『男はつらいよ』シリーズ

八月四日、本日は【渥美 清】さんの命日です。

『男はつらいよ』最終作で、寅さんが最後に訪れた町は阪神淡路大震災の被災地復興を手伝ったあの神戸でした。そして「皆さん、本当に御苦労様でした」が最後の台詞となりました。

そして、そこからの行方は分からぬまま、
星になった寅さん、、

【渥美 清】さん=「寅さん」は、いつまでも私達の心の中に居て困難に遭った時に指南をしてくれています。

没後二十二年が経った今でも、名作『男はつらいよ』の寅さんは、永遠に生き続けています。

観る度に何度でも言いたい、、
「ありがとうございます」と。。


今回は、1983年の第三十一・三十二作を紹介します。


『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』

◇ 1983年8月公開
ゲスト出演 : 都 はるみ、ベンガル、藤岡 琢也、北林 谷栄、木ノ葉 のこ、桜井 センリ、中北 千枝子、
※ 本作よりタコ社長の秘書役 : マキノ佐代子


〈簡単なあらすじ〉

満男の運動会前日、父・博は仕事で応援に行けなくなり、満男をがっかりせてしまった、、そんな時、寅次郎が久し振りに「とらや」に帰って来た、そして、運動会の話を聞き付けると直ぐ様、博の代わりに応援に行くと息巻くが、満男は寅次郎が、来る事を恥ずかしがった為、行くのは辞めて欲しいと説得するさくら達。。
結局、それが発端で一悶着あり寅次郎は翌朝、また旅に出てしまった。


数日後、新潟を旅する寅次郎が、出雲崎の埠頭で佐渡へ帰る漁船に乗せて貰う所に、、その埠頭を一人歩いていた女性から、自分もその漁船に乗せて欲しいと頼まれ一緒に佐渡へと向かう事になった。


佐渡の民宿での晩酌の時、浴衣姿に着替えた、その女性に見惚れしてしまう寅次郎だが、、何処かで会った事のある見覚えのある顔だと言うが、思い出せない。。

仕事に明け暮れ、彼氏とはすれ違いばかりで遂に別れてしまったと打ち明ける女性に、より恋愛感情が沸き上がる寅次郎。。


女性が酒に酔い先に部屋へ帰ると、民宿の老女将(北林 谷栄)が、その女性は、公演をキャンセルして失踪した人気演歌歌手・京 はるみ(都 はるみ)だと言い、寅次郎にサインを書いて貰う様お願いするが、、全く気付いていなかった寅次郎は、余程の事情があって逃げ出したのだろうと察知してはるみの素性は知らないふりをするが、、、


翌日、
佐渡にこだまする、はるみの美しい歌声、

いつまでも聴いていたいと思う寅次郎だが、、

追手が直ぐそこまで来ていた。。。

………………………

まず、
【渥美 清】さんは本作では、前々作での不調から少し体調が戻られたのか、動きにキレが感じられました。

そして、
民宿での寅さんとはるみさんのデュエット『矢切の渡し』が、静かにほんのりとしていて、とてもいい👍 
★いつもながら寅さんの歌声は粋で味わい深い!

旅先で偶然出会い、一時を共にする、、
そのワケアリ女は、人気歌手「京 はるみ」、、
はるみを気遣い、知らないふりをする寅さん、ボロが出て「はるみちゃん」と言ってしまう寅さんの表情、、全てに優しさが溢れている。

事務所の連中に見つかり、仕事に戻るはるみは、「私、行きたくない…」と言うが、寅さんは、、「俺だって……」と心情を吐露しつつも「待ってるファンの為に……」と、はるみを説得した。。切ないけど、寅さんは男らしく、正しい選択をした。(T_T)

それからは、いつもの通り柴又に帰り、、
恋患いの療養に……(笑)

そして、寅さんに会いに「とらや」にやって来たはるみから、彼氏とまたやり直す事を聞かされ、、ションボリ。。

寅さんホントに「ほ~惚れちゃってたんだね」………

また旅に出る寅さんは、さくらの家に立ち寄り、はるみから貰ったリサイタルのチケットを渡し、、何かあったらはるみの力になってあげてくれ!と言って出て行った。。

本作の寅さんは、ホントに粋で、カッコよくて、優しかった👍

そして、【都 はるみ】さんの歌声を聞くと昭和の情景が自然に頭に浮かぶ。。ノスタルジ~

………………………………

⬆【都 はるみ】さん、演歌等、あまり聴かなかった私ですが、はるみさんはジャンルを越えて称賛されるべく、唯一無二な歌唱力を持つ方だと思います☝ やはり名曲『北の宿から』が私のFavoriteです❗

⬆事務所総出で、はるみを捜索するスリリング(笑)でコミカルなシーン。。『男はつらいよ』では珍しいパターンでした!⬇

⬆ドタバタ四人衆の追走が可笑しい👍
社長の【藤岡 琢也】さんは、腹っぺらし(笑)、【桜井 センリ】さんは冷静にドジ(笑)、【ベンガル】さんは、慌てふためき猪突猛進!、【木ノ葉 のこ】さんは、とにかく、いい娘❗(笑笑)

⬆運動会の応援を嫌がっていた満男。。
寅さんからの置き手紙を見て………⬇
⬆伯父さんに謝っておいてとさくらに言う満男、、本作以降、寅さんへの意識が徐々に変化していきます。。
冒頭からじ~んとするシーンでした👍


