2020年暮れから個人的キャンペーンとして、私の時刻表コレクションを元にスキー列車の歴史を、実物の時刻表とあわせて、紐解いています。
このシリーズの現在地確認です。
【1】1970年代 ○○銀嶺号から○○スキー号への移行期
【2】1980年代 ○○スキー号からシュプール号への移行期
【3】1990年代 シュプール号をはじめとした各地のスキー列車
1章 1年目(1985〜86)
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9章 10年目(1994〜1995)
10章 11年目(1995〜1996)
4】2000年代以降 シュプール号の終焉
【5】番外編
今回は第10章、シュプール号11年目(1995年〜96年)シーズンについてまとめます。このシーズンですが、白馬・栂池号が全面的に運転休止されます。理由は大糸線で発生した集中豪雨による長期不通です。その上でどのような運行体制になっていたでしょうか。
’95〜’96シーズンに追加されたシュプール号
シュプール勝山号
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
シュプール白馬アルプス号
JR西日本のシュプール号ながら、経由が東海道本線→中央本線と、JR東海社線を通る前代未聞の経路を取ることになった新たな列車の誕生です。これは1995年7月11日に発生した新潟・富山・長野の各県下で発生した集中豪雨によって大糸線不通となり、大糸線の乗り入れ等ダイヤの制約が大きく生じ、「シュプール白馬・栂池号」の運行が難しくなりました。その結果生まれた列車になります。
そのダイヤですが、姫路〜南小谷間1往復で、行きは姫路を20:15に出発し、東海道線米原までの主要駅でスキー客を拾いつつ、その後信濃大町まで客扱いを行わない(=JR東海エリアでは乗客を拾わない)ダイヤが組まれました。ちなみに客扱いは行っていませんが、目的地を有効時間帯とするために藪原で運転停車されました。帰りも夜行として運行され、こちらも時間調整で名古屋で運転停車されたようです。
使用車両については、中央本線を経由するため、パンタ折りたたみの高さの制約が生じ、従来「シュプール白馬・栂池号」で使用されていた485系、583系の充当が叶わず、JR西日本の「やくも号」、「くろしお号」で使用されていた381系の予備車を捻出し、381系6連を2本捻出したとのことです。
’95〜’96シーズンでみかけなくなった(前シーズンまで存在した)シュプール号
今シーズンから消滅したシュプールはありませんでしたが、1995年7月集中豪雨によって発生した大糸線の不通の影響による「シュプール白馬・栂池号」の運休が発生しています。
各シュプール号のダイヤの動き(前シーズン【’94〜’95】との比較を中心に)
シュプール猪苗代号の帰りのダイヤについては、30分ほど繰り上げて運転されていること以外は、両列車ともに、ダイヤ、使用車両ともに前シーズンを踏襲しています。(蔵王:青森運転所583系6連、猪苗代:勝田電車区485系7連)
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
シュプールニセコ
シュプール上越号、シュプール草津・万座号
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
シュプール信越号、シュプールレインボー信越号、シュプール戸狩・野沢号
シュプール白馬号、シュプールゆう白馬号
シュプールユーロ赤倉・志賀
ダイヤ、使用車両ともに、前シーズンを踏襲しています。
使用車両はユーロライナー6連+ユーロピア4連の10両編成。
※名古屋発1995年12月28日〜30日、妙高高原発12月31日はユーロライナー3連+ユーロピア2連の5両編成での運行。
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
シュプール栂池・八方号
前シーズンに始終着が大垣に変更されたばかりでしたが、そのスジを踏襲しつつ、大垣から更に神戸まで延伸運転されています。これはJR西日本の「シュプール白馬・栂池号」の運休に伴う緊急状況への会社を超えた「救済処置」とのことでした。そのため、使用車両はJR東海の神領電車区の381系6連を変わらず使用したため、JR西日本内への送り込みとして、名古屋〜神戸間の回送が発生しました。ちなみに、この「栂池・八方号」の座席販売については、JR西日本、JR東海がそれぞれ販売枠をもち、6両編成のうち2両がJR西日本エリア発着分として割当られていたそうです。
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
シュプール苗場・湯沢号
ダイヤは前年踏襲、使用車両については、前シーズンの向日町運転所の14系寝台車6連から、宮原客車区の24系25型9連に変更されています。
シュプール妙高・志賀号、シュプール立山号
1号・6号 西明石〜黒姫間 583系12連
3号・2号 姫路〜長野間 485系7連+583系7連
5号・4号 神戸〜黒姫間 14系座席車12連 ※大阪方は展望車
11号・12号 神戸〜黒姫間 金沢運転所の485系9連、または489系(白山編成)9連
13号・14号 神戸〜直江津間 向日町車583系12連、金沢車485系9連、または、14系寝台車7連+レガートシート1両。
ダイヤでは、11号・12号が、前シーズンは直江津止まりだったのが、ダイヤ調整がかなって黒姫発着に信越本線乗り入れと変更されています。
使用車両については、
・583系が昨シーズンまで10連または12連だったのが、12連のみと「増強」された
・5号・4号については、従来と変わらず座席車ながら、このシーズンは運休の「白馬・栂池号」で通常使用されていた展望車付き編成が入ったといういわくつきの運用でした。
・13号・14号の14系寝台車使用編成には、あかつき号で使用されていた「レガートシート」車が連結された
その他、運転日によって、スーパー雷鳥編成が入ったりなど、編成のバラエティーには枚挙の暇がない、例年通りの賑やかさでした。
シュプール白馬・栂池号
前述の通り、1995年夏に発生した大雨による災害が大糸線に発生し、その影響をうけて、このシーズンは、運行されておりません。
シュプール大山号
前シーズンと概ね同じダイヤ。使用車両も引き続き熊本運転所の12系6連での運行が基本で、下記紙面には明記がないもの、運転日によっては寝台車付き(24系25型3連)となり、12系4連+24系25型3連の7連という編成だったようです。
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
今回は、以上です。
次回は、11章 12年目(1996〜97)のシュプール号についてまとめます。
参考資料
JTB時刻表1995年9月号、12月号
鉄道ダイヤ情報 1996年1月号(No.141)
参考サイト http://gingaexp.web.fc2.com/jr/spur/spur_1.html
https://macchayasan.blog.fc2.com/blog-entry-1.html
※車両情報を中心に参考にさせていただきました。
国鉄185系電車(Wikipedia)
カバー画像 Oleksandr PyrohovによるPixabayからの画像