『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』

★久し振りにブログ更新しました。
また宜しくお願いいたしますm(__)m!


昭和63年の12月に公開された本作は「昭和」最後の『男はつらいよ』となり、公開中に元号が「平成」へと変わりました。

そして、平成の元号ももうすぐ終焉を向かえることになり、、

先日、発表された新元号は令和」

『男はつらいよ』第五十作はその「令和」時代の作品になるんですね。。
昭和~平成~令和の時代を、生き抜いた作品と考えると、やはりその偉大な功績に敬服するばかりですm(__)m

今回は1988年(昭和63年)公開の第四十作を紹介致します❗

尚、新元号「令和」とは、万葉集の歌の中からの出典との事ですが、この『サラダ記念日』は、その万葉集に造詣の深い俵万智さんの原作です。

「初春の月にして、気淑く風らぐ」

狙った訳でもなく、全くの奇遇です…f(^_^;


◇ 1988年12月公開(松竹)
監督・原作・脚本 : 山田 洋次
原作 : 俵 万智
脚本 : 浅間 義隆
撮影 : 高羽 哲夫
音楽 : 山本 直純
出演 : 渥美 清、倍賞 千恵子、下條 正巳、三崎 千恵子、前田 吟、吉岡 秀隆、大宰 久雄、北山 雅康、関 敬六、佐藤 蛾次郎、笠 智衆
ゲスト出演 : 三田 佳子、三田 寛子、尾見 としのり、奈良岡 朋子、鈴木 光枝、笹野 高史、すまけい
★ 本作より「とらや」屋号が「くるまや」に変更。


《簡単なあらすじ》


秋の信州・小諸で旅の途中の寅次郎は、バス停で老婆・キクエ(鈴木 光枝)と出会った。

夫に先立たれ独り暮らしをしていると言う事を聞き、不憫に思い、薦められるままにキクエの家に一晩世話になるのであった。


翌朝、、病を患っていたキクエのもとへ、病院の医師・原田 真知子(三田 佳子)が、検査を受けさせようと迎えに来た所で寅次郎との運命の出会い❗❓

真知子に一目惚れしてしまった寅次郎は、嫌がるキクエをなだめ、一緒に病院へ連れて行く事になった。


ようやく観念したキクエは、もう帰って来る事は無いかもしれないと我が家をじっと眺め感慨に耽った。。

そして、
キクエは真知子の病院に入院する事になり、一段落する。。


その晩、真知子に誘われ、遊びに来た大学生の姪・由紀(三田 寛子)と三人で食事を共にした。


すっかり二人に気に入られてしまった寅次郎だが、その晩は真知子の家には泊まらず、次の朝も早々に柴又へ帰ってしまった。。

亡き夫に似た容貌の寅次郎の優しさに触れ、次第に寅次郎に惹かれていく真知子。。

医師と渡世人との格差恋愛は、、
果たして成就するのか?


「小諸なる 古城のほとり
              雲白く 遊子悲しむ ~」by 島崎 藤村

…‥……‥(★ココからネタバレしますm(__)m)



本作は、
物語の要所要所で、その時々の気持ちを、由紀が作った現代的な「短歌」として詠まれます。


その後、
柴又に戻ったが、真知子先生の事が気になって仕方がない寅さんは、受験を控える満男の為に学校見学をする体で(笑)由紀が通う早稲田大学を訪ねて、学生の茂(尾美としのり)達の協力を得て由紀に会い、真知子先生の連絡先をGETしたが☝、、
当の真知子先生は、その日小諸から東京の実家に帰郷していたのであった。。


ここまでは、トントン拍子!


二人は直ぐに連絡を取り合い、寅さんに会いに柴又へ遊びに行く真知子先生御一行! 

東京の母(奈良岡 朋子)の家に預けている真知子先生の息子、由紀といつの間にかボーイフレンド(笑)の茂の大所帯 ~ 

子供が居たなんて聞いてないよ!と少し困惑する寅さん。(苦笑)ですよね…

御一行は、帝釈天や矢切の渡し等の観光を一通り済ませ、いつもの「くるまや」での団欒!



