トライストーン・エンタテイメント/ディライト・エンタテイメント

『いのこりぐみ』


いのこりぐみ 公演メインビジュアル 小栗旬 菊地凛子


公演概要

【東京公演】
2026年1月30日(金)〜2月23日(月・祝)

IMM THEATER

STAFF

作・演出:三谷幸喜

美術:堀尾幸男 照明:服部基

音響:井上正弘 邦楽:田中傳左衛門

衣裳:前田文子 ヘアメイク:宮内宏明

演出助手:伊達紀行 舞台監督:福澤諭志

宣伝美術:柳沼博雅 宣伝写真:源忠之

宣伝スタイリスト:菊池志真

宣伝ヘアメイク:宮内宏明、Ryota Nakamura (3rd) (菊地凛子)

宣伝:キョードーメディアス

制作・票券:熊谷由子 制作協力:style office

プロデューサー:佐藤政治、上野ゆう子、笛木園子 (fuetree)

エグゼクティブプロデューサー:山本又一朗

企画制作・東京公演主催:トライストーン・エンタテイメント/ディライト・エンタテイメント

CAST

小栗旬(若手教師・嶋シンゴ)

相島一之(教頭・野々村)

菊地凛子(保護者・熊沢コマ子)

平岩紙(担任・白石)

STORY

舞台となるのは小学校の教室。放課後、二人の教師が面談のために残っていた。そこにやってきたのが、ある児童の母親。度々学校にクレームを入れる、いわゆるモンスターペアレントだ。息子が担任に嫌われているから、その担任を変えてほしいと主張する。そこに当の担任教師も現れて、教師たちは母親と担任の二人から詳細を聞き取り、どうにか解決への糸口を探そうとするのだが……。【公式サイトより】


概評

小栗旬さんが社長を務めるトライストーン・エンタテイメントと関連会社ディライト・エンタテイメントの企画制作による三谷幸喜さん新作公演。


舞台はくすのき小学校5年B組の教室。

奥に黒板、その手前に教卓、壁に時計があり、開演時は5時を指している。上手側が廊下になっていて教室の窓から中庭が見える。

教室中央には机と椅子が3組置かれ、下手に置かれた机の上には手作りのトロフィー。それ以外の机椅子は舞台手前の教室エリアからはみ出たところに積まれている。


カスハラ(カスタマーハラスメント)なる言葉が定着するより遥か前にモンスターペアレントなる言葉が生まれていた教育現場。客はその1回限りのクレームで済むかも知れないが、学校という場においては保護者と教職員は最低でも1年は付き合っていかなければならない関係。

それだけに保護者からのクレームというものには慎重に対処していかなければならないわけだが、本作はまさにそうした保護者を迎え撃とうとする教頭と教え子でもあった若手教師の姿がまず描かれる。

果たして登場した保護者・熊沢は赤いドレスを着込んで見るからにちょっと異質な印象を与える。観客もこういうモンペがいたらさぞかし大変であろうという同情とともに成り行きを見守ることになり、担任が彼女とは正反対な落ち着いて真面目そうな女性教師と見るや、更に同情の念を深めていく。


ところが、若手教師・嶋が違和感を抱く。実は観客も幕が上がった瞬間から違和感を抱いていたはずで、それは遠近感が狂った教室に端的に表れている(田中傳左衛門さんによる邦楽も効果的)。

嶋が名探偵よろしくその違和感の正体を突き止めていくに従って、観客もまた気づくのである。おかしいのはこの学校(もしくは担任)の方だということに。

正直なところ、前半はなぜ三谷さんが今更こういう題材を選んだのか意図が摑めず、少々退屈に感じてもいたのだけど(熊沢の描き方もカリカチュアライズされてるし。他の観客にはウケていたけど)、終盤の展開はオセロが一挙にひっくり返されるがごとく鮮やかな手際だった。


