『男はつらいよ』シリーズ

今回は、1982年公開第二十九・三十作を紹介します。

この年【渥美 清】さん54歳、、
二十九作撮影時から、体調不良が始まり撮影も困難な日々があったと【山田 洋次】監督後日談の記事を読んだ事があります。。

私もしかりですが、、ガタが来る年ごろなんですね、、

しかし、そんな辛い中でも、『男はつらいよ』を、毎回楽しみにするファンの為に仕事を全うされる【渥美 清】さんに、つくづく感服致しますm(__)m


『男はつらいよ』は、よくワンパターンだと言われていますが、、「寅さんとマドンナの出会い」という一つのパターンを守り続けながらも、そこで出会う十人十色の様々な人間模様に遭遇する事で、毎回新たな発見があると言う奥深さが素晴らしいと私は思っています。。

本二作品も、そんな寅さんが堪能出来る作品だと思います!!

★もし機会があれば、続けて観賞される事をオススメ致しますm(__)m


『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』

◇ 1982年 8月公開
ゲスト出演 : いしだ あゆみ、片岡 仁左衛門、柄本 明


〈簡単なあらすじ〉

京都・加茂川、
売を終えて一休みしている寅次郎は、そこで一人の老人と出会う。下駄の鼻緒が切れてしまったその老人を助けると、お礼がしたいと馴染みの高級茶屋へ招待される。。

一介の老人と思っていたが、実はこの老人、、著名な陶芸家の加納作次郎(片岡仁左衛門)であったのだ。

寅次郎は、酒に酔い意識の無いまま加納先生宅で一晩世話になるが、目を覚ますとそこには、女中として働くかがり(いしだ あゆみ)がいた。


翌日、寅次郎は世話になったお返しにと、全員分の下駄を持って加納先生宅を訪れた。

かがりは、五年前に夫を病気で亡くし、故郷の丹後に娘を残し出稼ぎに来ていると言う事を聞き不憫に思う寅次郎。

屈託の無い自由気ままな寅次郎に想いを寄せ始める、かがり。

二人の愛の始まり……

………………………………

舞台が祇園や丹後という事と【渥美 清】さんの体調も考慮されてか?
本作は、静かで趣のある、文芸映画の様な作品に仕上がっています。


旅先で見ず知らずの老人と出会う、、
第十九作『寅次郎と殿様』同じ展開に💡
この老人は、人間国宝と言われる陶芸家の加納作次郎先生【片岡 仁左衛門】さん。
飄々として憎めない頑固者の人間国宝が、実にいい!


加納先生の弟子・近藤【柄本 明】さん、
寅さんにキャリアを聞かれて、十二年続けても芽が出ていない事に気付きショック……
安定のすっとぼけ感、この時既に名人芸の片鱗がっ!


如何にもワケありのマドンナ・かがり【いしだ あゆみ】さんが住み込みで働いているが、、、寅さんの行動・言動に微笑む姿が美しい。。

ある日、
独立した加納先生の弟子・蒲原が、作業場を与えてくれると言う女性と結婚すると報告に来たが、蒲原とかがりさんが恋仲であることは周知の事実だった為、身勝手な蒲原に、加納先生は憤りを覚え、袖にする。。

恋人に裏切られながら、何も言えずに受け入れる、かがりさん。。

加納先生から、その消極的な性格を責められ、いたたまれず故郷丹後に帰ってしまった、、

その後、寅さんは、加納先生に頼まれ丹後へ行き、かがりさんの様子見に訪ねるが、、最後の船に乗り遅れ戻れなくなり、二人は一夜を共にすることになる。。。

ここまで、マドンナとのドキドキする様な色っぽいシーンは、この『男はつらいよ』史上、本作が初めてだろう。。

かがりさんの、素脚を見て欲情を抑える様な描写や、誘いを待つ、かがりに、何もせず寝てしまう寅さん。、男として「据え膳食わぬは…」m(__)mと、情けないと思う所もあるが、、それも寅さんか。。


逆にこんな美人ばかりと半年毎に出会えるなんて、羨ましく嫉妬してしまう(笑)…………

丹後から、「とらや」に戻ると案の定、恋患いで寝込んでしまう寅さん……

デリカシーのない(笑)家族達に怒り、、
またまた旅に出ると飛び出そうとした所。。

かがりさんが、淑やかに登場!
寅さん、、腑抜けてその場で腰を落とす。。

その上、隠れて、付け文を手渡される、、
そこには、日曜日に鎌倉のあじさい寺で待っていると、書かれていた。。

寅さん、完全に気が動転して暴走機関車…(笑)

だが、、往生際の悪いビビりの寅さん、
満男を無理矢理連れて鎌倉へ行くが、、
煮え切らない、寅さんの態度に、、かがりさんはいつもの寅さんでは無いと、がっかりして、
そのまま丹後へ帰ってしまった。。

そして帰り道、電車で涙したと言う、寅さん。

好きなのに、迫られると逃げ腰になる所は、いつもの事だが、、今回はホントに後悔の大きい別れ方でしたね、、、無念。。

もしかしたら、、この恋は結局は成就出来ない、一緒になっても幸せになれないと、、
寅さんは、察知してしまったかの様だった…?

