『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』
この年末、遂に『男はつらいよ』第五十作が公開されますが、それを記念して、ナント!!
⬇⬇
が、発売されます!
「お前もファンを公言するなら当然予約してるよな?」(天の声)……
スミマセン m(__)m
でも欲しいー…… (*´∀`)
「不景気のバカヤロー❗」(心の声)(`□´)
と、黄昏た所で ……( ;∀;)
気を取り直して☝
……………………
今回は1989年、記念すべく平成最初の作品、第四十一作を紹介致します❗
本作はシリーズ史上初の、ほぼ海外ロケとなる大異色作品でした。
オーストリア・ウィーンでの奇妙な珍道中、そしてマドンナとの恋の行方や如何に??
◇ 1989年8月公開(松竹)
監督・原作・脚本 : 山田 洋次
脚本 : 浅間 義隆
撮影 : 高羽 哲夫
音楽 : 山本 直純
美術 : 出川 三男
出演 : 渥美 清、倍賞 千恵子、下條 正巳、三崎 千恵子、前田 吟、吉岡 秀隆、大宰 久雄、北山 雅康、関 敬六、佐藤 蛾次郎、笠 智衆
ゲスト出演 : 竹下 景子、淡路 恵子、柄本 明、笹野 高史、イッセー尾形、マーチン・ロシュバーガー
《簡単なあらすじ》
みちのくの旅の途中、寅次郎が乗る列車が急停止した。。
線路に横たわる男を発見した車掌(笹野 高史)が恐る恐る覗き込むと、、間一髪で死亡は免れ一安心するが、、
自殺を図った男・坂口兵馬(柄本 明)は、一流会社の課長をしているが、真面目な性格から心身症に陥り自殺願望を持っていた。
不憫に思った寅次郎はその夜、車掌を誘い行きつけの旅館で酒を振る舞い大騒ぎすると、、
すっかり、気持ちが落ち着いた坂口は、恩人・寅次郎を慕い、一緒にウィーンへ海外旅行へ行こうと無理矢理誘うのだが……
それから数日後、、
旅行会社の営業マン(イッセー尾形)が「くるまや」に来店していきなり、寅次郎分のウィーン行きの旅券を渡され困惑するさくらたち……
そして、くるまやに寅次郎が帰って来ると、みんなでウィーン旅行を取り止めする様に説得するが……
結局、断り切れず寅次郎と坂口は一路ウィーンへ。。
そこへ偶然❗
日本人観光客のツアーガイドをする久美子(竹下 景子)と出会うが、、
帰り道がわからなくなった寅次郎を助けようと四苦八苦するが中々宿泊先を見つけられない。
そこで💡
久美子の頼みの綱で、このウィーンで知り合った日本人マダム(淡路 恵子)に助けを求めると、、寅次郎と意気投合して家にまで招待して日本食を振る舞い、直ぐに宿泊先も見つかり一件落着。。
一方、坂口は舞踏会でウィーン美女と出会い、夢の様な一時を過ごしていた。。
その後、
久美子の日本での辛い過去の話を聞いた寅次郎は、頑なに帰国を拒み続けながらも、家族を忘れられない久美子へ日本に帰ろうと促すのであった。
美しき青きドナウに佇む二人。
まるで恋人の様……
………………………………
オープニングから、兄思いのさくららしい兄妹愛のこもった手紙を読む寅さんの感慨に浸る表情に感動したのも束の間。。
いきなり諏訪家のシーン。
満男は大学受験に落ち、予備校に通う毎日。。
サラリーマンの様な生き方を否定した、寅伯父さんが羨ましいと言うと、、
母・さくらは「否定したんじゃなくて否定されたのよ世の中に……」と凄い剣幕。。
やはり、満男が寅伯父さんを肯定したり擁護すると、親心としては不安で堪らなくなり、ツイツイ厳しい語調で叱ってしまうんですね。。
なんか、あんなに仲のいい兄妹なのにと、、
ちょっと複雑な心境になります。。
しかし、さくらの不安は、次作で的中してしまうんですよね……(苦笑)
。。。
本作が公開された1989年は、、
元号が平成に変わり、バブル真っ只中、消費税3%が日本で初導入、日経平均株価は3万8千円台を記録する好景気で日本がお祭り騒ぎの如く浮かれる中…一方で過労やプレッシャー等によるストレスが真面目に働く人々の心と身体を蝕んで行った。。(イケイケ野郎だった当時の私には全く理解出来ない事でしたが……)
自殺願望のあるサラリーマンが自殺未遂を起こすと言う、ともすれば衝撃的なストーリーですが……
とてもナーバスなテーマを寅さんはサラりと笑いで吹き飛ばしてしまっている様で…実はしっかりと心身が疲弊しきった坂口をケアしています。。
明日から会社に出勤すると言い出した坂口に……「お前がいないと会社はツブれるのか?」
ごもっとも☝
引き留めた坂口を、厳しい現実から離れさせようと、芸者をあげて大騒ぎする所は、寅さんらしく単純な手法ですが(笑)、励ましたり、鼓舞しようとはせず、ひたすら愉しくさせてあげる、、
これまで幾多の人々を救って来た寅さんの心遣い。決して狙ってしている訳ではない自然な人心掌握術には、いつ見ても本当に感心してしまいます。
当然、坂口は、寅さんにゾッコンとなり、自腹を切ってでも一緒に大好きなウィーン(湯布院ではありません(笑))に連れて行こうとします。(海外旅行と言う所もバブリーですね。。)
そして、、
ウィーンでいよいよマドンナとの出会い!