4人のキャストはいずれもハマっていて、小栗旬さんは工藤新一役に続いて2代目古畑任三郎を狙えるんじゃなかろうか。笑

24年ぶりの舞台出演となる菊地凛子さん(当時は菊地百合子名義)は言動は突飛ではあるがどこか憎めない女性を魅力的に演じていた。

平岩紙さんも期待通り(?)裏がある女性を好演。相島一之さんは理想と現実のギャップを感じつつも自分の部下を守ろうという姿勢に人柄が滲み出していた(TikTokをチックタックと間違えるあたりにこの人物らしさを感じる)。


上演時間1時間41分。


 


アポックひとり芝居フェスティバル『APOFES2026』

いしむらなお×笠浦静花

「華麗なるアイ子!」「ゆけどもみらい」

 

APOFES2026 ポスター、雨傘の男性
 

 

公演概要

2026年1月31日(土)・2月7日(日)

APOCシアター

STAFF

「華麗なるアイ子!」

作・演出:笠浦静花(やみ・あがりシアター)

「ゆけどもみらい」

作・演出:いしむらなお

振付:佐々木タケシ

CAST

福田恵(グー子、チョキ子、パー子/ぼく)

STORY

「華麗なるアイ子!」性格がバラバラな三つ子のグー子、チョキ子、パー子は全員無色。それぞれの欠点を補って3人で1人の人物「アイ子」を演じて面接に合格した三つ子は家政婦としてとある邸宅で働き始め、そこで出会った虹郎に惹かれる。

「ゆけどもみらい」演劇祭まであと10日。初めての脚本作りに悩む“お姉ちゃん”のため、ぼくは台本を読んでやろうとするが、最初のダンスまでしか出来ていない。ぼくはやりたいことを書けばいいとアドバイスするのだが――。


概評

今年で12回目を迎えるアポックシアターひとり芝居フェスティバル『APOFES 2026』上演作品。

 

「華麗なるアイ子!」は2024年、宇都宮の劇場で開催されたひとり芝居フェス「これ以上削れない」にて上演された作品の再演。

いしむらさんが1人で三つ子を演じるというトリッキーな作品で、チョキ子は引きこもり、パー子は寸借詐欺にあっさり引っかかるようなお人よし、グー子はバイトを始めてもすぐに我慢できなくなって辞めてしまう粗暴者と性格がバラバラ。3人合わせて「アイ子」というわけで、面接の時は出たり入ったりを繰り返していたが、家政婦として働く際は巨大な張りぼての中に3人が入って首を交互に出すという設定で、瞬間的にキャラクターを切り替えるいしむらさんの演技が見事。

 

「ゆけどもみらい」はいしむらさんが初めて書いた戯曲とのことで、“ぼく”が見守る“お姉ちゃん”はそのままいしむらさんに重なる。この“ぼく”の正体が実は……という仕掛けがあり、ダンス(佐々木タケシさんが振付だったのか!)やギターの弾き語りもあり、まさにいしむらさんがやりたいことを詰め込んだというテイストの作品でこちらも楽しめた。

 

上演時間44分。

劇団ウイスキーボンボン 第7回公演

『誰も知らない大物俳優』


劇団ウイスキーボンボン『誰も知らない大物俳優』 ポスター


公演概要

2026年1月28日(水)〜2月1日(日)

