公会計の動向 -21ページ目

日本学生支援機構の不手際

 毎日jpが11月12日に掲出した「日本学生支援機構:奨学金支給ミス相次ぐ 書類審査に不備 」〔藤田剛〕は、独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)の奨学金が、支給予定日の11日に入金されなかったケースが全国で相次いると報じる。書類を審査する手続きなどに不備があったため、振り込みが誤って停止されたとの由。同機構によると、対象は全国約400の国公立・私立大学などに通う約1050人で、未支給の総額は少なくとも約5000万円に上るとか。同機構は22日に改めて入金するよう準備を進めており、担当者は「大変申し訳ない。再発防止を図りたい」としていると記事は伝える。同機構の説明によると、誤って入金が停止されたのは、今年4月から奨学金を受け始めた学生の一部で、機構は今年度から、奨学金の貸与を始める際、連帯保証人や返済方法などを記した「返還誓約書」の提出を学生に義務付け、提出されなかった場合は貸与を停止するようにしたが、この誓約書の審査に不備があったとか。誓約書の提出期限は6月で、記載漏れなどがあった場合、8月にいったん学生に送り返し、9月上旬までに再提出するよう求めることになるが、その後、学生が期限内に誓約書を再提出したのに、機構側の審査やデータ処理が間に合わず、奨学金を管理するコンピューターシステムが誤って入金を停止してしまったとか。機構の担当者は「制度が変わり、事務量が膨大になった。スケジュールに無理があった」と説明しているとのこと。同機構の奨学金は、全国の大学・大学院生の3分の1以上にあたる約118万人が利用しており、無利子と有利子(上限3%)の2種類があり、月額3万円から20数万円の貸与を受けられるとか。


地方議員年金は廃止の方向

 毎日jpが11月12日に掲出した「地方議員年金制度:来年6月廃止で調整 公費負担、1兆円超 」〔笈田直樹〕は、政府が「平成の大合併」による市町村議員の激減で破綻が懸念される地方議員年金制度について、来年6月にも廃止する方向で最終調整に入ったと報じる。廃止後の保障などの条件を詰め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針だが、廃止に伴う公費負担は1兆円を超える見通しで、抜本改革を先送りしてきたことに批判の声も上がりそうと記事は伝える。議員年金の掛け金を支払う現職議員は合併に伴い、21年度末までの5年間で3分の2の約3万6300人に激減する一方、受給者はほぼ横ばいの約9万3500人のままであり、現役世代の掛け金だけでは賄えず、既に公費を投入しているとのこと。計700億~780億円の年間支給額の約4割を都道府県や市町村が負担し、国が交付税で補てんしていて、計約350億円の積立金は市町村議員分が23年度、都道府県議分は33年度に枯渇する見通しとか。受給資格は在職12年以上と公的年金の25年と比べ短く、他の公的年金と重複加入できるため「特権的」との批判もあるとの由。10日の民主党地方議員年金プロジェクトチーム(PT)の会合では「存続は難しい」との意見が大勢を占め、党所属の地方議員2590人を対象としたアンケートでも、回答があった1249人(回答率48%)の72%が「廃止」を支持しているとのこと。ただ、廃止で生じる1兆円超の公費負担がネックであり、総務省の検討会が昨年末に示した案では、既に受給している元議員は現行通りとし、在職12年以上の現職議員は退職時に掛け金総額の64%の一時金を受けるか、現行通りの年金を選択できるとしているとか。公費負担は今後約60年間で1・12兆~1・35兆円となるとのこと。全国市議会議長会は一時金の割り増しを条件に廃止容認を総務省に伝えたが、都道府県、町村議会議長会は存続を要望しており、片山善博総務相は10月の記者会見で「当事者(地方議員)がどう考えるかが一つのポイント。国民にとってどうか、を一番最重要の視点として考えてもらいたい」と注文を付けているとか。


