新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

連続テレビ小説『ブギウギ』
第21週「あなたが笑えば、私も笑う」(第98回)


作:櫻井剛
音楽:服部隆之
主題歌:「ハッピー☆ブギ」中納良恵、さかいゆう、趣里
語り:高瀬耕造アナウンサー

出演:
趣里(福来スズ子)
みのすけ(鮫島鳥夫)、小野美音(花田愛子)、眼鏡太郎(りつ子のマネージャー)、レ・ロマネスクTOBI(監督)、渋谷天笑(助監督)、梅林亮太(映画スタッフ・畑中)、柴野航輝(タナケンのマネージャー)、松竹撮影所俳優部、アティチュード、ビックワンウエスト、キャストプラン、劇団東俳、NAC、舞夢プロ、劇団ひまわり、オフィス・ミナミカゼ
菊地凛子(茨田りつ子)
近藤芳正(山下達夫)
生瀬勝久(棚橋健二)

STORY
撮影所で転倒し、頭にけがをした愛子だったが、幸い大事には至らなかった。しかし、この件でスズ子は、タナケンから厳しい言葉を言われてしまう。一方、茨田りつ子は、自身の歌に納得できない日が続き、いらだっていた。そんな時、芸能記者の鮫島がりつ子の前に現れる。しばらくして、発売された雑誌には、スズ子を批判するりつ子の記事が載っていた。【NHK公式サイトより】

幸い愛子の怪我は大事に至らなかったものの、これからは山下が見ていてくれるように頼むスズ子。愛子は抱っこをせがむも一旦は断るスズ子だったが、山下に愛子も寂しい思いをしていたのだと言われ、抱っこをしてやる。
ここは山下さん、ナイスアシストですね。

スズ子はタナケンに謝罪。タナケンは仕方がないと言いつつも、撮影が1日延びると撮影スタッフの負担が増え、作品の質を下げてしまうかもしれないと警告。 その後の撮影も愛子のことが頭から離れず、気もそぞろなスズ子。
休憩時間に愛子の世話をするスズ子をジロリとにらみつけるタナケン、怖いよ!…と言うか、休憩時間は母親と遊びたいに決まっているのだから、撮影中に寝かせておいた方がよいのでは。笑

一方、ワンマンショーの舞台に出演中の茨田りつ子は思うように声が出ず、ご不満の様子。
おお。マネージャー役が眼鏡太郎(がん・きょうたろう)さんだ、と思っていたら、同じナイロン100℃のみのすけさん扮する鮫島が登場。
福来スズ子が歌を捨てる気らしく、歌しかない茨田りつ子は可哀想と言っていたなどとデタラメを並べて煽る鮫島。りつ子も思わず本当にそんなことを言っていたとしたら、「ブギも終わりよ」と発言。
1週間後、案の定、面白おかしく書きたてられた雑誌を持ってくる山下。りつ子の発言の真意を探るべく会いに行こうかと言うスズ子に対し、そんな時間はないと山下。結局、これ以上は鮫島の思う壺だから「忘れましょ」と言う山下ですが、だったら最初から持って来なきゃいいのに。笑。スズ子が自らそんなゴシップ雑誌を手に取るとも思えませんし。
それにしても愛子、「いただきまちゅ」とか「おいちい」とかいちいち可愛いでんなぁ!

気持を切り替えて撮影に臨むスズ子でしたが、今度はスズ子の前に現れる鮫島。愛子に近づこうとする鮫島を追い払おうとするも、公平な対談の場を用意すべきという鮫島の口車に乗せられ、対談をする流れに……あれ?やないがな。笑

 

 

 

 













連続テレビ小説『ブギウギ』
第21週「あなたが笑えば、私も笑う」(第97回)


作:櫻井剛
音楽:服部隆之
主題歌:「ハッピー☆ブギ」中納良恵、さかいゆう、趣里
タイトル制作:牧野惇 時代考証:天野隆子
風俗考証:刑部芳則 大阪風俗考証:谷直樹
語り:高瀬耕造アナウンサー

