公会計の動向 -8ページ目

地域の中核的病院が保健医療機関でなくなると

 東京新聞サイト茨城ページが10月10日に掲出した「東京医大問題 国保の払い戻し同意 県と10市町村 」は、診療報酬の不正請求で12月から保険医療機関の指定を取り消される東京医大茨城医療センター(阿見町)と県、周辺の10市町村が9日、県庁で会合を開き、取り消し期間中は国民健康保険(国保)の「療養費払い」制度を活用することで合意したと報じる。療養費払いは、患者が全額を支払った後、保険者の市町村が保険分を払い戻す制度で、センターが患者に代わって保険分の支払いや手続きを代行するため、患者は全額支払う必要はなく、窓口負担は現行通りに抑えられるとか。ただ、対象は救急や人工透析、放射線治療など、保険者が「やむを得ない」と認めた場合に限られており、10市町村で共通した認定基準や運用方法を決める方針とのこと。国保以外の社会保険加入者や10市町村以外の患者らの救済策も今後検討するとか。松崎靖司センター長は会合後の記者会見で「(療養費払いを活用する前に)まずは患者に転院を促していく」と話したと記事は伝える。


宮崎県道路公社は残債ある状況で無料化を実施

 西日本新聞サイトが10月5日に掲出した「30億円返済先送り 宮崎県道路公社 」は、宮崎県内の有料道路を運営する県道路公社が、県出資の約29億8千万円の借金を抱えたまま25年5月に小倉ケ浜有料道路(360メートル、日向市)の無料化に踏み切ると報じる。公社は残る一ツ葉有料道路(16・2キロ、宮崎市)の料金収入で返済する計画と言うが、通行量は伸びず、綱渡りの運営が続きそうと記事は伝える。公社は昭和46年に県の100%出資で設立され、小倉ケ浜と一ツ葉を運営しているが、地方道路公社法に基づき、原則30年間の料金収入などで建設費や出資金の借金を返し、無料化しなくてはならないとのこと。小倉ケ浜は59年の開通当初、最大で年間182万台の利用を見込んでいたが、周辺道路の整備が進み、141万台(平成5年度)をピークに44万台(23年度)まで落ち込んでいるとの由。計画通りの収入は得られていないが、利便性アップを優先し無料化を急いだとか。一ツ葉も当初見込みの1289万台に遠く及ばず、19年の料金値下げ後も519万台(同)と低迷しているため、県から毎年2~8億円を借り入れるなどして運営しているとか。公社は計画の見直しを重ね、借金の返済期限を32年2月末に先送りしたものの、これ以上の延期は同法で認められず、32年時点で借金が残っていれば、県が最終的に負担せざるを得ないとか。同公社の太田親義道路課長は「料金の徴収期間を10年延長し利用拡大に努めている段階。(道路補修などに使う)予備的資金の積み立てを充てるなどして完済できる見通しだ」と強調している。


東京都は条例改正して新電力事業者にも売電可能となった

 MSN産経ニュースが10月4日に掲出した「東電以外にも売電可能に 都の改正条例成立 」は、東京都の水力発電所で発電した電力の売却先を東京電力以外にも拡大する改正地方公営企業設置条例が4日、都議会本会議で可決、成立したと報じる。これまで販売先は事実上、東電に限られていたが、電力会社の送電網を使って電気を小売りする特定規模電気事業者(新電力、PPS)にも販売できるようになるとのこと。公営電気事業での競争入札の導入は全国的に珍しいと記事は評する。都は競争入札で業者を選定することで、増収と電力市場の活性化を狙うもので、都によると、複数の新電力事業者が入札参加に前向きな姿勢を示しているとか。ただ、都は東電と平成31年3月まで売買契約を結んでおり、来年3月までに解約する方向で交渉しているが、東電側は難色を示しており、このため、実際に入札が行われる時期は不透明とか。都は23年度に3カ所の水力発電所(出力約3万6千キロワット)で発電した電気を東電に約10億円で販売した。


