おはようございます。
蒸しりんご店長のりんごです。
GWいかがお過ごしですか?
お休み中くらい、なにも気にせず過ごしたいですが
ステロイドの記事を書きます。
きっと、すごくひどい状態の子どもを抱え
どこにも出られないという母親はいるかと思います。
何かの情報になれば。。。
しかし先日、書いていた記事が途中で
消えて保存されていなかったので
テンション下がって保留していました。
気を取り直していきます。
アトピーにステロイドを使うと
どれくらい効果があるのか
一体どれくらいの人が治っているのか、ですが
「ステロイドは怖いと思っていて
ずっと避けていて
様々な療法を試していたけれど
なかなか治らず
ついにステロイドを試したら
3日でほぼ落ち着いて
その後は全く出ていない!
怖がらずにもっと早く使えばよかった!」
・・・と、いうような人は
確かに存在するのです。
ステを使ってすぐに良くなり
その後の再発もなし、っていうのは
アトピーを治すのに
一番近道で、とってもラッキーな事で
本当に理想的なことだと思います。
それでは一体、どの程度の人が
ステロイドで効果が出ているのか。
論文を探してみました。
色々出回っているものがありました。
アトピーの標準治療の権威といえば
九州大学の先生がいらっしゃるのですが
2011年の論文で
九州大学の先生が書いたものがあります。
Current status of atopic dermatitis in Japan
論文内は以下の試みが記されています。
アトピー性皮膚炎患者を年齢に応じて3グループに分ける。
0-2才の幼児、2才以上13才未満の小児、13才以上の思春期および成人。
全ての患者は、ステロイド外用剤および保湿剤で治療。
治療前と6ヶ月の治療後を4段階で評価する。
4段階:非常に悪い(very severe)・悪い(severe)
中等(moderate)・軽度(mild)
で、論文内にあった結果の表がこれ↓
拡大はこちら。拡大するとかなり見やすいですよ!
実際の論文(英語)を見てもらえれば
詳細は読み取れるかと思います。
内容も色々載っています。
でも、ざっくり上記のグラフの結果だけから
ざっくり、ざっくり見てみると
治療前の状態から1段階でも
たとえ6ヶ月間で非常に悪い→悪いでも
状態が改善された位置にいる数字を
私が赤でマルを囲みました。
赤文字は私が加筆、また見やすいように少し切り貼りしています。
それぞれ、全体数からステロイドに効果があった群の
パーセンテージを出してみると・・
0~2歳の幼児で35.7%
2~13歳の小児で39.4%
13~成人で36.8%
だいたいが、多く見ても約40%!!
ステロイドを使って肌状態が改善されるのは
全体の40%!!!
標準治療の権威の先生の論文で出された数字なだけに
逆にとても意味深い数字だと思います。
ある薬で40%という効果が保証されるものは
薬業界的には素晴らしいことなのか?
それとも低いことなのか?
ちょっと、薬業界に詳しくないのでよくわかりませんが
どうなんだろう??
野球で言うと、3割バッターは
成績優秀だから、薬も4割効果あるのは優秀?
ん~???
よくわかりません。
いや、多分4割しか効かないって良くないよね。
薬って通常命にかかわるレベルだからね。
で、この論文の表には
以下の様なコメントが付加されていました。
□ Uncontrolled patients per 6 months. Infantile: 7%. Childhood: 10%. Adolescent & Adult: 19%. *ad: atopic dermatitis.