出演:
趣里(福来スズ子)
水上恒司(村山愛助・回想)
藤間爽子(タイ子)
小野美音(花田愛子)、蒼昴(達彦)、孫高宏(プロデューサー)、レ・ロマネスクTOBI(監督)、渋谷天笑(助監督)、梅林亮太(映画スタッフ・畑中)、柴野航輝(タナケンのマネージャー)、内藤大帆(羽鳥カツオ)、春増のどか(羽鳥イネコ)、山下晴愛(羽鳥カツコ)、松竹撮影所俳優部、キャストプラン、劇団ひまわり、オフィス・ミナミカゼ、劇団東俳、舞夢プロ
生瀬勝久(棚橋健二)
水川あさみ(花田ツヤ・写真)
市川実和子(羽鳥麻里)
近藤芳正(山下達夫)
草彅剛(羽鳥善一)

資料提供:原健太郎
大阪ことば指導:一木美貴子
青森ことば指導:和海
所作指導:藤間豊宏 料理指導:広里貴子
舞台演出:荻田浩一 歌唱指導:ゆうき
医事指導(花田愛子):矢木崇善
裁縫指導:堺幸子
ヘアメイク(羽鳥善一):永嶋麻子

制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
美術:淀裕矢 技術:東川和宏
音響効果:山田悠夏
助監督:長澤康貴 制作担当:森岡あゆみ
編集:松屋周平 記録:外川恵美子
撮影:竹内北斗 照明:山本大貴
音声:渡辺暁雄 映像技術:前田惇徳
VFX:北昌規 音楽録音:野口康史
美術進行:加藤雪夫 装置:宮崎昭徳
装飾:森上陽子 衣装:森津妙子
メイク:山隅美紀 かつら:松本誠也
演出:盆子原誠

STORY
「東京ブギウギ」に続き、「ジャングル・ブギー」もヒットさせたスズ子は、仕事に育児に大忙しの日々を送っている。ある日、タイ子がスズ子の家を訪ねてくる。すっかり体調も回復したタイ子は、ある決断をしていた…。一方、スズ子は、タナケン主演の映画に出演することになる。スズ子は、まだ小さい愛子を現場に一緒に連れていくことにするが、撮影中に事件が起こる。【NHK公式サイトより】

昭和24年(1949)夏。
先週から1年あまりが経ち、愛子も代替わり。小野美音ちゃんが演じることはtwitterで知っていたので、てっきり4、5年経ったところから始まるのかと思いきやたった1年なのですね。
2歳にはちょっと見えませんが、のっけから障子をビリビリにするというお転婆ぶり。おかっぱも可愛らしく、こんな子に「ごめんなしゃい」と言われたらスズ子も叱るに叱れませんよね。

そこへやってきたのがタイ子と達彦。

タイ子は生まれ故郷である大阪に帰って一からやり直したいという報告にやってきたとのこと。旅館の女中として働くとのことで、ひとまずそこまで回復してよかったよかった。達彦も学校に通えますね。

スズ子が2人を見送るカットで気づきましたが、まだ「村山」の表札はそのままなのですね…。

などと思っていたら、今度は愛子が小麦粉を頭からかぶって真っ白け。スズ子も笑うしかありませんな。


羽鳥家の三兄妹も代替わり。

羽鳥善一の新たなる代表曲「青い山脈」を歌う一同。いくら名曲でも9回も歌わされて子供たちもいい迷惑ですな。笑

映画の撮影が決まったというスズ子に愛子を預かろうと提案する麻里。しかしスズ子は自分がそばにいないと泣いたら手がつけられないからと現場に愛子を連れていくとのこと。

夜。愛助の写真を見ながら、「その子と一緒なら何があっても生きていけるはずや」という言葉を思い出すスズ子。確かに愛子の存在がなければ、愛助を喪った悲しみから立ち直れていなかったかもしれませんねぇ。


そして条映撮影所で映画の撮影がスタート。

作品のタイトルは『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』で、長屋に暮らす夫婦の悲喜こもごもを描いた人情喜劇。…って今更プロデューサーが撮影初日に主演俳優に言いまっかいな。いかにもな説明台詞でんなぁ。

スズ子はお米という役で、タナケンの要望で台詞は関西弁に。以前、舞台でも関西弁でやっていますからね。ちなみにスズ子は映画は初めてとのことでしたが、笠置シヅ子さん自身は1939年公開の『弥次喜多大陸道中』で映画初出演、前回も書いた通り、黒澤明監督の『醉いどれ天使』にも出ていますね。