ザ・スズナリ

STAFF

作・演出:宮藤官九郎

音楽:河野伸

美術:桑島十和子 照明:佐藤啓

音響:大木裕介 衣裳:戸田京子

ヘアメイク:勇見勝彦、佐々木弥生、大和田一美 映像:ムーチョ村松 演出助手:大堀光威

舞台監督:榎太郎

宣伝写真:勇見勝彦 宣伝美術:古田雅美

宣伝衣裳:篠塚奈美

宣伝ヘアメイク:佐々木弥生

票券:河端ナツキ

制作:北條智子、赤堀あづさ

制作助手:新井莉音

アシスタントプロデューサー:横山郁美

プロデューサー:長坂まき子

企画・製作:劇団ウイスキーボンボン

制作協力:大人計画、モチロン

CAST

田中卓

無頼タケルノミコト

二萬田久子

※ネタバレ禁止のため、役者名、役柄はドラマ配信後に追記します。

STORY

※ネタバレ禁止のため、ドラマ配信開始後に追記します。


NETFLIXで配信予定のドラマシリーズ『俺のこと、なんか言ってた?』の劇中劇。


宮藤官九郎さんが駆け出しの劇作家のテイで書いた作品で、役所広司に見えるけど役所広司ではないテイの田中卓さんが主演。

……とこれ以上のことはネタバレ禁止のため、書くことができないというのが現状。


ただ、これだけは言わせてほしい。


面白かった!


続きは『俺のこと、なんか言ってた?』が配信それてからということで。


上演時間1時間37分。

アポックひとり芝居フェスティバル『APOFES2026』

福田恵「福田恵単独」

 

APOFES2026 ポスター、雨傘の男性
 

 

公演概要

2026年1月24日(土)・25日(日)

APOCシアター

STAFF

作・演出:福田恵

CAST

福田恵(前田セツ子/モリヤマ)

STORY

「前田セツ子の前説」校舎裏に君を呼び出した17歳の前田セツ子が始める前説。

「話し合って解決」支店長や支店長代理出席のもと、ハラスメント防止面談に臨んだモリヤマ。その最中に殺気を感じたモリヤマはピストルで応戦しながらも、実は恋人の支店長に甘える。

「脈」こむら返りで目が覚める。

「ノリツッコミ」女が帰宅すると、家に強盗が入り、夫が縛られていた。女は強盗が出してくる「笑わせろ」といった要求に応じることになる。


概評

今年で12回目を迎えるアポックシアターひとり芝居フェスティバル『APOFES 2026』上演作品。

 

大阪を拠点に活動する福田恵(けい)さんが自ら作・演出を務める。

4つの作品で構成され、のっけからおさげ髪にセーラー服姿で登場し、1つ目の作品「前田セツ子の前説」が始まる。

APOCシアターに詰めかけた50万人(出演者調べ)の観客の中で、前田セツ子が今月4日にAI・HALLで上演された優しい劇団『なるべく終わらないカーテンコール』の時と同じ役だ!と分かったのは私ぐらいのものであろう。いや、東京まで遠征する熱心なファンがいるかもしれないが……。

 

「脈」は3分ほどの短い作品だったが、「話し合って解決」も「ノリツッコミ」も構成がちゃんとしていて楽しめたし、何より福田さんの演技がよかった。特に「ノリツッコミ」は強盗が実は夫の浮気相手で、「何で浮気の言い訳が強盗やねん」とツッコミを入れるあたりの物悲しい表情が秀逸だった。

 

上演時間43分。

ONEOR8

『ママごと』


ONEOR8ママごと舞台ポスター 登場人物紹介


公演概要

【東京公演】

2026年1月21日(水)〜27日(火)

紀伊國屋ホール

STAFF

作・演出:田村孝裕

舞台監督:村岡晋

舞台監督助手:宮島雄一郎

演出部:山増圭、石田茜子

舞台美術:香坂奈奈

照明:吉川ひろ子(クリエイティブ・アート・スィンク)

照明操作:佐藤崇志

音響:今西工(山北舞台音響)

音楽:Yosuke Sacai(MEMELT)

振付:大友沙弥

衣装:藤田友 ヘアメイク:貞廣有希

宣伝美術:郷志郎

宣伝美術・舞台写真:塚田史香

当日運営:須藤千代子、大槻志保、大獄典子、泉麻子、米田マナ海

制作:笠原希(ライトアイ)、和田ひろこ

主催:一般社団法人ハチノス

CAST

福田沙紀(豊田はな)

須賀健太(小山拓実)

佐藤B作(会社社長、はなの父・豊田嘉郎)

安達忍(嘉郎の元妻、はなの実母・あゆみ)

岡のりこ(嘉郎の妻、はなの継母・豊田幸)