21年度決算検査報告

 MSN産経ニュースが11月5日に掲出した「税金ムダ、不正…過去最多1兆7904億円 検査院指摘 」は、会計検査院が5日、国や政府出資法人などの平成21年度の決算検査報告をまとめ、菅直人首相に提出したと報じる。税金の無駄遣いなど不適切な経理処理の総額は約1兆7904億円で過去最高を更新し、件数も986件で最多とか。国の財政難が深刻化するなか、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(鉄建機構)が約1兆2千億円の利益剰余金を積み立てていたことを明るみにし、国庫に納付するよう求めたことが全体の指摘額を押し上げたとの由。検査は各省庁や出先機関、国が出資する特殊法人など約5200カ所を対象に実施し、不適切経理の総額は、これまで過去最高だった20年度の約2364億円の約7.5倍にあたり、件数も過去最多だった19年度の981件を上回ったとか。省庁・機関別で最も指摘金額が多かったのは国土交通省で約1兆2131億円、次いで厚生労働省の約1336億円、農林水産省の約909億円とか。今年度は独立行政法人などが造成した基金(いわゆる埋蔵金)を国に返還するよう求めたケースが目立っており、鉄建機構の剰余金のほかにも、整理回収機構が業務で得た利益に関する資金約1837億円など、100億円を超す規模の埋蔵金が多数見つかったとか。悪質な経理処理を表す「不当事項」は約202億円で、昨年度より約79億円増加しており、地方自治体では調査対象となった47都道府県と全国73市のうち、2市を除くすべての自治体で不正経理が見つかり、合計額は3年分で計約68億円(うち国庫補助金相当額は約34億5千万円)に及んだとか。


公表資料:平成21年度決算検査報告の概要

法人申告漏れを年間で2兆円見付けた

 朝日が11月4日に掲出した「法人の申告漏れ2兆円超 過去2番目の多さ 国税庁調査 」は、今年6月までの1年間に税務調査を受けた全国の法人の申告漏れ額は2兆493億円(前年比154%)に上り、統計を始めた昭和42年以降、平成10年に次いで2番目に多かったことが国税庁のまとめで分かったと報じる。海外取引を行う法人で計8千億円(同366%)の申告漏れがあり、総額を押し上げる一因になったとか。申告漏れがあったのは、同庁が調べた13万9千社のうち10万社で、そのうち2万9千社で仮装や隠蔽などの不正経理があったと指摘されていて、追徴税額は重加算税を含め、計3799億円だったとか。調査を強化している国際取引関連では、租税条約を結んでいる58カ国と年間50万件の情報交換を実施していて、こうした情報交換から、海外の取引先に4年間で4千万円分の架空外注費を計上していたコンサルタント会社の不正を突き止めるなどしたとか。


三セク社員による着服事件

 北海道新聞が11月2日に掲出した「ずさん経理 着服重ねる テレビ塔三セク元社員2人、個別に 」は、さっぽろテレビ塔を運営する札幌市の第三セクター「北海道観光事業」社員による業務上横領事件で、逮捕された元社員2人が、同社の旅行部門で、未収金の回収や経理をそれぞれ1人で行っていたことが道警への取材で分かったと報じる。道警は、2人がチェックの入らないずさんな経理体制のもと、着服を繰り返したとみているとか。道警などによると、約370万円を横領したとして逮捕されたO容疑者(37)は14年以降、顧客から旅行代金を回収する業務を担当していたが、回収金を会社に入れず着服していたとのこと。複数の顧客を1人で担当し、別の社員がチェックしていなかったとの由。約550万円を横領したとされるS容疑者(36)は16年以降、旅行部門で旅行券の管理などを1人で担当し、O容疑者ら営業担当が回収した代金の一部が、旅行券で回収されたように装い、旅行券の在庫をごまかすなどして着服していたとのこと。道警は2人に共謀関係はなく、個別に着服を繰り返していたとみているとか。同社では昨年、2人を含む社員8人による計約1億6千万円の着服が発覚し、道警は残る6人のうち、被害の弁済を終えていない4人を同容疑で月内にも立件する方針とのこと。


