公会計の動向 -10ページ目

奈良市が駐車場公社を解散させる

 MSN産経ニュースが8月29日に掲出した「駐車場公社解散へ 奈良市、負債8億2600万円負担 」は、奈良市が28日、市内で駐車場を運営している市駐車場公社を今年度末で解散すると発表したと報じる。公社の負債総額は8億2600万円で、第三セクター等改革推進債を起債して償還を進め、最終的には市が全額負担するとのこと。市によると、公社は昭和63年に設立され、「ならまち駐車場」(同市高畑町)などを運営してきており、駐車場建設のため約9億1200万円を借り入れているが、駐車場収入は伸び悩み、返済が滞っていたとの由。経営改善の見通しが立たないため、有識者でつくる市の外部委員会は昨年12月、「三セク債を活用して解散させるべきだ」とする報告書を仲川げん市長に提出していた経緯がある。市は報告書を受け、公社を解散させる方針を決定下との由。三セク債を起債し、来年度から10年間かけて償還を進めると記事は伝える。公社が保有する駐車場については、市の担当者は「民間委託など、さまざまな方法を検討している」としているとか。


民間金融機関引受けの地方債が増加している

 日経サイトが8月15日に掲出した「銀行貸し出し、官頼み 自治体向け上期末残高、最高の25兆円 」は、銀行が地方自治体向けの貸し出しを伸ばしており、6月末の貸出残高が前年同期比4%増の約25兆円で上期(1~6月)末として過去最高となったと報じる。自治体が国から民間に資金を借り換える制度が特需を生んでおり、銀行も貸し倒れリスクが小さい自治体向けを積極的に手掛けているとのこと。民間企業向けを主体とする貸し出し全体は伸び悩んでおり、国債保有の増加と相まって銀行本来のあり方をゆがめていると記事は評する。日銀の統計によると、銀行の自治体向け貸出残高は今年6月末に24兆9058億円となっているが、これは財政融資資金の繰り上げ償還による特需の影響で、2012年は前年同月比で2~4%の増加を続けているとのこと。貸し出しの増加が目立つのが地方銀行で、地元自治体と関係が深く、融資を伸ばしやすい環境にあり、青森銀行の12年3月期末の自治体向け貸し出し(政府向け含む)は前年同期比約6%増の4082億円で、貸し出し全体の3割近くを占めており、北都銀行も12%の大幅増となったとか。自治体向け貸し出しは貸し倒れのリスクを基本的にゼロと見積もることができるため、引当金を積まずに済み、これは、国による「暗黙の政府保証」があるとみなされているためだが、国も自治体も財政は厳しく、先行きには不透明感が強いと記事は説く。自治体向け貸し出しは長期間の固定金利が多いため、金利が上昇したときには損失が出やすいというリスクもあるとも。銀行全体の融資残高をみると、6月末時点では民間向けが低調で前年同期比約1%増と伸び悩んでおり、一方で国債保有残高は約170兆円に達して過去10年間で2倍超に増えており、本来なら民間に資金を供給し、経済を活性化するはずの銀行が、リスクの小さな国債や自治体向け貸し出しに傾く姿勢が鮮明となっていると記事は評する。税収が落ち込んでいる地方自治体を救済する制度として始まった繰り上げ償還制度が、金融規律のゆがみを助長している面もあると記事は説くが、ちょっと言い過ぎ。自治体は民間の低利融資に切り替えることで、本来の契約では長期的に国庫に入れるはずの利息の一部を免除される形となり、結果的に、預金をもてあました銀行にとっては安定した貸出先の確保につながり、あえて民間企業向けの貸し出しを開拓する必要性を低下させていると記事は説くが、「国庫に入れるはずの利息」と言うよりは財政投融資特会に入るはずの利息、と言う方が正確。



