夏休みを前に、今年も
平和と戦争をテーマにした新刊が
何冊か発行されました。
決して忘れてはいけないテーマですよね。
読み聞かせのイベントなどで
是非取り上げて頂きたいです。
そして、
このテーマは子どもたちに手渡す前に、まず、
わたしたち大人が目を逸らす事なく
考えるべきだと、
改めてそう感じた1冊をご紹介します。
作者の内田麟太郎さんの後書きには
わたしたちも、いま 戦争を生きている
とあります。
読むのが辛くなる内容ですが、
その辛さも引き受けつつ読むのが、
大人の役割だと思っています。
ひとのなみだ
内田麟太郎 nakaban
童心社/本体 ¥1,600.
ロボットの兵隊に戦わせる、近未来。
ロボットを持てない小さな国へも
兵隊を攻め込ませます。
ロボットが戦っても、僕たちは死なない。
ロボットが人を殺しても、
僕たちは勝利を祝うだけ。
そう思い込もうとけれど・・・。
まさにその通り、
わたしたちもその中にいるのですね。
ところで、
幼児向けに平和についての絵本を・・・
とお尋ねがあると、
毎回毎回、わたしは迷います。
生まれて数年の小さい人たちに、
直球で戦場の場面を見せたとして、
伝えたいメッセージが伝わるのかと
迷うのです。
★ へいわってすてきだね
(安里有生/長谷川義史/ブロンズ新社)
★ へいわってどんなこと?
(浜田桂子/童心社)
★ ぞうれっしゃがやってきた
(小出隆司/箕田源二郎/岩崎書店)
これまでオススメしてきた絵本のいろいろ。↑
相変わらず迷ってはいますが、
今年はプログラムを少々変えてみました。
日常読まれている絵本の組み合わせです。
こうしてみると、
どんな絵本の中にも反戦・非戦の思いは
流れているのかもしれません。
サルビルサ
スズキコ−ジ/架空社
獲物を巡ってふたりの兵士が
自分の矢で射たものだとゆずりません。
兵士はそれぞれの王に訴え
ふたつの国は大勢の兵士を出して
戦います。
やがて双方の国が戦いに
疲れはてた時・・・
この絵本では日本語は使われていません。
訴えも、雄叫びもすべて サルビルサ語。
その不思議な会話?に
聞き手の子どもたちは大興奮です。
けれども、二つの国の兵士たちは
戦いに傷つき倒れて引き揚げていき、
争いのもととなった獲物は
第三者に持ち去られる最後の場面で
きっと何かは感じてくれるはず。
だから、読み手は敢えて意見を述べず
続けてこちらを
読んでいただきたいのです。
ぐりとぐら
なかがわりえこ/おおむらゆりこ
福音館/本体¥1,000.
説明するまでもありませんが・・・
大きな卵を見つけたぐりとぐらは
森にフライパンを運んで
それはそれは大きなカステラを焼きます。
良いにおいがあたりに漂い、
森の動物たちが集まって来た時の
ご存じ、このフレーズ。
けちじゃないよ ぐりとぐら
ごちそうするからまっていて
カステラのお裾分け(をもらった気分)で
満足の子どもたちと話し合ってみてください。
獲物を取り合った兵隊たちが、いたね。
ぐりとぐらは おいしいカステラを
森の仲間と取り合ったかな?
ぐりとぐらは、わけっこしたね!
きっと子どもたちからは
そんな声が返ってくることでしょう。
争いの元は、力づくで獲ろうとすること。
欲しいからといって、
力づくで獲るようなことを
してはいけないのです。
大人になっても、覚えていてください。
応援よろしく!
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