地方空港への自治体の支援を朝日が調べた

 朝日が11月1日に掲出した「地方空港、税金で国際線維持 16空港、計6.6億円 」〔後藤遼太〕は、国際線が乗り入れている全国22の地方空港を調べたところ、海外航空会社に対する着陸料や施設利用料の減免など自治体の支援が21年度に少なくとも16空港で計6億6千万円に上ったことがわかったと報じる。搭乗率がわかった52路線中8割近い40路線では採算ラインとされる65%を下回っていることも判明し、利用の低迷を税金で穴埋めして路線を維持する構造が広がっていると記事は評する。これまで海外航空会社の路線は羽田、成田の両空港の発着枠が小さいため地方空港に流れていたが、10月31日に国際定期便が復活した羽田や発着回数が増える成田空港への集中が進むことは必至で、生き残りをかけた地方空港間の支援競争に拍車がかかり、国際線からの撤退を迫られる空港が出てくる可能性もあると記事は伝える。定期国際線をもつ地方空港のうち、中核的な新千歳、福岡を除く22空港を対象に朝日新聞が21年度の座席利用率(搭乗率)と海外航空会社に対する支援を地元の自治体などに聞いたもので、地方空港の国際線で多く利用される約140人乗りの機体だと、航空会社が本来支払うべき着陸料は1回12万円前後だが、自治体からの計6億6千万円の支援を1回の着陸にならすと6万~7万円とか。支援の内訳をみると、12空港で経営の根幹となる着陸料を減額、補助しており総額は計2億6千万円で、うち着陸料が国に入る「国管理」の5空港は、国による減額のうえに自治体が補助しているとか。着陸料支援は、地方空港同士が競争する形で年々拡大しており、福島空港は21年度から値引き率を2分の1から15分の14まで引き上げており、隣県との競合で4年間で利用者が4割減ったことで危機感を強め、近隣で最も着陸料を減免している秋田空港並みにしたとか。静岡県も9月、昨年の静岡空港開港時から実施している3分の2の減額を拡大する検討に入ったとのこと。ターミナルビル賃料の減額・補助も少なくとも9空港で約2億8千万円あり、運航支援金、地上業務の経費補助なども1億円を超しているとか。


独法通則法改正を受けた会計基準改定

 総務省サイトは10月25日に「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂 」を掲出し、次のように伝える。

  • 本年5月、独立行政法人通則法の一部を改正する法律が成立し、今後は、独立行政法人における業務の見直し、社会経済情勢の変化その他の事情により、その保有する重要な財産であって主務省令で定めるものが、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、独立行政法人は、その財産を処分しなければならず、当該不要財産が政府からの出資又は支出に係るものである場合には国庫に納付、民間出資に係るものである場合には当該出資者に払い戻すこととなります。
  • この法律改正等を踏まえ、これら国庫納付等に係る会計処理を定めるため、総務省の「独立行政法人会計基準研究会」と財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」とが連携し、両者の共同ワーキング・チームにおいて、会計基準改訂の具体的な検討を行ってきました。
  • 今般、「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」(10月22日開催)及び「独立行政法人会計基準研究会」(10月25日開催)において、それぞれ共同ワーキング・チームから報告を受け、上記の独立行政法人会計基準の改訂が了承されましたので、別添のとおり、公表するものです。(なお、本件については、財務省においても同時に公表されております。)

公表資料:「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」 」・「新旧対照表 」


 ちなみに、25日に財務省サイトで公表されたのは、「財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会(10月22日開催)配付資料 」としてである。 その「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」改訂(案)の概要 」の資料によれば、22日の部会で承認されて25日の独立行政法人会計基準研究会で審議されている。


毎日が下水道事業について調査報道

 毎日jpが10月20日に掲出した「下水道事業:企業債残高31兆円 過剰投資が重荷に 」〔石原聖〕は、全国の市町村などの下水道事業で発行された企業債(地方債)の残高が、21年度末で旧国鉄の債務に匹敵する約31兆円に達していることが総務省のまとめで分かったと報じる。詳細なデータが公表されている20年度分を毎日新聞が集計すると、原則通りに経費を住民の使用料だけで賄えている市町村は1割しかなく、バブル経済崩壊後の景気対策として急速に整備を進めたものの、今後は計画時の予想より料金収入が伸び悩んだまま人口減社会へ向かうため、自治体財政のアキレスけんとなりそうと記事は評する。下水道事業は公立病院、市バスなどと同様の地方公営企業で、それぞれ特別会計が組まれており、総務省がまとめた地方公営企業決算概要によると、全国で3633事業あって、地方公営企業の中で最大の事業となっており、21年度の企業債発行額は1兆6724億円、新設・改修などの建設投資額が1兆8988億円と、いずれも全地方公営企業の半分を占めるとのこと。企業債残高も31兆2656億円で、全地方公営企業の残高総額54兆9824億円の57%に達しており、21年度の単年度収支は1176億円の黒字だが、料金収入1兆4635億円を超える1兆8623億円を一般会計から繰り入れることで黒字化しているとの由。さらに、20年度分のデータを基に、全市町村の7割にあたる1178市町村が都市部で実施する下水道事業について、経費(元利償還と維持管理費)のうち使用料で賄えている割合を見ると、100%超はわずか1割で、逆に2割は、元利償還を除いた日々の汚水処理費も賄えていなかったとか。国土交通省と総務省は市町村に対し、将来世代にツケを回さないための経営改善計画の策定を要請しており、人口減を踏まえた建設計画の縮小や、使用料の適正化などを促していて、各地で値上げが相次いでいるが、経営改善計画の策定率は65%にとどまっているとか。国交省は「下水道は処理場建設など初期投資が多額で、長期間かけて使用料で回収するが、相当期間経営しても経費回収率が低い自治体が多いのは事実」と説明しているとか。