重田千穂子(拓実の伯母・小山由紀子)

冨田直美(拓実の母・小山美佐江)

山口森広(マネージャー・平川)

小口ふみか(従業員・瞳子)

恩田隆一(窓拭き清掃員・坂東)

関口アナン(同・昇)

大友沙弥(店員)

石田茜子(同)

山増圭(同)

宮島雄一郎(同)

STORY

都内の高級料理店。拓実とはなの結納という名の食事会である。若い二人には手の届きそうもない店だが、拓実の叔母である由紀子が強引に予約してしまったらしい。拓実の母美佐枝は夫と死別し、貧しくも拓実を女手一つで育てた苦労人、高級店の雰囲気に落ち着かない様子。反対にこなれた様子でいるはなの父嘉郎、会社経営者で羽振りもいい。妻の幸は継母だが、愛情一杯はなを育ててくれた。食事会が始まろうとした矢先、一人の女が現れる。それははなの生みの親あゆみ。店の従業員を巻き込んで、美佐枝と由紀子、あゆみと幸、4人の母親の思惑がぶつかる。ママごと、それぞれの本心と本音…。【公式サイトより】


概評

2020年、テアトル・エコーのために書き下ろされ、コロナ禍による延期を経て2022年に初演された作品。安達さん、岡さん、重田さんは引き続きの出演。


舞台は全体的にカラフルな色使いの壁。開演して前面の壁が従業員たち(平川、瞳子含む)の手で取り払われると、中央奥に白いクロスのかかった円形テーブルと椅子6脚がセッティングされる(店員役の4名は場面転換でも登場していたのだけど、当日パンフレットにも明記してほしかった)。


それぞれに事情を抱えた保育士同士のカップル両家の顔合せ。話が展開していくにつれ、それらの事情が明らかになり、大いに笑わせながらも最後は若い二人の思い、とりわけはなの実の母親あゆみに対する思いに涙を誘われる。このあたりの手際のよさはもはや名人芸。

マネージャーの平川が美佐枝の交際相手というのはまだいいとして(なぜその店で食事会を開くという姉からの提案を拒まなかったのかはちょっと疑問が残るけど)、窓掃除をしていた昇がはなが10年交際していた相手というのは偶然が過ぎるシチュエーションではあるけど、現実的にはありえなさそうな展開もすんなり受け容れられるのも、この作品がコメディとして確固たる世界観を作り出しているからに他ならない。


キャストはいずれもよかったけど、とりわけ観客と同じ立場でこの顔合せを見ることになる小口ふみかさんのリアクションがよく、客席の空気を作り出すことに貢献していたし、その相棒たる山口森広さんの生真面目キャラもハマっていた。

関口アナンさんは昨年11月のNana Produce『青春、絶望を笑う』に続いて目を引く演技だった。


上演時間1時間57分。

ダダルズ

『よだれ観覧車』

 

ダダルズ公演「よだれ観覧車」展覧会ポスター

    


公演概要

【東京公演】
2025年11月17日(月)・24日(月・祝)
中野スタジオあくとれ

STAFF

作・演出・音作り:大石恵美
照明:渡邊結衣
音響:おにぎり海人(かまどキッチン)
当日運営:浅田麻衣、おにぎり海人(かまどキッチン)、渡邊結衣
撮影・編集:日景明夫
制作:浅田麻衣、ダダルズ

CAST

大石恵美

STORY

「犬」会うことを望んだわけでもない相手を40分待つ女。結局は人が好き。
「赤」買い物袋の重みで腕の肉が赤くなった女。信号待ちをしていると、見知らぬ女が話しかけてくる。
「蝉」昼寝しようとする女は、都内の子猫の昼寝と勝手に勝負する。複雑な夢を見ませんようにと眠りにつこうとするが。 

