大約108万円とか。いずれも「職務経験が豊富で人事評価が良好な場合に昇級される」としているが、一定の経験年数があれば大半は「昇格」が認められてきていて、こうした手法は「わたり」と呼ばれ、対象者は主事級で千人近く、係長級では約2200人にのぼるとか。府は18年度に「主事級の給料はあまりに手厚い」と給与制度を見直し、新規の「わたり」が出ないようにしたが、当時、上の級相当の給料を受け取っていた主事級の給料は据え置いており、府は「完全に廃止すれば、大幅な減給で生活できなくなる」と説明するとか。総務省は「大阪府は国と比べても手厚く、合理的な説明もない。毎年、制度の見直しを求めている」としていると記事は伝える。

800事業のうち休止は3事業

 国交省は先月上旬から各自治体に対して順次、道路や河川などの整備についての22年度予算の見通しを提示していたが、東京新聞が12月2日に掲出した「休止3件、休止候補2百件  道路事業の説明終了、国交省 」〔共同〕は、国土交通省が1日、道路整備など22年度の直轄公共事業の実施計画について大阪府に提示し、都道府県と政令指定都市への説明を終えたと報じる。同省が各自治体に対して説明した22年度の道路建設の事業計画は、大規模な防災対策なども含め計約800件で、このうち熊本県の国道57号阿蘇大津道路など3件は「休止」と説明資料に明記しているとのこと。22年度の事業進ちょく見込みを予算額ベースで「0~1億円程度」にとどめた休止候補は、各自治体へ説明した件数の合計で約200件とか。実際に休止する事業は、今後の予算編成過程で国交省の政務三役が絞り込むとのこと。河川については、国と水資源機構の48ダム事業を一時凍結するとした前原誠司国交相の方針をあらためて説明したとの由。

在外公館維持費の事業仕分け

 東京新聞が11月26日に掲出した「豪華在外公館ゾロゾロ 仕分け テニスコートや温水プール計画も 」は、外交の前線基地である大使館など在外公館の維持経費や、高額という指摘がある在外勤務手当にも25日の事業仕分けでは「見直し」判定が下ったと報じる。特に在外公館に併設されたプールやテニスコートなど福利厚生施設が問題視され、国民の常識から懸け離れたぜいたくぶりに仕分け人からもため息が漏れたと記事は伝える。外務省は、204の大使館、総領事館のうち「84にプール、26にテニスコート」があると説明したが、ぜいたくとの批判には「もともと既存の施設に付いていたものが多い」と弁明したとか。だがロシアの日本大使館を新築する際、温水プールやテニスコート、サウナなどを備えた豪華施設にする計画が明るみに出て、世論の批判を浴びたためにプールなどの建設を中止した経緯もあり、外務省の説明は説得力を欠くと記事は伝える。省内でかつて「三年間海外勤務すると家が一軒建つ」と言われた在外勤務手当は、14年以降、「大使クラスで約40%減っている」(外務省在外公館課)というが、それでも国内勤務で月収59万円の職員の場合、ワシントン勤務になると在外勤務手当込みで月収が98万円と大幅増になり、24万円を上限とする住宅手当も上乗せ支給されることが示され、依然として手当が高額な実態が浮かび上がったと記事は伝える。