なんと❗
マドンナは三度目の出演になる【竹下 景子】さん!余程、山田監督or渥美 清さん?に気に入られていたんでしょうね、、
三十二作『口笛を吹く寅次郎』三十八作『知床慕情』での「いつも綺麗な竹下景子さんに3000点❗」級の演技にメロメロになり、再指名を入れたくなるのは、男として良くわかります。。
久美子は、日本で一流会社に就職し、その会社の同僚と付き合い結婚の話まで進んだが、結婚しても仕事を続けたい久美子はその彼氏と衝突してしまい、、別れた上に会社まで退職して、傷心のまま一人でウィーンへ行き着いたのだった。。家族に弱みを見せたくない強情っぱりの久美子は、意固地になり故郷の岐阜には帰れなかった。。
今回の竹下景子さん= 久美子は、これまで寅さんに無下にされた恨みを晴らすべく、最後のリベンジ感が漂って見えてしまうのは、私だけでしょうか(笑)……
ロマンチックだが、スッキリさっぱりと終わる坂口とウィーン美女との甘い恋と比べても、かなり殺生な仕打ちを受ける寅さん。。
寅さんも、いつもの早合点の岡惚れではあるが…ヘイマン(マーチン・ロシュバーガー)と言う恋人が居る事!事前に話しとこうよ久美子ちゃん! ((`□´)
寅さんから説得されて、日本に帰る事を決意した久美子だったが、、別れ話を受け入れた筈のヘイマンが、諦めきれず空港へ駆け付けプロポーズ。いきなり、情熱的なチュッチュ、チュッチュを見せられた寅さん……
何が何やら、茫然自失状態でアマリにも残酷でした。
そして、ウィーンに残る事になった久美子。。
それにしても、、
空港は、男女の出会いあり・別れあり・そして再生ありのドラマにはウッテツケの場所ですね。。
しょんぼりして寝込んでしまう機内の寅さん……
後日、寅さんとマドンナの出会いの物語が、坂口が持ってきた写真で語られるシーンは、ウマイ演出だなぁ☝と唸りましたが、、
寅さんが余計に惨めに思えてしまい、
流石に可愛そうでした。。
寅さんの生き甲斐とは?
「旅先で、震い付きてぇようないい女と巡り会うことさ」と答えていた寅さん……
何度、失敗しようとも生き甲斐ならば、致し方ないですね。。(泣)
まるで夢の様な寅さんの人生が垣間見れた作品でした。
「ダンケ・Dunke❗」
……………………
【竹下 景子】さん、前述の通り、今回は寅さんへのリベンジを見事果たしましたね。(苦笑)
前二作とは違い、社会的に自立した女性の苦悩がよく表れていました。『柴又より愛をこめて』『サラダ記念日』等、近作では、このタイプの寅さんにとっては些か敷居の高いマドンナが多いのは意図的でしょうか??
お面を被ったような男(笑)【柄本 明】さんは、独特のトボケ感が『寅次郎あじさいの恋』でも抜群でしたが、本作ではよりクセが強くなり超個性派に磨きが掛かっていました❗現在でも唯一無二の存在感で『居眠り磐音』での悪役ぶり等は、もはやホラーでした (|| ゜Д゜)
【淡路 恵子】さんも、竹下さんと同様『知床慕情』に続いてのご出演でしたが、姉御肌的な安定のマダムで、スタイルの美しさと立ち居振舞いのカッコよさは流石です❗役の設定上ですが葛飾区金町出身には親近感が湧きました!
淡路 恵子さんと渥美 清さんと言えば、丸山誠治監督『父子草』(1967)が印象的で、、
おでん屋台を舞台に面倒な酔客と常連の浪人生との理不尽な喧嘩から始まり、次第に父子の様に慕い合う関係となる心温まる人情物語。二人を見守る女将(淡路さん)も素晴らしく、思い出すだけで泣けてきます💧💧
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最後に、、
ロケ地がウィーンと言う事で☝
名作映画『第三の男』のオマージュシーンがありましたが、淡路さん演ずるマダムの亡き旦那の写真がオーソン・ウェルズな所は洒落てますね(笑)👍
好きなシーン☝
石川県羽咋市でのラストの売シーン❗オーストリア➡オーストラリアと間違えて、「ウィーンはオーストリアの首都じゃ!」と学生客に突っ込まれるが、「そういうこともありました、昔は、若い男が理屈を言うと女にモテない!」軽妙にかわす寅さんがカッコいいし、ポンシュウは良く分からずに「はいヨーロッパだよ!はいヨーロッパだよ!」と連呼する所等、最高のコンビネーションです✌それに「消費税はサービスだよ❗」(笑) はタイムリーなネタですね☝
次作から、いよいよ満男シリーズ❗
私も全作レビュー完走を目指して、ピッチをあげてガンバリマス👍
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