地方の要望を処理する体系を整備

 毎日jpが10月19日に掲出した「民主党:陳情案件は3段階に分け対応 」は、民主党が「陳情対応本部」(本部長・枝野幸男幹事長代理)を設置し、都道府県連を通じて受け付けた陳情案件を重要度に応じてA~Cの3段階に分けて対応して首相官邸や各省庁の担当政務官に引き継ぐことになったと報じる。重要度は、A=地域の最重要課題、▽B=地域の課題、▽C=報告程度の内容、と規定し、政治的に重視するテーマは「特A」として、枝野氏らも加わって処理するとのこと。23年度予算への陳情は、都道府県連が11月中旬にまとめ、下旬に本部が各県連からヒアリングを行い、12月上旬に政府に重点要望を提出すると記事は伝える。


宙に浮いた年金解消のための全件照合が開始された

 毎日jpが10月12日に掲出した「年金:全件照合始まる 紙台帳と電子記録を突き合わせ 」〔野倉恵〕は、年金記録問題解決に向け、「国家プロジェクト」とされる紙台帳とコンピューター記録の全件照合が12日に始まったと報じる。古い手書きの「原簿」とコンピューター記録を突き合わせ、支給漏れをなくし本来の年金額を受け取れるようにすることを目指すもので、社会保険庁の後継組織・日本年金機構も信頼回復へ正念場を迎えるが、効果を疑問視する指摘もあると記事は評する。この問題には、記録がない「消えた年金」や、記録が改ざんされた「消された年金」もあるが、全件照合は、コンピューター記録はあるものの基礎年金番号に結びつかず持ち主不明の「宙に浮いた年金」の解決が主な狙いで、この日午前9時、全国29カ所の作業拠点の一つの東京都江東区のビルで、電子画像化された紙台帳を照合用に印字する作業を始めたとのこと。報道陣には非公開とされたとか。紙台帳は、旧社会保険事務所や市町村が保管してきた「被保険者名簿」などの手書き記録や、これをマイクロフィルム化したもので、複数の会社に勤めた人らは1人で何件もの記録があり、旧社保庁は推計8億5000万件としてきたが、紙台帳の電子画像化を進めた結果、重複分などを除いた7億2000万件のうち、判読不能なものなどを除き6億件を当面の照合対象とするとのこと。作業は外部委託と機構の職員計1万8000人で実施し、基礎年金番号から紙台帳を検索できる新画像システムを使い、紙台帳とコンピューター記録を2人が別々に突き合わせるとのこと。加入・脱退時期や保険料の納付(加入)月数、厚生年金では標準報酬月額などもみて、不一致のあった記録は、加入者については原則本人に通知し、本人が希望すれば記録を訂正するとのこと。受給者については、本人の希望がなければ原則、訂正して年金が増えるケース以外は通知しないとか。旧社保庁時代のサンプル調査では、厚生年金だけでも、コンピューター記録と原簿の不一致は1.4%で、全体でどのくらい不一致が判明するかは不明とか。根本的な問題もあり、宙に浮いた年金は、紙台帳からコンピューター記録への入力・転記ミスなどが主な原因とされたが、「届け出段階や転居や転職に伴う『原簿の間違い』も存在する」(機構本部職員)ため、国民年金では、コンピューター記録の納付記録の方が紙台帳より長ければ、コンピューター記録に合わせるとの由。今後、本人に通知が届かなかったり、意思確認できないケースも想定され、年金記録問題に詳しい野村修也弁護士は「全件照合の効果は限定的。記録がない『消えた年金』には効果がない。大量の税金を投入するなら外部検証を行い、包括的な救済基準も打ち出すべきだ」と指摘するとか。政府は25年度までに全件照合を完了させる予定で、今年度は427億円、23年度の概算要求にも876億円を計上しているとのこと。


 もともと専門家の間では知られていたのに、コストパフォーマンスの問題から放置されていたことと思われる。