概評

昨年11月、東京と京都で3日のみ上演された作品を配信にて。


舞台はほぼ素舞台で左右にティッシュケースの置かれた台。

ダダルズは『エトエのふれあい祭り』で30分の作品を観たことがあるだけで単独公演は初めて。劇場に行きたかったが、何分回数が少ないので都合がつかなかった。

もっと上演してくれればいいのに、と普通の作品なら思うところだけど、ことダダルズに関しては話が別、

今回は短めの作品2つと長めの作品1つ、合計で1時間44分も大石恵美(えみ)さんが1人で喋り倒す。一人芝居というよりはスタンダップコメディに近く、その熱量たるや画面越しでも凄まじく、とりわけ最後の「蝉」は女性として生まれてきたことによる苦しみをさらけ出していて、見ているこちらも得も言われぬ感情に襲われた。このテンションでやるのだから、そうそう数がこなせないのも納得というもの。

NETFLIXで全世界配信してほしいくらいだけど、今度は何としてでも劇場に観に行くぞ、と。 


配信時間1時間44分。

COCOON PRODUCTION 2026

『クワイエットルームにようこそ The Musical』


クワイエットルームにようこそ The Musical キャスト集合写真

公演概要

【東京公演】

2026年1月12日(月・祝)〜2月1日(日)

THEATER MILANO-Za

STAFF

作・演出:松尾スズキ

音楽:宮川彬良 振付:スズキ拓朗

音楽監督:吉田能 美術:二村周作

照明:大島祐夫 音響:藤森直樹

映像:上田大樹、大鹿奈穂 衣裳:西原梨恵

ヘアメイク:板垣実和 歌唱指導:板垣辰治

演出助手:相田剛志 舞台監督:足立充章

制作助手:加藤恵梨花

制作:松本美緒、今井実春、武川愛果、野田湧斗、川越ひかる

プロデューサー:武内純子

チーフ・プロデューサー:森田智子

エグゼクティブ・プロデューサー:加藤真規

CAST

咲妃みゆ(佐倉明日香)

松下優也(焼畑鉄雄)

昆夏美(ミキ)

秋山菜津子(西野/社長)

笠松はる(栗田)

皆川猿時(久米順子/芸人・墨田/救急隊員/パリピ/警官1)

芹犬*(玉木サエ)

宍戸美和公(水原)

エリザベス・マリー(風谷)

香月彩里(野々村/看護婦長)

等々力静香*(チリチリ)

池津祥子(金原)

りょう(ナース江口)

桜井玲香(ナース山岸)

吉田ヤギ*(鉄雄の舎弟・コモノ)

近藤公園(明日香の元夫・梅田まさよし/編集者・アライ/警官2/医者)

中根百合香(ナース/魔女など)

永石千尋(ナース/魔女など)

中野亜美*(ナース/魔女など)

原梓(ナースなど)

羽衣*(ナースなど)

藍実成(看護師/カメラマンなど)

田川景一(看護師など)

感音(看護師など)

古賀雄大(看護師など)

*=コクーン アクターズ スタジオ第1期生


<ミュージシャン>

吉田能(キーボード)

熊谷太輔(パーカッション)

中條日菜子(ヴァイオリン)

福岡丈明(ギター)

藤野“デジ”俊雄(ベース)

山下綾香(サックス)

STORY

バツイチで28歳のフリーライター・佐倉明日香は、パートナーでバラエティ番組の放送作家・焼畑鉄雄と同居。売れっ子ライターとして大物芸人・墨田への取材や、原稿の締切に追われ、ストレスフルな日常に飲み込まれていく。ある日、目覚めると見知らぬ白い部屋にいた。そこは「クワイエットルーム」と呼ばれる、女子専用の精神科病院の閉鎖病棟。ストレスの捌け口として大量摂取した睡眠薬が原因で意識を失い、オーバードーズをした自殺志願者とされてしまったのだ。突如として放り込まれた異質な環境に戸惑いながら、厳格な看護師・江口や山岸、入院初日に出会った少女・ミキ、元ぽっちゃり専門デリヘル嬢の久米、元AV女優の西野ら個性的な患者達と接し、次第に閉鎖病棟に馴染んでいく。同時に日常から離れた明日香は、自身とその人生、鉄雄との関係も見つめ直し始める。退院に向けて、さまざまな事情を抱えた仲間たちと過ごす日々が始まった。【公式サイトより】