ふと気づけば愛子の姿がなく、焦るスズ子。とそこへ愛子を連れてきたのが畑中という若いスタッフ。山下もあれやこれややることがあるので愛子につきっきりというわけにもいかず、プロデューサー命令で畑中が愛子の面倒を見ることに。


撮影は繕いものをして稼ぐ妻の待つ家に手拭いを売りに出かけていた夫が帰ってくるシーンから。店賃を払わなければならないのに、売上を全部酒に注ぎ込んでしまったようで…。

さしものスズ子も映画の撮影には緊張したようですが、タナケンからは堂々としたものだったとお褒めの言葉。

とそこへ山下がやってきて、愛子が怪我をしたとの報せ。プロデューサーと畑中が頭を下げる中、スズ子はすぐに撮影現場に戻ろうとするも、プロデューサーは大事があってはいけないと明日の撮影も休みにしたと言う。なかなかよくできたプロデューサーさんですが、スズ子は初日からこれでは撮影を続けていけるだろうかと不安そうな表情。愛子もスズ子にしがみついていましたが、さてどうなりますか。


 

 

 

 













『タルロ』

ཐར་ལོ/塔洛/Tharlo



2015年中国映画 123分
原作・脚本・監督:ペマ・ツェテン
製作:高宏、徐麗、孫佳琳
プロデューサー:呉蕾蕾、王学博
撮影:呂松野 美術:タクツェ・トンドゥプ
録音:ドゥッカル・ツェラン
編集:宋氷 編集顧問:寥慶松

出演:
シデ・ニマ(タルロ)
ヤンシクツォ(理髪師ヤンツォ)
タシ(ドルジェ所長)
ジンパ(羊の所有者ジンパ)
デキ・ツェリン[特別出演](歌手)

STORY
孤児として育ったチベットの遊牧民タルロは、役所からID(身分証明書)を作るよう言われ、IDに使う写真を撮りに町へ行く。写真館で髪を整えるよう言われ理髪店に入ったところ、女性を知らないタルロは親しげに話しかけてきた理髪師の女にたやすく籠絡されてしまい……。【「KINENOTE」より】

《東京フィルメックス ペマ・ツェテン監督 特別追悼特集》上映作品。第16回東京フィルメックス最優秀作品賞・学生審査員賞をW受賞。

タルロというのは主人公の名前だが、自分でも本名を忘れるぐらいで普段はあだ名の「三つ編み」と呼ばれることのほうが多い。
映画はこのタルロが毛沢東の「人民に奉仕する」という演説を派出所のドルジェ所長の前で延々と暗唱してみせるところから始まる。抜群の記憶力を持つ彼は、羊飼いとして生計を立てていたが、所長から身分証明書を作るように言われて町に出る。
写真を撮りに行くが、写真館の女主人に髪を整えるように言われて向かいにある理髪店に行ったのが運の尽き。身分証明書を作りに行ったはすが、いわばアイデンティティの象徴でもあった三つ編みを失い、有り金も失い、更には頼みの記憶力も失ってしまうという何とも皮肉な結末を迎える。
本作はチベットを舞台にした映画で、こちらもチベット映画を観るぞという心積もりでいると中国映画で必ず最初に出てくる緑をバックにした映倫のような龍のマークが出てくるので「ウッ」となってしまうのだが、タルロはまさにアイデンティティを失っているチベットそのものなのかもしれない。
モノクロの画面に映し出されたチベットの荒涼とした風景が、タルロの孤独を引き立てていた。

原作は監督自身が書いた短篇とのことで、積ん読になっているので早く読まなくては。

ムシラセ(ミニ!)

『きょうの◯◯は』



2024年2月16日(金)〜18日(日)
Paperback Studio

作と演出と写真:保坂萌

出演:
「きょうのお風呂は」
堀靖明(青野会長)
菊池美里(小松副会長)
瀬戸ゆりか[青年団](目白さん)
「きょうのお肉は」
廣川真菜美[maars inc.](女のひと)
つかてつお(男のひと)
!おまけ!
「きょうの百均は」
菊池美里(小松みどり)
本日の虫拳勝者(保坂含む)(店員)