大月市は土地開発公社を解散する方向

 毎日jp山梨ページが10月4日に掲出した「大月市土地開発公社:検討委、解散提言へ 9日、市長に /山梨 」〔小田切敏雄〕は、大月市土地開発公社の存廃を検討してきた経営検討委員会が3日、第5回会合を同市役所で開き、公社の経営は既に破綻しており、早期の債務整理のために公社を解散すべきだと結論づけたと報じる。石井由己雄市長に9日、報告書を提出すると記事は伝える。同公社は公共用地の取得などを目的に昭和48年に設立され、市の要請で市営住宅やNEC大月工場用地の先行取得や造成などを行ってきたが、バブル崩壊後、地価下落、当初見込んだ事業の遅れなどで保有地を処分できず、平成15年度以降は毎期欠損金を計上して債務超過状態となっているとの由。この日の委員会では、公社保有地、▽市の事業計画、▽財政状況、の三つの視点から検討し、経営状態から「存続の意義はない」と結論付けたとか。(1)公社は解散、(2)保有資産は市に移管して長期的計画で活用・処分、(3)第三セクター債を使って10~15年で借金を返済、という方針を示したとのこと。


奈良県知事は市町村財政にも目配り

 読売サイト奈良ページが10月4日に掲出した「全市町村 初の黒字 昨年度財政状況 」は、奈良県が3日、県内39市町村の23年度の財政状況を発表し、それによると、記録がある昭和44年度決算以降で初めて全市町村が黒字となった一方、人件費や生活保護費などの義務的な経費が自由に使える支出をどの程度、圧迫しているか示す指標の経常収支比率は平均94・1%と、前年度より1・9ポイント悪化したと報じる。黒字に転じたのは、45年度決算以来、41年ぶりに黒字化して財政破綻の懸念がある「早期健全化団体」から脱却した御所市と、大和郡山、大和高田両市で、3市の翌年度への繰越金を差し引いた実質収支は4800万円~5億4400万円の黒字になったとの由。22年度決算は4900万円~2億6400万円の赤字だったとか。一方、高いほど悪い経常収支比率は4年ぶりに前年度から悪化し、桜井市など24市町村が全国平均の90・3%を上回っており、財政規模が最大の奈良市は3・1ポイント悪化してワースト4だったとか。また、税収などに占める借金返済額の割合を示す実質公債費比率は、香芝市など6市町村で地方債を発行する際に県の許可が必要となる18%を超えており、全国平均の9・9%を下回ったのは川上村など6市町村にとどまったとか。荒井知事は「経常収支比率の悪化幅は全国平均(1・1ポイント)よりも大きく、22年度に全国ワースト2からワースト4に改善した順位が、また下がる可能性がある」として、「市町村は財政状況の改善に健闘しているが、手放しでは喜べない」と述べたと記事は伝える。


政務活動費に関する条例が必要になる

 読売サイト島根ページが10月3日に掲出した「政務調査費使途 拡大を提案へ 」〔矢沢慎一〕は、政務調査費の使途を拡大する改正地方自治法が成立したことを受け、島根県議会が2日、自民党県議連や民主県民クラブに所属する県議ら7人による懇話会(五百川純寿会長)を開き、県政務調査費交付条例の改正案を取りまとめ、11月県議会に提案することで合意したと報じる。改正地方自治法では、政務調査費を「政務活動費」という名称に変更し、「調査研究」に限られていた使途に、「その他の活動」を追加するとともに、政務活動費の使途の具体的な範囲は、自治体ごとの条例で定めるよう義務付けているとの由。県議会は今後、全国都道府県議会議長会 で定められる予定の使途基準の運用指針などを受け、▽政務活動と政治活動・後援会活動を区別する規定を置くか否か、▽政務活動の定義、などを検討し、条例改正案が可決されれば、来年2月にも使途基準などに関する運用方針をまとめると記事は伝える。