芥川賞候補になり、映画化もされた松尾スズキさんの代表作をミュージカル化。


映画版はもちろん観ていて(松尾さんの舞台挨拶つきの試写会にて)原作も同じ頃に読んでいるが、今回のミュージカル化は松尾さんのたっての希望だったとか。

精神科病院の閉鎖病棟という、およそミュージカルには向いてなさそうな題材ながら、超一流のエンターテイメント作品に仕上げられていた。閉鎖病棟の中と外、どちらにいようとも人間なんてものは愚かしくも哀しい生き物で毎日を必死に生きている。これまで人間の暗部をこれでもかとえぐってきた松尾スズキさんだからこそ描ける人間讃歌ともなっていた。


キャスティングにもミュージカル化に賭ける本気度が表れていて、主演の咲妃みゆさんをはじめ、昆夏美さん、笠松はるさん、桜井玲香さんとミュージカルで活躍されている方がずらり。

中でも松下優也さんはこれまでのイメージを覆すような出で立ち&キャラで、普通のミュージカルなら感動の涙を誘うような楽曲を歌い上げて笑いを誘っていて一挙に好感度アップ。

咲妃みゆさんは『最後のドン・キホーテ』に出演した縁で12月のINU-KERA(犬山イヌコさんとケラリーノ・サンドロヴィッチさんによる隔月開催のトークイベント)にもゲスト出演して本作の話もされていたけど、KERAさんが井上芳雄さんと作るらしいミュージカルにもキャスティングされるのではと密かに期待。

秋山菜津子さんや皆川猿時さん、池津祥子さんらお馴染みのメンバーももちろん言うことなし。りょうさんが映画版と同じ役というのもすごいな(宍戸美和公さんもだけど)。


そして本作にはコクーン アクターズ スタジオ第1期生が何名か出演していて、中では吉田ヤギさんは映画版で妻夫木聡さんが演じた役というなかなかな抜擢具合。

この日はスペシャルカーテンコールとのことで、撮影OK。中野亜美さんが正面でラッキー🎵とここぞとばかりに撮影しましたさ。

ミュージカル「クワイエットルームにようこそ」キャストのカーテンコール

クワイエットルームにようこそミュージカル出演者

上演時間3時間7分(一幕1時間18分、休憩21分、二幕1時間28分)。


 

 



アポックひとり芝居フェスティバル『APOFES2026』

やぎその×河村慎也

「スマイリー」


アポックひとり芝居フェスティバル「スマイリー」告知ビジュアル


公演概要

2026年1月18日(日)・2月8日(日)

APOCシアター

STAFF

作・演出:河村慎也(南京豆NAMENAME)

CAST

やぎその[南京豆NAMENAME](女)

STORY

娘・コロンが同級生に鼻クソをつけたことが問題となり、3年2組の保護者会で教育方針を問われた女は、ファミレスでバイトをしていた同棲していた恋人が部屋を出ていくところまで遡って娘を産むにいたったかを話し始める。


概評

今年で12回目を迎えるアポックシアターひとり芝居フェスティバル『APOFES 2026』上演作品。


舞台には椅子1つ。

やぎその(八木その表記もあり)さん自身、久し振りの舞台ということで私も初めて見たと思うけど、モデルもされているだけあってまさに「ビジュいいじゃん」でありながら、のっけから表情豊かで勢いも凄まじい。終盤ややその勢いが弱まったようにも感じたが、1時間も喋り倒していたらそりゃあ疲れるわな。笑

鑑賞後、やぎそのさんが2児の母と知ってびっくり上の子は小学生(第2子は昨年出産)とのことで、今回の作品はやぎそのさんの実体験なんかも反映されているのかな?


