争うという事について | ほんとうのピコットさん

ほんとうのピコットさん

子どもの本屋「夢文庫ピコット」店主です。
タイトル「ほんとうのピコットさん」については、
http://ameblo.jp/pikot/archive1-200711.html をどうぞ!

夏休みを前に、今年も
平和と戦争をテーマにした新刊が
何冊か発行されました。
決して忘れてはいけないテーマですよね。
読み聞かせのイベントなどで

是非取り上げて頂きたいです。

そして、

このテーマは子どもたちに手渡す前に、まず、
わたしたち大人が目を逸らす事なく
考えるべきだと、
改めてそう感じた1冊をご紹介します。
作者の内田麟太郎さんの後書きには

わたしたちも、いま 戦争を生きている

 

とあります。
読むのが辛くなる内容ですが、
その辛さも引き受けつつ読むのが、

大人の役割だと思っています。

 

 



ひとのなみだ
 
内田麟太郎 nakaban 
童心社/本体 ¥1,600.

ロボットの兵隊に戦わせる、近未来。
ロボットを持てない小さな国へも
兵隊を攻め込ませます。
ロボットが戦っても、僕たちは死なない。
ロボットが人を殺しても、
僕たちは勝利を祝うだけ。
そう思い込もうとけれど・・・。



まさにその通り、

わたしたちもその中にいるのですね。

ところで、

幼児向けに平和についての絵本を・・・

とお尋ねがあると、
毎回毎回、わたしは迷います。
生まれて数年の小さい人たちに、
直球で戦場の場面を見せたとして、
伝えたいメッセージが伝わるのかと
迷うのです。



 へいわってすてきだね

(安里有生/長谷川義史/ブロンズ新社)

 へいわってどんなこと?

(浜田桂子/童心社)

 ぞうれっしゃがやってきた

(小出隆司/箕田源二郎/岩崎書店)

 

これまでオススメしてきた絵本のいろいろ。↑


相変わらず迷ってはいますが、

今年はプログラムを少々変えてみました。
日常読まれている絵本の組み合わせです。
こうしてみると、
どんな絵本の中にも反戦・非戦の思いは
流れているのかもしれません。



 

サルビルサ
スズキコ−ジ/架空社
 

獲物を巡ってふたりの兵士が
自分の矢で射たものだとゆずりません。
兵士はそれぞれの王に訴え
ふたつの国は大勢の兵士を出して
戦います。
やがて双方の国が戦いに

疲れはてた時・・・


この絵本では日本語は使われていません。
訴えも、雄叫びもすべて サルビルサ語。
その不思議な会話?に
聞き手の子どもたちは大興奮です。
けれども、二つの国の兵士たちは

戦いに傷つき倒れて引き揚げていき、
争いのもととなった獲物は
第三者に持ち去られる最後の場面で
きっと何かは感じてくれるはず。

だから、読み手は敢えて意見を述べず
続けてこちらを

読んでいただきたいのです。

 



 

ぐりとぐら

なかがわりえこ/おおむらゆりこ

福音館/本体¥1,000.

 

説明するまでもありませんが・・・

大きな卵を見つけたぐりぐら
森にフライパンを運んで
それはそれは大きなカステラを焼きます。
良いにおいがあたりに漂い、

森の動物たちが集まって来た時の
ご存じ、このフレーズ。

けちじゃないよ ぐりぐら
ごちそうするからまっていて


カステラのお裾分け(をもらった気分)で
満足の子どもたちと話し合ってみてください。

獲物を取り合った兵隊たちが、いたね。
ぐりぐらは おいしいカステラを

森の仲間と取り合ったかな?

にっこりニコニコニコニコほんわかおねだり
ぐりとぐらは、わけっこしたね!


きっと子どもたちからは
そんな声が返ってくることでしょう。

争いの元は、力づくで獲ろうとすること。
欲しいからといって、
力づくで獲るようなことを

してはいけないのです。

大人になっても、覚えていてください。

 

 

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