民間金融機関引受けの地方債が増加している | 公会計の動向

民間金融機関引受けの地方債が増加している

 日経サイトが8月15日に掲出した「銀行貸し出し、官頼み 自治体向け上期末残高、最高の25兆円 」は、銀行が地方自治体向けの貸し出しを伸ばしており、6月末の貸出残高が前年同期比4%増の約25兆円で上期(1~6月)末として過去最高となったと報じる。自治体が国から民間に資金を借り換える制度が特需を生んでおり、銀行も貸し倒れリスクが小さい自治体向けを積極的に手掛けているとのこと。民間企業向けを主体とする貸し出し全体は伸び悩んでおり、国債保有の増加と相まって銀行本来のあり方をゆがめていると記事は評する。日銀の統計によると、銀行の自治体向け貸出残高は今年6月末に24兆9058億円となっているが、これは財政融資資金の繰り上げ償還による特需の影響で、2012年は前年同月比で2~4%の増加を続けているとのこと。貸し出しの増加が目立つのが地方銀行で、地元自治体と関係が深く、融資を伸ばしやすい環境にあり、青森銀行の12年3月期末の自治体向け貸し出し(政府向け含む)は前年同期比約6%増の4082億円で、貸し出し全体の3割近くを占めており、北都銀行も12%の大幅増となったとか。自治体向け貸し出しは貸し倒れのリスクを基本的にゼロと見積もることができるため、引当金を積まずに済み、これは、国による「暗黙の政府保証」があるとみなされているためだが、国も自治体も財政は厳しく、先行きには不透明感が強いと記事は説く。自治体向け貸し出しは長期間の固定金利が多いため、金利が上昇したときには損失が出やすいというリスクもあるとも。銀行全体の融資残高をみると、6月末時点では民間向けが低調で前年同期比約1%増と伸び悩んでおり、一方で国債保有残高は約170兆円に達して過去10年間で2倍超に増えており、本来なら民間に資金を供給し、経済を活性化するはずの銀行が、リスクの小さな国債や自治体向け貸し出しに傾く姿勢が鮮明となっていると記事は評する。税収が落ち込んでいる地方自治体を救済する制度として始まった繰り上げ償還制度が、金融規律のゆがみを助長している面もあると記事は説くが、ちょっと言い過ぎ。自治体は民間の低利融資に切り替えることで、本来の契約では長期的に国庫に入れるはずの利息の一部を免除される形となり、結果的に、預金をもてあました銀行にとっては安定した貸出先の確保につながり、あえて民間企業向けの貸し出しを開拓する必要性を低下させていると記事は説くが、「国庫に入れるはずの利息」と言うよりは財政投融資特会に入るはずの利息、と言う方が正確。