青森県農業公社が県内過去最大の負債額で民事再生法を申請

 読売オンライン青森ページが8月3日に掲出した「農林公社再生法申請 負債367億 」は、多額の負債を抱える「青い森農林振興公社」が2日、青森地裁に民事再生法の適用を申請したと報じる。負債額は約367億円とのこと。公社は来年4月、森林の所有者に代わって植林し、伐採で得た販売益を所有者と分け合う「分収造林事業」を県に移管して解散するが、今後、販売益が得られるかは不透明で、357億円以上の負債が県民負担となる可能性は高いと記事は伝える。帝国データバンク青森支店によると、県内では過去最大の破綻とか。分収造林事業への投資で県からの借入額は234億5308万円、日本政策金融公庫からは132億4428万円に達していたとか。県からの借入金は、分収林(資産価値評価額6億8600万円)で代物弁済し、県は差し引いた分(227億6000万円)を債権放棄するとのこと。公庫分は保有する現金4億1900万円をあて、国が交付税で一部穴埋めする第3セクター等改革推進債を活用して県が肩代わりするとか。民事再生手続きは、同推進債を活用するのに必要との由。公社は今後、地権者らに説明会を開き、10月末には再生計画案を示すとのこと。県は移管を受ける分収林の経営を民間に委託して伐採後に販売益を得たい考えだが、木材価格は低迷しており、経営上の課題は多いと記事は評する。同事業は昭和45年に公社の前身「県造林公社」が始めたもので、1万ヘクタールの森林を整備したが、採算が悪化し、県は平成22年12月、同事業を県に移管して公社を解散する方針を決めた経緯がある。


 読売サイト青森ページが9月29日に掲出した「農林公社破綻 野党、知事の責任追及 」は、県内で過去最大の破綻となった「青い森農林振興公社」を巡って、28日の県議会一般質問で三村知事の責任について県と野党側などが激しい攻防を繰り広げたと報じる。共産党の安藤晴美県議は木材価格の低迷が公社の経営悪化の原因としながらも、「県や公社が林業再生のために国に意見をどれだけ述べてきたのか」と知事の責任を追及し、古村一雄県議(無所属)も「歴代の県政から(公社問題を)引き継いだだけで損な役割を務めているだけという風情だ」と知事を厳しく責め立てたとか。これに対し、三村知事は「国は抜本的な経営改善対策を講じなかった」と国の責任を強調し、知事就任後に新規造林を中止するなどの対策を講じたと説明したとのこと。一方、与党・自民党の蛯沢正勝県議は「林業を取り巻く厳しい環境のもとで、臆することなく決断し、前向きの対応だ」と県を評価し、援護射撃を受けた県側も、雇用や地域経済振興などに公社が一定の役割を果たしたと訴えたとか。


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 読売オンライン青森ページが11月2日に掲出した「農林公社破綻で県民負担は356億円 」は、森林所有者に代わって植林し、伐採で得た販売益を所有者と分け合う分収造林事業の失敗で破綻した「青い森農林振興公社」が1日、保有する分収林や現金を債務の弁済に充てる「再生計画案」を10月31日付で青森地裁に提出したと発表したと報じる。県民負担は約356億円にのぼる見通しとか。計画案によると、債権者の県と日本政策金融公庫、三八地方森林組合の債権総額は366億9799万円で、計画案では公社は、分収林(6億8580万円)と現金(4億1947万円)の計11億528万円を弁済に充て、県は公庫の債権を引き継ぐため、弁済額を差し引いた県分227億4728万円と公庫分128億4543万円の債権額を足した額が県民負担とのこと。来年1月22日に青森地裁が債権者集会を開き、再生計画案の承認を得た上で、2月に計画を決定し、公社は計画に基づき弁済を行い、4月に分収造林事業を県に移管して解散するとのこと。


公表資料:民事再生計画案の提出について

雇用・能力開発機構の解体が進んでいない

 神戸新聞ニュースが7月22日に掲出した「地方への移管実績ゼロ 雇用・能力開発機構の訓練施設 」〔小川 晶〕は、国の改革で昨年10月に廃止された独立行政法人「雇用・能力開発機構」の施設で、都道府県への業務引き継ぎの道筋が示された全国86カ所の職業訓練施設の移管が全く進んでいないと報じる。同機構は「無駄遣い」の象徴としてやり玉に挙がり、歴代内閣が「地方や民間への移管を」と主張したが、現状は別の独立行政法人による運営という“看板”の付け替えにとどまり、今後の見通しも極めて不透明と記事は説く。兵庫県内の移管対象施設は3カ所で、離職者への技術指導などをする「職業能力開発促進センター」(ポリテクセンター)が尼崎市と加古川市、専門知識や高度な技術を学ぶ「職業能力開発短期大学校」(ポリテクカレッジ)が神戸市中央区にあるが、尼崎市のポリテクセンター兵庫では、嘱託を含む約85人の職員や施設、設備は、同機構からほぼそのまま、現在運営する独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に移されており、カリキュラムも変わっておらず、年約3千人に上る訓練生への影響も出ていないとか。職員らは「何の変化もなく職員の不安だけが大きくなった」と漏らしているとのこと。雇用・能力開発機構に関しては、「聖域なき構造改革」を掲げた小泉内閣の16年に独立行政法人へ移行し、20年の麻生内閣では同機構の廃止を閣議決定しており、民主党中心の政権に交代してからも、鳩山内閣は事業仕分けの俎上に載せ、地方や民間への移管をさらに進めることを求め、菅内閣は同機構の廃止法案を可決させたとか。ただ、こうした政府方針に対し、同機構や業務を引き継いだ「高齢‐機構」を所管する厚生労働省は反対し、国による運営を主張し続けており、同省は昨年6月、ようやく移管に向けた具体的な条件を提示し、受け入れに前向きな自治体もあったものの、移管に伴う国からの補助の上限が2年との内容に、「恒久的な国の補助を」との都道府県側のニーズと大きな隔たりが生じていて、移管が進まないのが現状とか。兵庫県の担当者も「新たな財政負担を負う余裕はなく、受け入れられない」との姿勢で、一方、同省職業能力開発局は「移管条件については、予算上の問題もあり、当面は緩和する方針はない」としているとか。


