「続々」親離れさせたくても~継続的な医療と支援の提供は
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先天性の遺伝子疾患と重度知的障害ありの娘(22歳)
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元々は娘の子育て中の記録として始めたブログですが、現在は主に障害児(者)家族の防災ブログとなってます
前回と前々回の記事の続きになります
記事の元ネタになったNHKの報道には特に都市部で重度知的障害者の受け皿が不足していて遠く離れた施設に入居するしかなかった方々のことが出ていました。
重度知的障害だけが問題なら、それでも福祉の知識がある支援員さんがいれば何とかなるのでしょうけれども、我が家のもえもえの場合はそうはいきません。
もえもえの障害は先天性の難病由来のものです。
重度知的障害だけではなく身体の複数箇所に身体障害には当たらない程度の不具合(変形や機能不全)があり、 どれも定期的に専門医の受診が必要となります。
現在、もえもえが受診しているのは3つの大学病院と1つの総合病院と大学病院から独立した眼科、更に風邪などの日常的な体調不良に対応してくれるかかりつけ医をあわせて6つの医療機関の9つの診療科目。
殆どはかなり安定した状態で、ほぼ経過観察のみと言うところが多いのですが、かと言って今後悪化する可能性は低くないので経過観察を無くすことは難しく、毎月どこかの医療機関に通っています。
現在は医療機関の予約から医師とのやり取り、治療方針決定など全てを私達夫婦が行っています。
ですが、今後もえもえが私達の元を離れてグループホーム等で暮らす様になった時、これら医療に関わること全てを支援員さんにお任せすることが出来るのでしょうか?
私が知る限りの話ですが、通院支援はグループホームの本来の業務ではない為、全てのグループホームで行ってくれるわけでは無いそうです。
ホームで引き受けてくれる場合も別途料金がかかったり、車で送迎してくれるかどうかもまちまちな様です。
ホームで対応できない場合は福祉サービスの通院介助や行動援護等を利用することになる様ですが、もえもえの身体の状態や日常生活の中で問題が出てきているかどうかなど医師とのやり取りに必要な情報を持っていない人に全ての対応を任せることは難しいでしょう。
それでも、定期的な受診はきちんと引き継げばまだ何とかなるのかもしれません。
ですが、緊急受診せざるを得ない場合等、赤の他人である支援員さんが治療方針などの意志決定を担うことは出来るのでしょうか?
そして、遠方の施設に入居する場合、現在の通院先から引き継いで貰える医療機関も探さなければなりません。
現在の通院先は居住自治体の中にあるのはかかりつけ医と総合病院のみ。
近隣の市内に1ヵ所、残りは全て都内です。
まさか毎月遠望の施設から通ってきて貰う訳にはいかないでしょうし、かと言って施設から問題なく通える範囲で全ての診療を受けられるのかわかりません。
医療機関への送迎は出来ても付き添いは家族でと言われる場合もあるようです。
でも、親である私達が面倒を見られなくなって泣く泣く遠方の施設に入居したのに通院の為に呼び出されたりするのは無理があります。
施設に入居することが出来ていればまだ良いかもしれません。
入居することが出来ずショートステイを繰り返したり、本来は短期間しか利用できないショートステイを規定の期間を超えて利用するロングショートステイと呼ばれる状態で生活している人もいます
私達の住む地域でもこれが問題になっています。
重度知的障害がある人ほど安定した生活が必要なのにも関わらず不安定な生活を続けなければならない。
ショートステイ先を転々とせざるを得ないと言うことは担当する支援者もころころと変わるわけで個人の特性をしっかりと把握して支援することが難しい。
ましてや医療機関への通院支援は期待することが出来ないでしょう。
重度知的障害があっても家族が不在でも安定して暮らせる生活の場と福祉や医療の継続した支援が適切に受けられること、
これこそが
国が定める「健康で文化的な最低限の生活」
ではないのでしょうか。
「家族の愛情で支えられる生活」と言うきれいな言葉の陰には、
限界を超えてなお
「支え続けなければならない家族」
と
「家族不在ではまともに暮らすことさえ出来ない障害者」
がいます。
親である私達も出来ることはやりますが、重度知的障害者の支援体制が課題だらけだと言うのは個人レベルではどうにもならない問題です。
国は現実をしっかりと把握して課題を整理して必要な支援体制を作り上げていただきたいと思います。