エトエのミニ公演
『忘れ物』

Paperback Studio
作・演出:滑川喬樹
音響・照明:木内コギト
当日運営:石原晴仁
出演:
すずき環
髙橋真理
長井健一
信國ひろみ(バケツまみれ)
滑川喬樹
◉演目
1. 飲み屋にて 髙橋(林の部下・藤井)、滑川(先輩社員・林)、長井(田中)
2. 夫婦 すずき(舞台俳優・ミユキ)、髙橋(夫・ケンジ)
3. 後輩 長井(新入社員・長井)、滑川(先輩社員・ケンイチ)、信國(同僚・信國)、すずき(ケンイチの恋人・ユミ)
4. 夏の日 すずき(松田の妻・サチコ)、髙橋(患者・松田)、長井(看護師)、滑川(医師)、信國(松田の娘・ユイ)
5. 離婚 信國(母親)、滑川(父親)、長井(ケンイチ)
6. 別れ 信國(ジョンの飼い主)、髙橋(子牛・ジョン)、長井(業者)、滑川(ギターを弾く男)
7. お見舞い 長井(守)、信國(守の母)、髙橋(スポーツ選手・大村国三郎太)、すずき(コールセンター勤務・橘木)
コント7本からなるミニ公演。
「飲み屋にて」。
林が部下の藤井と飲んでいると、別のテーブルで田中が林の悪口を言っている。それが許せない藤井は田中に文句を言いに行くが、止めに入った林を殴ってしまう。
これが繰り返されてエスカレートしていくパターンで、怒ると周りが見えなくなる藤井はしまいには直で林に摑みかかるのだけど、滑川さんは殴られる姿がよく似合う。
「夫婦」。
結婚記念日にどこかで外食しようと誘う夫に対して、その日はオーディションがあるからと断る妻・ミユキ。来る日も来る日もオーディションを受けているミユキだが、この20年、舞台も映像も一度も出たことがない。
20年もよく我慢したな、という感じだけど、オーディションでの演技をしてみせるミユキが白目を剝いて意味不明の声を発して…とすずき環さんの振り切った演技が可笑しかった。
「後輩」。
入社して1ヶ月になる長井を労いつつ、飲みに誘う滑川。内心では嫌そうな長井に気を使って今日は止めておこうと言うと長井は「僕と飲みにいきたくないんですか!?」と突っかかる。そこへやってきた信國も同じパターンで、飲みに行こうと言うと嫌がり、止めておこうと言うと何でですか、となる。更には滑川の恋人も……。
1本目とは違い、多少は良好な関係の先輩・後輩なのかと思いきや……ここまで内心だだ漏れな人たちもそうはいないだろうけど。笑
「夏の日」。
余命幾ばくもなさそうな患者とその妻(高橋さんは白髪のかつら)のお話。妻も看護師も医師もなぜかその手にはハンディファン。患者が亡くなった後、病室に駆けつけた娘だけは普通の扇風機を抱え、何かと思ったらPanasonicのCMだったというオチ。いや使えるかい!笑
「離婚」。
離婚することになった夫婦。どちらと暮らしたいかを聞かれた5歳になる息子のケンイチは、別の男性と暮らすことになった妻のマンションが賃貸なのか分譲なのか新築なのかを知りたがり、更には内見に行きたいと言い出す。
長井さんの子供演技がひたすら楽しい。そうね、パパもママもどっちも好きなら物件で選ぶしかないよね。笑
「別れ」。
子牛のジョンと飼い主。そこへ「ドナドナ」が聞こえてきて恐ろしい業者が現れ……。
面白かったけど、ジョンの頭がパーティーグッズでよく見る馬の被り物に着色したもので子牛に見えなかったのが残念。牛の被り物も探せばあると思うけど。
「お見舞い」。
手術を前に不安に怯える守。母親はそんな守のため、ファンであるオリックスの選手に見舞いに来て励ましてくれないかと手紙を送るが断られる。それでも諦めずに色々な選手に手紙を送ったところ、やって来てくれたのが大村国三郎太だった。
これまた長井さんの子供演技が楽しめる一作。1本目同様、髙橋さんの曇りなき眼差しがいいのよなぁ。
上演時間47分。