伊那市の土地開発公社は解散の方向

 信濃毎日新聞サイトが7月25日に掲出した「伊那市土地開発公社「解散」を市に提言へ 検討委が合意 」は、地価下落が続き、土地を先行取得する必要性が薄れているなどとして、伊那市土地開発公社あり方検討委員会が24日、公社の解散を市に提言する方向で合意したと報じる。市は第三セクターの整理に充てる特例地方債(借金)の三セク等改革推進債(三セク債)を利用して公社を解散させた方が、存続させるより市の支出が少ないと試算しているとのこと。県によると、市町村が三セク債を発行して土地開発公社を解散させた例は県内ではなく、伊那市が同公社を解散すれば県内19市では初めてとか。解散する場合、来年3月の市議会で解散や三セク債発行に同意を得て、県に解散の認可を申請することになるとのこと。公社の昨年度末の保有地は19万平方メートル余、帳簿上の価格(簿価)は27億円余で、下落した推定時価との差額は3億6千万円余、借入額は26億円余に上っており、市は5月に検討委を設立して公社解散も視野に方向性の協議を求めていたとのこと。同日の検討委会合で市は、時価を基準に保有地を売却して簿価との差額を穴埋めする制度を創設し、土地開発公社を当面存続させて今後10年間で保有地を売却できた場合、市の支出は4億6千万円余になると説明し、一方、三セク債発行で公社を解散した上、公社の代わりに借入金を10年間で返済し、公社から保有地で弁済を受けても不足する分を債権放棄しても、支出は1億8千万円余で済むとしたとの由。三セク債は、利息支払いの半額に特別交付税措置があり、13年度までの5年間に限って発行が可能となっており、10年以内の返済が基本で、自治体が債務保証している三セクなどの借入金を計画的に返済できると記事は説明する。

市町村は航空写真が必要

 iJAMPが7月13日に配信した「経費節減へ合同で空撮=青森県藤崎町、板柳町」は、青森県藤崎町と板柳町は、固定資産税の課税や減反実施状況の確認などに用いる航空写真の撮影を共同で実施すると報じる。空撮は経費が掛かるため、2町で折半して経費を節減することにしたもので、節減分は両町合計で約437万円とか。航空写真は、土地、建物の現況把握や減反、農地転用の状況、高齢者のいる世帯の写真地図作製などに活用するもので、撮影ポイントは計95地点で、実際に撮る枚数はさらに多くなるが、2町がそれぞれ空撮を実施した場合の経費は計1150万円に上るところ、合同とすることで713万円に抑えられるとの由。これを両町で折半するとか。両町とも財政的な事情などから、町で使う航空写真はここ何年も更新できておらず、今回の撮影は田から水がなくなって上空からの撮影条件が良くなるのを待ち、7月17日から27日までの間の好天日に実施すると記事は伝える。


給食費の公金化に異論を唱える社説

 信濃毎日新聞サイトが7月2日に掲出した社説「給食費未納 問題の根幹を見据えて 」は、長野県内19市の中に、学校給食費の管理を学校ごとの「私会計」から市が一括で担う「公会計」に切り替えるところが出てきていると報じる。未納の対応に苦慮する学校の負担を軽くする狙いがあり、税金とともに、市の職員が滞納整理に当たるのだろうと記事は伝える。払えるのに払わない保護者がおり、全国的には担任が家庭を督促に回っている例もあり、公会計とすることに異論はないが、保護者の経済的な行き詰まりが給食費未納の大きな要因になっており、国と自治体は、徴収の方法にだけ目を向けるのではなく、家庭の事情による教育格差の広がりを防ぐ対策に、力を入れなければならないと社説は説く。しかし、根はNHK受信料未納と同じであり、15%の閾値を超えると30%には簡単に達する、ということではないのか。


