『北海道の地質的景観』 第16回 宗谷丘陵 | 奈良の鹿たち

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『北海道の地質的景観』 

第16回

<宗谷丘陵>

 

 

 

景色は、典型的な北海道の酪農地帯なのですが、ゆるい傾斜の丘が広がっています。しかし、谷は、急な切り込みとして船底状や皿状の谷(デレと呼ばれるもの)が刻まれています。このような不思議な丘陵地形は、酪農に適していて利用されています。

宗谷岬の背後に広がる高台を登って進むと、稚内の山地を特徴づける“モコモコ”としたなだらかな丘陵性の地形が目に入ります。この“モコモコ”とした地形は、高さ20mから400m程度となり、稜線は丸みを帯び、谷は樹枝状に伸びているこの地形は周氷河地形(しゅうひょうがちけい)と呼ばれています。

稚内地方では土が凍っては融け、融けては凍るという現象を繰り返しているうち土がゆっくりと動くことで造られたものです。凍結と融解が繰り返されることで構造土、地表面が盛り上がったピンゴやパルサなどと呼ばれる丸い丘ができます。ピンゴが陥没してたアラスと呼ばれる凹地もできます。

 

これは今から2万~1万年前に起こった地球最後の氷河期「ウルム氷河期」に形成されました。
このような周氷河地形は、北海道のいたる所で形成されたといいますが、開発などで景観は失われ、今もなお美しい地形がしっかりと見ることができるのは宗谷丘陵といえます。
明治の中頃までは、丘陵全域にわたりうっそうとした森林が生い茂っていましたが、相次ぐ山火事のため樹木が消失し、気温が上がらず強風が吹くために、現在に至っても樹木が回復しておらず、背の低い植物だけの独特の風景が広がり、肉眼で周氷河地形を見渡す事ができます。今では一面、宗谷岬牧場による牧草地と、笹に覆われています。

 

 

 

 

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 次回は 第17回「摩周湖」

 

 

(担当 G)

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