そして帰り際に、
柴又駅で真知子先生から、逆告白されそうになるが、いつもの様に腰が引けて、誤魔化そうとする寅さん…‥

その場は、何事も無く別れるが、、


それから、幾日か経ち…‥
キクエの容態が急変し危篤状態になり「寅さんに会いたい。」と言っているという事を伝え聞いた寅さんは、急いで小諸病院へ向かったが、、キクエは既に亡くなっていた。。


哀しみに暮れる真知子先生。。
キクエの希望通りに家で最期を迎えさせてあげる事が出来なかった事を後悔している。。

優しく寄り添いハンカチを差し出す寅さん、さりげなくてカッコいい!
真知子先生は寅さんの胸を借りて泣きじゃくる。。が、邪魔者が入り終了~(苦笑)

寅さんに甘えようとする真知子先生だったが…‥
ココが潮時と察する寅さん…‥


キクエの葬儀も終わり、、
真知子先生に会わずに去ろうとする寅さん、最後に由紀に、、

寅「叔母様は女だ、悲しい時や辛い時に、ちゃんと筋道立てて、どうしたらいいかなぁと考えてくれる人が必要なんだよ、、由紀ちゃんそう言う人を探してやんな、、」

由紀「寅さん、好きなのね…?、オバチャマが…」

寅「バカ言っちゃ、いけないよ!」が、
いつもより、心なしか弱々しく悲しく響く。。


「寅さんが 「この味いいね」と言ったから
                                師走六日はサラダ記念日」


その後、
医師を辞めたいと言う真知子先生を説得したヤモメの院長先生(すまけい)との、将来を少し匂わせて終わる。。「灯台下暗し」パターンか(笑)


年が明けて、
由紀から真知子先生宛の年賀状。。

取れ立ての短歌を一首、叔母様に差し上げます。

「旅立って ゆくのはいつも 男にて
               カッコよすぎる 背中見ている」

…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥…‥

人の最期について、考え、
医師としての立場にジレンマを感じ、、
思い悩む真知子先生。。

死は、
病院の冷たいベッドの上で迎えるのか?
それとも、
家族に囲まれた暖かい家で迎えるのか?

難しい問題ですが…
心情的には、やはり家に帰してあげたかったですね。。

寅さんには、かなり敷居の高い女性だったかも知れませんが、医師であっても驕らず、割りと庶民的で可愛らしい所がある真知子先生…‥

惜しいね、、寅さん、
あの大自然が美しい、小諸で余生を過ごすのも良かったかも知れませんね。。

「遠くない 未来ボンヤリ 想像し
                  寅さんのよな 生きザマを見る」

                                     markdad…‥何てね(笑)

…‥…‥…‥…‥…‥…‥





【俵 万智】さんの、当時流行した大ベストセラー『サラダ記念日』、、恐縮ですが、読んでおりませんでしたので、この作品で俵ワールドを堪能させていただきました。m(__)m(笑)


⬆小諸のおばあちゃん・キミエ役の【鈴木 光枝】さん、亡きおじいちゃん(?)とずっと一緒に家に居たかったのでしょうね…‥名演に涙が溢れました。。


⬆由紀役の【三田 寛子】さん、当時から思っていたオットリしたイメージよりも、かなりハキハキ、しっかりモノでした!


⬆茂役の【尾美 とりのり】さん、『転校生』『時をかける少女』等、大林組のイメージですが(笑)2.5枚目的な適役でした!


⬆真知子先生役の【三田 佳子】さん、凛とした女医役はハマり役で、内面の弱さ、女性としての淋しさを好演されていました!!


『男はつらいよ』後期の作品は、、
初期の作品と比較すると、寅さんの性格もすっかりカドが取れてしまい、破天荒さが影を潜めてしまって「つまらない」と仰る方もいらっしゃると思いますが…‥

これだけの長期間に及ぶシリーズ作品で、その年と共に登場人物も経年していく作品では、全くキャラが変わらない方が不自然な話しで、隠居せず、生活や商売も変えないだけでも奇跡的で…‥長きに渡る人生訓として性格も穏やかになって行き、若い者への道筋を立ててあげる、こんな寅さんにも、私はとても愛着が沸きます。

『男はつらいよ』シリーズのレビューも残り、八作になりました。
年末の新作公開までに書き終えるつもりでいますので、今後ともお付き合いいただければ幸いですm(__)m

◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎

好きなシーン☝


吉岡秀隆さんに代わってから、完全にコメディリリーフ的な役割となった満男!全シーンが面白いですね👍今後も楽しみです❗


オープニングとエンディングで登場する【笹野高史】さん演じる、足が早過ぎる盗人(笑)


もひとつ、オマケに、
毎度の「寅のアリア」シーン☝
バス停で出会った人の年を寅さんに聞くさくら、ここでマドンナとの出会いを期待した、くるまやの面々だったが。。「年の頃なら七十七、八、、」と言った瞬間、さくらだけが小さくズッコケている所❗見逃しません👍(笑)



ホントに最後に☝
早稲田大学の教室で、第二十作『寅次郎頑張れ!』のワットさん(中村雅俊さん)のイタイ(笑)爆発エピソードをオモシロ可笑しく話す寅さんですが、、ワットさんが長崎県・平戸出身でなく宮城になっていた事は、、大目に見ましょう🙏(笑)


★宜しければ他の作品レビューもどうぞ🎵