上演時間59分。

辻󠄀凪子生誕三十年記念 一人芝居公演

『ドルフィ田イル香の偏屈なダンス』

A DOLPHIN GIRL'S ECCENTRIC DANCE

 

ドルフィ田イル香の偏屈なダンス公演ビジュアル
 

 

公演概要

2026年1月15日(木)〜18日(日)

プーク人形劇場

STAFF

企画:辻󠄀凪子

作・演出:長久允

舞台監督:並木秀介

音響・照明:櫻内憧海、江田健太郎

衣裳:小山田孝司 衣裳製作:KANEHIRO

衣裳アシスタント:鈴木日奈子

人形制作:川口新 制作・演出助手:村田陽奈

現場制作:蔵並遥、滝口陽菜、作山桃香

音楽プロデューサー:山田勝也

音楽:白戸秀明 音楽制作進行:甲斐涼南

撮影:武田浩明、白鳥勇輝、星潤哉

録音:桑原惇 編集:川上千晶

宣伝スチール:関口きらら

メインビジュアル:HONGAMA

宣伝アートワーク:宇賀神菜緒

オフィシャルスチール:瀬野さくら

アシスタントプロデューサー:新谷朋成、岩村優花(ローチケ)

プロデューサー:勝俣円、長川由万、白川啓(ローチケ)

主催:DASH

CAST

辻󠄀凪子(イルカ)

STORY

とある水族館で飼育されている1頭のメスのイルカは、毎日の厳しいイルカショーにうんざりしていた! ある夏の夜、人たらしの飼育員の勝浦さんにほだされて、彼女は水族館を去るが…。人間界で「人間の女」として生きることにしたイルカ(その名前がドルフィ田イル香)の愛憎にまみれた数奇な人生(イルカ生)を目に焼き付けてよ、冬。イルカが勝つか、人間が勝つか。走れドルフィ田! 君の太平洋はどこだ!【公式サイトより】


辻󠄀凪子さんが昨年、30歳になったことを記念しての一人芝居。辻󠄀さんのリクエストにより、映画監督の長久允さんが戯曲を書き下ろして演出。

 

幕が上がると、壁と床全体にブルーシート。

スクリーンに映像投射。

 

整形を繰り返し、人間として生きることを選んだイルカが主人公という突拍子もない設定ながら、のっけからマイク片手に熱量高く繰り広げられる一人語りに自然と引き込まれる。物語上は水から陸へ上がるわけだが、舞台上の辻󠄀さんはまさに水を得た魚ならぬ水を得たイルカのように表情豊かに生き生きと演じていた。

最後は歌詞が書かれた紙が配られ、「ブルーシートは」という曲(作詞:長久允、作曲:白戸秀明)のアコーディオン弾き語り。パンフレット掲載の年表によれば、2024年から教室に通っているそうで。劇中ではラップも披露していたけど、結構歌も聞かせるものだった。

 

上演時間1時間20分。

 

辻󠄀さんと長久さん登壇のアフタートークゲストはラッパーのアフロさん。よく知らない方だったけど、一人で演じること(アフロさん自身はかつてバンドを組んでいて今はソロ)やマイクを使ってのパフォーマンスについてなど、アフロさんならではの質問をインタビュアーのようにされていてとてもよかった。辻󠄀さんとの出会いが下北沢駅前で配られていた『凪の憂鬱』のチラシを手に取って映画を観に行ったのがきっかけというのも素敵エピソード。

ちなみにプーク人形劇場を選んだのは、ドランクドラゴン・塚地武雅さんが思い出の場所としてテレビで紹介していたのを見て気になっていたところ、プロデューサーのお一人・ローチケの白川啓さんが劇場の候補として挙げてきた中にあったので実際に行ってみて決めたとか。最後に客席通路に登場する息子の人形もこの劇場の方の手によるもの。

 

 

 