大分県出資の26特例法人は、公益22、一般3、解散1

 大分合同新聞が10月3日に掲出した「22団体公益法人化 県出資の対応出そろう 」は、国の公益法人制度改革に伴い、公益・一般法人への移行が必要な県出資の26団体の対応が出そろったと報じる。22団体(移行予定を含む)が税制面の優遇があり、社会的認知度が高まるとされる公益法人化を選び、3団体は一般法人となり、1団体は解散するとのこと。新制度では対象の社団法人、財団法人は来年11月末までに公益・一般法人への移行を申請し、認定、認可されなければ解散とみなされるが、県は県民や関係者への説明責任を明確にするため、各団体に対し、早期の方針決定を求めていたとの由。県によると、県出資の外郭団体(計52団体)のうち、対象となるのは株式会社などを除いた26団体で、このうち、12団体は既に公益法人に移行しており、来年4月には県文化スポーツ振興財団が公益財団法人化するなど11団体が移行を予定していて、来年5月以降に2団体が予定しているとのこと。県公園協会は本年度末で解散するとか。公益法人になるには「公益目的の事業比率が半分以上」などの認定基準があり、国や県による運営面の監督も厳格化されるが、4月に公益財団法人となった県産業創造機構は「もともと公益性が高い事業が多かった。認定を受けることで社会的な信用も高まる」としているとか。4月に公益財団法人化した県奨学会では、税制面の優遇措置として奨学金貸与時の書類に収入印紙を貼る必要がなくなり、「家庭の負担軽減になった」と説明しているとのこと。一般法人に移行するのは、▽県中小企業会館、▽県主要農作物改善協会、▽県自動車会議所、の3団体で、県主要農作物改善協会は常勤職員が1人で「公益化すれば事務量は増えるが、小規模の団体は難しい。税制上のメリットも少ない」としているとのこと。


都道府県の減債基金は改善と日経

 日経サイトが10月1日に掲出した「自治体減債基金の積立不足2.5兆円 11年度 」は、大阪府や兵庫県など37道府県市で借金返済のための基金への積み立てが大幅に不足していることが日本経済新聞の調べで分かったと報じる。23年度の不足額の合計は2兆5100億円と、本来積むべき額の38%に上っており、22年度に比べて1700億円改善したものの不足額はなお大きく、自治体は不足を解消するために歳出見直しを迫られそうと記事は評する。地方債の返済負担を平準化するための減債基金に関し、22年度決算で積み立て不足があった40自治体に23年度の不足額を聞いたところ、不足額が最大だったのは大阪府の5180億円で、兵庫県の2780億円が続いているが、40団体のうち3団体は積み立て不足を解消したとのこと。大阪府は13~19年度まで、減債基金から計5200億円を借りて財源を補填しており、23年度の不足率は75%超となっており、横浜市は2~12年度に高水準の公共事業維持などを目的に減債基金を2300億円取り崩しており、北海道は14~16年度に基金を1700億円ほど流用し「財源不足の穴埋めに使った」(財政課)とか。積み立て不足を放置すれば償還時に多額の現金が必要になるため、国は元本の3.3%を毎年基金に積むよう自治体に求めていると記事は伝える。


 3.3%は30年間元金均等償還ということか。

秋田県の県市町村職員互助会の破産

 毎日jp秋田ページが9月27日に掲出した「県市町村職員互助会:破産手続きで債権72億円認定 /秋田 」〔坂本太郎〕は、100億円を超す負債を抱え、破産手続きを進めている財団法人県市町村職員互助会の債権者集会が25日に東京地裁であり、破産管財人が72億1384万円を債権と認める考えを示したと報じる。破産者管財人秋田事務所によると、個人分1万556件、計71億7756万円の申し出に対しては、71億7203万円とほぼ全額を認めつつ、市町村など39団体は8億8361万円の申し出に対し、4035万円としたとのこと。配当率は約7割にのぼる見通しで、債権者からの申し立てがなければ来年1月に配当されると記事は伝える。


和光市の水道事業で資金不足

 毎日jp埼玉ページが9月22日に掲出した「公営企業決算:和光市、下水道で資金不足 値上げ料金の予算原因??昨年度 /埼玉 」〔木村健二〕は、埼玉県が21日、県内63市町村の23年度の公営企業決算の集計結果を発表したと報じる。和光市の下水道事業会計で4084万円の資金不足が生じており、県内の公営企業会計で資金不足が出たのは、地方財政健全化法が適用された20年度以降初めてとか。県によると、和光市の下水道事業会計の資金不足比率は5・3%で、経営健全化計画を作らなければならない経営健全化基準の20%は下回っていたとのこと。同市は23年6月分から料金を値上げしたが、4、5月分も値上げ後の料金で予算を組んだことなどが原因とか。一方、県内63市町村の普通会計決算は、歳入が前年度比1・6%増の2兆2719億円、歳出が同1・3%増の2兆1614億円で、決算規模としては過去最大となっており、人件費や公債費、扶助費などの義務的経費は1兆945億円で、歳出に占める割合は50・6%と、初めて5割を超えていて、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は同1・9ポイント増の89・7%で、硬直化が進んだとか。


 4,5月の料金が資金不足になるというのが分からない。原水費が上がったのに料金が上がらなかったと言うことなのかな?


公表情報:和光市23年度健全化判断比率等