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正直言って寅さんには、リリーさん、ぼたんさん、光枝さん等の気っ風の良い女性の方が似合うし、、寅さん自体が饒舌になり、相手との会話もテンポよく弾むが、、
かがり【いしだ あゆみ】さんの様な、しっとり系(夕子さん、早苗さんしかり)も、寅さんの男の本性が見える様で、これもまたいいんですよね👍

好きなシーン☝
本作は大爆笑する様なコメディシーンはありませんが、、成長して口達者になった満男【吉岡 秀隆】さんが可愛いい👍


満男が寅さんに「お前も何れ恋をするんだなぁ…可愛そうに」と言われたと皆に話すシーンで、満男が「俺、恋なんてしないよ」と言うと、すかさずタコ社長が、「するする!寅さんの血をひいてるんだもん、うふふ」……鋭い👍満男の将来への伏線が既にここで❗(^-^)/

美しい風景と粋な寅さん!



◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎

『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』

◇ 1982年12月公開
ゲスト出演 : 田中 裕子、沢田 研二、児嶋 美ゆき、


〈簡単なあらすじ〉


⬆夢シーンは、ジュリ~❗

久し振りに「とらや」へ帰って来た寅次郎、たまたま立ち寄った、向かいの幼馴染みの娘・桃枝(朝丘 雪路)と偶然ばったり!二人で店の前でふざけながらイチャイチャする始末に、おいちゃんは腹を立て「出ていけ!」、、
「それを、行っちゃあおしまいだよ…」と寅次郎は直ぐ様、飛び出してしまった。。


それから……
寅次郎は旅先の大分湯平温泉で売に励んでいたが、馴染みの温泉宿に泊り、宿の親父と晩酌していると、母の遺骨を持って宿泊していた三郎(沢田 研二)から、その母が昔この旅館で働いて居たという話を聞いて、それならこの旅館で供養をしてあげようと、寅次郎は式を取り仕切った、、

それが縁で、東京から旅行で訪れていたデパート店員の螢子(田中 裕子)とゆかり(児島 美ゆき)とも知り合いとなった、、


次の日、偶然にも螢子、ゆかりと三郎に出会い、四人でドライブ観光をする事に、、

そして別れ際、
螢子に一目惚れした三郎は突然、無謀にも付き合って欲しいと告白してしまった。。

若い二人の恋の行方は、どうなるのか?


………………

旅先で出会った三人の若者との交流、、寅さんお得意の恋愛指南が冴え渡る👍

本作ではあまりマドンナへの愛情を表沙汰にせず、、三朗青年への指南に徹していますね。。

最初から、寅さんは二枚目相手に白旗上げてる様で、、寂しいですが、本作以降は特にこのパターンの作風が多くなっていきます。。

寅さんには、いつまでもバリバリで若い娘にチャレンジして欲しい所ですが、、
年相応の渋~い恋愛等、味のある作品も多く、また違う意味で楽しめます👍



マドンナの【田中 裕子】さん、
童顔だが、何処か色っぽい不思議な魅力が全開でした。柴又駅で寅さんに腕を組みに行く螢子さんに、、寅さんMaxメロメロになってましたね👍


冒頭の夢シーンでの、スケコマシ(笑)とは大違い、、三郎青年役の【沢田 研二】さん、本編では、動物園の飼育係りで、話題と言えばチンパンジーの事くらいの堅物……二枚目なのに恋愛音痴(笑) 昭和の歌謡界を常にリードしてきた、憧れの【ジュリー】!が意外な役を好演されてました👍


そして、寅さんの奮闘努力の末、
二人はめでたく結ばれた❗❗

「さくら、やっぱり二枚目はいいなぁ、、ちょっびり妬けるぜ、、」

………やっぱり、螢子さんを好きだったのね。。寅さん、、切なくも粋に本音をポロリしてしまった。。

最後に、
寅さんが旅先の公衆電話から螢子と話すシーン受話器の向こうでは、螢子さんが泣いているが、10円玉が無くなり途中で切れてしまう、、
切なくも、愛らしい寅さんのその姿に何故かホットしました。。

寅さんの名台詞、
デートで何も話せない三郎青年を気遣う寅さんの螢子への台詞、(★フルバージョンで!)

「今度あの子に会ったら、こんな話もしよう、あんな話もしよう、そう思ってね、家を出るんだ。いざその子の前に座ると全部忘れちゃうんだね、、で、馬鹿みたいに黙りこくってんだよ、そんなテメエの姿が情けなくって、こう涙がこぼれそうになるんだよな、女に惚れてる男の気持ちって、そんなもんなんだぞ。。」

正に、前作『あじさいの恋』の寅さん、、

自分の様に後悔しない為に、、
寅さんは、三郎青年にあれだけ親身になってあげたのでしょう…

ひしひしと胸に伝わりました。。( ;∀;)

………………………


そんなこんなで、
この若い二人はその後、、この共演がきっかけとなり、プライベートでも結ばれる事となりました✌

好きなシーン☝
「とらや」で三朗青年と螢子さんを、偶然を装い引き合わせる作戦を立てるが、、寅さんが自分でネタばらししてしまうシーン!アドリブのようにも見える寅さんの絶妙ギャグに、螢子さん始め、とらやの皆さんが、素で大笑いしてしまうシーン!やっぱ最高です👍

新シリーズ(笑)!
『男はつらいよ』不思議キャラ?
螢子さんの弟の「ボク」?………⬇



★以下のレビューもヨロシクどうぞm(__)m