⬆好きなシーン☝
満男の運動会で、イイとこ見せたいと「パン食い競走」の練習に励む寅さん。中庭での特訓の一部始終はギャグ満載で堪らなく面白い👍

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『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』


◇ 1983年12月公開
ゲスト出演 : 竹下 景子、中井 貴一、杉田 かおる、松村 達雄、


〈簡単なあらすじ〉

寅次郎は商売の旅の途中、
久々に立ち寄った備中高梁で、博の父・飈一の墓参りの為、寺を訪れた。



その帰り道の参門の石段で、、
酔っ払った住職(松村 達夫)と、その娘・朋子(竹下 景子)と出会い、寅次郎は一瞬で、朋子に惚れてしまった……

その朋子は結婚に失敗して実家に出戻っていた。
そして、大学生の長男・一道(中井 貴一)は、ろくに学校へも行かず、趣味に没等していて、父との関係は悪化するばかりだった。


結局、その晩、寅次郎は住職と意気投合して世話になるが、その翌朝、住職は前夜の呑み過ぎがたたり法事に行けないとなり、朋子が慌てふためいていると、、帰ろうとしていた寅次郎が、代役を買うと安請け合いしてしまった。。


しかし、
寅次郎の説法は好評で、地元の間でも話題となり、調子に乗った寅次郎は、その日からこの寺に住み込みで働く事になる。。

そして、
父の三回忌法要の為、博の家族が寺を、訪れたが、住職同様に袈裟を纏い坊さんもどきの寅次郎とバッタリ、、


さくらは寅次郎が住職を騙してるのではと勘繰り、心配になり、、体調を崩してしまう程のショックを受けるが。。


寅次郎は朋子と所帯を持ち、、
寺を継ぐ為、仏門に入るのか?

この騒動の行方や如何に?

‥………………


まず一言☝、
何度見返してもいい作品です!

寅さんが出家して仏門に入る?
あまりにも突飛で無理のある設定だが、、、

和尚さんの代役を買ってでた寅さん、、
滅茶苦茶になるオチかと思いきや?

「口からでまかせ!」で見事にお勤めを全うした寅さん!

「ホトケ、ホットケー!」のダジャレや、
「門前の小僧、習わぬ経を読む」のことわざが、随所で抜群の伏線となる!流石、山田監督❗

面白いのが、、
カメラの勉強の為、一人東京に出て行った、
一道&地元の恋人・ひろみとの純情愛!かと思いきや、、
寅さん&朋子よりも、ずっと大胆で積極的👍でしたね……

その一道を心配して上京した朋子。。
朋子は、本気で寅さんとの結婚を考えていたが、、最後の最後で、寅さんは、本心を誤魔化し、自分からチャラけて、結局は別れる事になってしまった。。

出家する事は無理だと感じたのだろうか。。?

やはり禁断の愛だったのか……

今回は寅さんよりも朋子さんの方が可愛そうだった(T_T)


★柴又駅ホームでの名シーンの一つです☝
朋子さんが、寅さんの裾を引っ張る所作等、色っぽさもあり、引き込まれます。。(@_@;)

本作は、こうすれば、こうなるだろう!、みたいな先入観が、ことごとく裏切られる展開が、多く、、シナリオの秀逸さが際立った作品だと思いました👍★

とても好きな作品です☝
‥………………………

今回のマドンナとの出会いは?
博の父・飈一さんが、引き寄せてくれたのかも知れませんね。。

飈一さんが登場する三作品は、どれも大好きで大変感慨深いストーリーばかりでした。。

本作では、既に亡くなられていると言う、設定でしたが、、【志村 喬】さんご自身が、前年に他界されていたので追悼の意味もあったのかも知れません。。


なのに、、諏訪家は、いつもゴタゴタしている、、兄弟間のギスギスした遺産相続の問題等が起こるが、、最終的に兄弟に分配された遺産を、博はタコ社長の会社に投資する形になるのも翔んでる発想でした、、、
これで、タコ社長は博に一生足向けて寝れなくなりましたね。。


⬆御前様は、三日で修行を断念した寅さんを散々批判して、出入り禁止とするが、、柴又を訪れた朋子さんにうっとり。。自分自身も「いかん、修行が足りん」と。。(笑)


⬆【竹下 景子】さんは、これまでのマドンナの中でも上位に入るであろう名演技でした!
余程気に入られたのか?この後、別の配役で二回もマドンナを演じられました✌


⬆一道役の【中井 貴一】さん、大学中退も已む無しと、、キャメラに青春を賭ける美青年!カッコいい👍


⬆ひろみ役の【杉田 かおる】さん、純情田舎娘を好演❗青春のニキビ面が眩しい👍
『パパと呼ばないで』のチー坊もこんなに立派に成長しました!


⬆寺の住職【松村 達夫】さん、、
「寅さんを婿養子として貰うか?」等とフライングしてしまう、かなりハッチャけた役でした!
『寅次郎かもめ歌』の定時制高校の教諭役が、良かったが本作もヒケをとらずでした!

‥………………………



好きなシーン☝
博の父の法事で、寅さんがさくらにウインクをするが、、その横に居た義姉が勘違いして、「あのお坊さん私にウインクしたわ、いやらしいわねぇ…」と(笑)、満更でもない義姉だが、、さくらが咄嗟に「すみません……」と謝ってしまい、「あなたが謝る事ないでしょ?」と言われてしまうシーンは大爆笑です!


★以下のレビューもヨロシクどうぞm(__)m