ぽこぽこクラブ新春公演 '26

AOMORI×POCOPOCO

『home〜りんごさんのうた〜』


ぽこぽこクラブ「home〜りんごさんのうた〜」公演ポスター


公演概要

【東京公演】

2026年1月13日(火)〜18日(日)

座・高円寺1

STAFF

作:世良啓 演出・脚色:三上陽永

劇中歌作曲:koyomi 編曲:森脇青空

振付・ステージング:スズキ拓朗

舞台監督:三津田なつみ 照明:畠山聖

音響:小椋潤奈 音響協力:寿島宅弥

美術:蒔苗正樹 宣伝美術:樽沢優香

題字:樽沢妥央 絵画提供:阿部澤

舞台写真:渚ひろみ

制作:池田風見、杉浦一輝

当日運営:草道れんか、山田大介

託児協力:NPO法人ちぃきちぃき

共催:home制作委員会 

主催:NPO法人ぽこぽこクラブ

CAST(東京りんごver.)

杉浦一輝[ぽこぽこクラブ](男)

赤坂麻凪(女)

山﨑薫(少女/男の娘)

渡辺芳博[ぽこぽこクラブ](サイクル不動産・スズキ)

栗原茂[流山児★事務所](りんご農家・クドウシゲル)

山像かおり(クドウ妻)

十河尭史(作業員・サトウ)

外波山文明[椿組](祖父)

ジョナゴールド(りんご農家)

相馬光(りんご農家)


ピアノ演奏:田口真理子

STORY

岩木山を望む新興住宅地に新しい家を購入し、30年ローンを組んだ共稼ぎの若い夫婦。桜の散った春のある夜、その新居に、以前ここに住んでいたという少女が訪ねてくる。住宅地は元々りんご農園だった…。津軽の土や海、まちや自然の過去といま、これからを思い描くファンタジー。【公式サイトより】


概要

青森りんご植栽150周年タイアップ企画。

2024年のリーディング公演からスタートした企画の東京公演、3バージョンあるうちの標準語ベースの東京りんごver.を鑑賞。


舞台は箱馬に載った平台が並び、その上に木箱が積まれている。中央手前には土が敷き詰められた区画、背景には岩木山。

上手にピアノがあり、生演奏。


本作には複数の時間軸が存在して行ったり来たりする。時系列に沿って言うと、最初、クドウ夫妻がりんご畑を営んでいたが、夫が亡くなった後、妻は畑を売り払い、そこに男女がマイホームを建てる。更には震災後、妻を亡くした男と娘の暮らしも描かれる。

山﨑薫さんはクドウ妻が娘のように可愛がっていたりんごのわい化の木という役柄で、男女が建てたマイホームに少女の姿で現れ、以前ここに住んでいたと言い出す。

この少女がガラス戸を開け、庭先にある土に素足を踏み入れるのだけど、この時の山﨑薫さんが実に素晴らしく、台詞ではなく動きだけでりんごの木の歓びを体現して涙腺を刺激された。その後に「ダニー・ボーイ」を歌うのだけど、この歌声もまた絶品で、心に沁み入るものだった。

山﨑さんは本作のオリジナル曲も歌うのだけど(CDも買った!)、いやホント、座・高円寺じゃなくてもっと大きな劇場で多くの人に山﨑さんの歌を聴いてもらいたくなった。

物語としては数十年の時が流れているのだが、時代が変化して景色が変わろうとも、生命を脈々と受け継いできた自然のたくましさを感じさせるものだった。考えてみれば地球全体の歴史からすれば人類が誕生してからの時間なんてほんの一瞬なのだから、人類が引き起こしている諸々の環境問題程度ではびくともしないのかも(もちろん、だからと言ってやりたい放題していいというわけではないけど)。


キャストでは山﨑薫さんの他にも、夫婦役の杉浦一輝さんと赤坂麻凪さん(元りんご娘の彩花さん)は持っている空気感が似ていてお似合い。

津軽弁ベースの津軽りんごver.も気になるところだけど、観に行けそうになくて残念。


上演時間1時間37分。