6ヶ月あたりの患者で、幼児の7%、小児の10%、思春期および成人の19%では
コントロール不良群であった。
(コントロール不良=非常に悪い・悪いのままであるか悪化した)
この先生の著書も読んだのですが
アトピー性皮膚炎 : 正しい治療がわかる本 (EBMシリーズ)/法研
¥1,944
Amazon.co.jp
アトピー性皮膚炎患者は
常に、あらゆる年代で約1~5%
重症、最重症レベルの層がいます。
(上の2つの層が最重症・重症)
本の中ではそういった
改善しない層の理由は2つあると指摘され
1つは、適切な治療を行わなかったために
病気をこじらせて悪化させてしまった人
もう1つは、アトピー性皮膚炎の状態が本当に悪い人
とあります。
ということで、おおよそのことをまとめると
アトピー患者にステロイドを塗ると
約4割の方に改善が見られた。
しかし、コントロール不良の重症患者もいる
幼児の7%、小児の10%、思春期および成人の19%
そしてこの論文とは関係なく、一般的に
アトピー重症患者は1~5%はいるらしい。
これらのことを踏まえて私が思うのは
まず、4割の人は改善が見られるので
ステロイドで状態が落ち着く人がいるのは確か。
もし自分(の子)がそれならラッキーかもしれない。
一方で、どういった状態を持って改善というのか。
ある意味、6ヶ月も塗り続けて
まだこれからも塗り続けなければならない状態なのか
塗らずともいい状態なのか。
使った薬の強さは?変化はどうなのか
うーん。。。
この辺りは論文に細かく
載っているのかもしれません。
私は単純に上記の表の結果だけを見たので。
上記の本にも書かれていますが
アトピー治療のゴールは
症状が出ない状態としています。
症状があっても軽微
薬物療法もあまり必要としない
悪化もまれ。
その定義としては、6ヶ月の期間の後は
一体どれくらいの人がゴールまでいけたんでしょう。
それも謎です。
少なくともこの先6ヶ月以上塗り続けて
どんどん改善していく、とは思えません。
それよりも副作用のほうが心配です。
しかも、ステロイド長期使用で
皮膚の萎縮が起きることは証明済みだけれど
ステロイドの使用の実験は
1,2ヶ月程度でしか見られていなんですよね。
>>ステロイド長期使用で皮膚萎縮はいつ起きる?
また、もともと軽症mildだった人は
項目としてmild以上の評価基準がないので
はじめより改善したのかしないのか
変わらないんだったら、
軽症ではステロイドを使わなくてもいいのか
その辺りもうちょっと意見がほしいところです。
この論文に関して色々考察されているのは
深谷元継先生のサイトが参考になります。
それで、アトピーは一定数重症患者がいて
それはステロイドをきちんと塗らないからだ!と
もしくは
本当にアトピーが酷い人だ。とのこと。
【きちんと塗らないから】とお医者さんは言いますが
多くの人が、きちんと塗り続けた結果
なかなか効かなくなっていって
薬のランクが上がっていって
気がついたらステロイド依存
ステロイド皮膚症になっている
という話を聞くんですよね。
実際に今回の論文でも
6ヶ月間薬を塗り続けた結果の
コントロール不良群は
一般的にアトピー患者での重症患者の割合より
だいぶん多いのですが・・・・
ステロイドを使おうかな、と考えるとき
改善する4割になったらラッキーだけど
そうじゃなく、もし重症化する
薬に対して依存状態になる
そうだったら、、、、
2つの状態を天秤にかけると
やっぱり躊躇しますよね。
先日のアトピー茶話会の中で
参加者の方が
「知り合いに医師や薬剤師がいて
アドバイスを受けたんですが
『ステロイドは2週間塗ってみて改善したらいいし
それで改善しなければやめたほうがいい』
と言われ試してみた。」
そんなふうに話された方がいました。
私もそう思います。
というか、子どもの段階でステを使うとして
それ以上長く連続使用は怖くてもう使えません。
小児にとってのアトピー対策の
第一選択肢がステロイドではないと
私は思っていますので。
しかし絶対使うなとも思っていないので
試みに使ってみる
最もひどい状態で
自分の手でかき壊すくらいなら
立て直しにピンポイントで使うのは
有りだと思います。
もし、これまでステを使っていて
今後全く使わない方向で行く脱ステするなら
そして自分にあまり情報がないなら
必ず、そういうステ使わない治療の先生のもとで
通院しながらします。
なぜなら、あのひどい状態を
一人で見守り続けるのは
不安でしょうがないだろうなと思うからです。
孤独ですよ。
ではこれからは、子どものアトピーに対して
どう対策したらいいか、の私の考えを
書いていこうかなと思います。
ではでは良い黄金週間を♪
つづく
『アトピーとプール対策。プールで改善?悪化?』
5月募集中の講座
・5月9日(月)小児はり無料体験会
・5月17日(火)ベビーマッサージ講座
・5月26日(木)卵子快適お灸教室
・5月31日(火)VBAC茶話会
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