秋田の三セク鉄道2社は増収だが赤字

 朝日サイト秋田ページが6月28日に掲出した「三セク鉄道2社 昨年度赤字決算 」は、秋田内陸縦貫鉄道(内陸線、北秋田市)と由利高原鉄道(由利鉄、由利本荘市)の秋田県内第三セクター2社の2011年度決算が27日、出そろい、内陸線は2億5112万円の経常赤字、由利鉄は9029万円の経常赤字を計上していて、厳しい経営状況が続いていると報じる。両社はこの日、それぞれ株主総会を開き、同決算が承認されたとのこと。内陸線の決算によると、運賃や物販業などからなる収入は前年度比9・7%増の2億3417万円を確保したが、大雪の影響で除雪費がかさむなどして、経費は同3%増の4億8530万円に増えたとか。県や沿線自治体が12年度決算までに達成をめざす「赤字2億円以内」は実現していないとのこと。由利鉄の決算では、定期運賃以外の輸送人員が2%増えるなどして収入は増える一方、車両の全般検査や集中豪雨による運休などで経費も増えた結果、赤字を解消できなかったとか。


宮城県の行政委員月額報酬は1審で勝訴

 日経電子版が6月26日に掲出した「行政委員への月額報酬認める 仙台地裁、差し止め請求棄却 」〔共同〕は、宮城県の選挙管理など4委員会の非常勤行政委員の月額報酬は勤務実態に見合わず高額で違法として、仙台市民オンブズマンが村井嘉浩知事に報酬支出の差し止めを求めた住民訴訟の判決で、仙台地裁が26日、原告の請求を棄却し、原告側が控訴する方針と報じる。裁判長は、裁量権の逸脱とした原告の主張は退けたものの「東日本大震災後、県の財政悪化が懸念される状況にある。日額報酬制へ移行した地方公共団体が相当数あり今後、宮城県議会でも制度の在り方について、政策的判断が期待されている」と付言したとか。判決理由で、裁判長は「報酬制度は自治体の実情をよく知りうる議会の裁量に委ねられている」と指摘し、「各委員は1カ月に1~5日登庁。資料の検討など勤務日以外にも職務を行っており、勤務日数だけで評価できない」と判断したとの由。判決によると、4委員会の非常勤行政委員の報酬は県条例により、月額17万1千円~24万1千円だったとか。オンブズマンは仙台市にも同様の訴訟を起こし、一審・仙台地裁判決は請求をほぼ認めたが、二審・仙台高裁判決が取り消して請求を棄却し、最高裁で係争中だが、最高裁は昨年12月、月額報酬をめぐる滋賀県の条例について、月額払いも適法との初判断を示していると記事は伝えるが、月額払い自体は条例で定めていれば法律上問題ないはず。


地方自治法第203条の2

第1項  普通地方公共団体は、その委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

第2 前項の職員に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし、条例で特別の定めをした場合は、この限りでない

仕組み債をめぐって自治体が金融機関を提訴

 時事ドットコムが6月25日に掲出した「自治体初、仕組み債損害で提訴=SMBC日興など相手-兵庫県朝来市 」は、兵庫県朝来市が25日、十分なリスク説明をせずに仕組み債と呼ばれる金融商品を販売したとして、SMBC日興証券(東京都千代田区)と三井住友銀行(同)を相手に、総額約5億3500万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたと報じる。同市によると、仕組み債をめぐって自治体が金融機関を訴えるのは初めてとか。訴えによると、市は財政調整基金などを用いて、18~20年に両社から計約79億円分の仕組み債を購入しており、このうち保有中の57億円は、今年4月末の時価評価額合計が約45億円に下落し、受け取った利息と相殺しても約4億8700万円の損害が発生したとのこと。仕組み債はデリバティブ(金融派生商品)取引などを組み込んだ金融商品で、高金利が期待できる一方で為替レート変動によるリスクも含んでおり、市は、両社がこうしたリスクを説明せず、自治体の基金運用としてふさわしくないと知りつつ販売したと主張しているとか。市は提訴に先立ち、裁判外紛争解決手続き(ADR)で買い取りを求めたが、両社は拒否したとのこと。