STORY
「きょうのお風呂は」
国民総アイドル制が施行された日本。マンションの自治会長である青野は、住人の目白から入るだけでアイドルになれる特殊な入浴剤入りの風呂に入るよう言われるが気が進まない。自身がアイドルでありながら、裏で制度に反対している副会長の小松は青野に風呂の効果をなくす粉を渡すが……。
「きょうのお肉は」
とあるスーパー。社員の男は試食と称してバクバク肉を食べていた女をバックヤードで問い詰めるが、いつの間にか女のペースに巻き込まれてしまう。女は牛の伝道師を名乗るが、その世界は牛の食肉が禁止されて100年が経っていた。
「きょうの百均は」
百均ショップのバイトの面接に来た小松は、店員から採用は難しいと言われて抗議するが、履歴書で年齢をごまかしていることを指摘され追い出されてしまう。それでも諦めない小松はこの百均ショップでなければいけない理由を語り出す。

保坂萌さん主宰によるムシラセ、ミニ公演。
来場者にはキットカットのプレゼントあり。

舞台はテーブルと椅子2脚のみ。
最初の「今日のお風呂は」は新作で、「今日のお肉は」は再演だが大幅に書き直したとのこと。
どちらもSF風味で、「お風呂」の方は国民総アイドル制が導入された日本、「お肉」は肉食が禁じられて100年後の世界を舞台にしている。
どちらも短いながらも役者の個性が発揮され、実に面白かった。菊池美里さんはもちろん、瀬戸ゆりかさんや廣川真菜美さんも表情豊かに笑わせてくれる。

おまけの「今日の百均は」の店員役は日替わりでじゃんけんの勝者が演じることに。最後はつかてつおさんが堀靖明さんに勝利して2度目の店員役。
ここでも菊池美里さんの魅力が爆発していて、いちばん笑いが起きていた。

上演時間50分。

『記憶の居所』

Whereabouts of Memories

 

 

2023年日本映画 54分

脚本・監督・編集:常間地裕

撮影:藤井昌之、萩原脩

録音:戸根広太郎、五十嵐猛吏、本田真也、小畑智寛

美術:NARUMI
スタイリスト:RYUSEI MORI、中村もやし、塚田さくら

ヘアメイク:佐藤晴奈、NARUMI、安藤メイ
スチール:染谷かおり 助監督:内田知樹

制作:遠山浩司、半田雅也 メイキング:堀井綾香
方言指導:小林英樹 フードスタイリスト:石川みのり

プロデューサー:常間地裕、四本研祥

 

出演:

「味の記憶」The Memory of Taste

山下リオ(河田唄)

小久保寿人(兄・河田源)

磯西真喜(継母・河田京子)

山本奈衣留(唄の同僚・一宮志穂)

林裕太、永井彩加(高校時代の河田唄)、田野真悠(施設職員・成田麻友)、なす(柴犬・教授)
「香の記憶」The Memory of Scent
サトウヒロキ(男)

橘舞衣(女)

山口森広(おでん屋)

「音の記憶」The Memory of Sound

成瀬凜(ピアノを弾く少女)

富山雅(それを見つめる少女)
朴聖賢、平川そよ花、金丸尭暉、齊藤隼平、妹尾幸乃、石倉来輝

 

STORY

看護師として他者の死に慣れてしまった唄は、疎遠になっていた母の死の報せを聞き故郷へ。いっぽう、美術館で出会った男と女は月夜の中をプロヴァンスへと向かって車を走らせる。そして、一人の少女がまだ名も無き音楽を奏でるとき、また一人の少女はその姿を夢中になって見つめている……。【公式サイトより】


『この日々が凪いだら』で長篇監督デビューを果たした常間地裕監督による中篇作品。


味、香、音の記憶に関するエピソードを集めたオムニバス形式だが、割合としては味が3分の2を占める。

「味の記憶」は東京で看護師として働く主人公・唄が継母・京子の訃報を受けて長野の実家(最寄駅は元善光寺駅)に帰郷する物語。ところがいざ帰ってみると、継母は生きているが、認知症を患って施設で暮らしていた。唄はこの継母とあまり良好な関係にはなかったが、高校3年間の弁当を京子が作っていたことを知って驚く。兄が切り盛りしているりんご農園で唄が泣きながら弁当を食べるシーンにグッと来たし、最後、唄と京子が2人並んで遠ざかっていくシークエンスも静かな余韻を残すものだった。


「香(こう)の記憶」と「音の記憶」は交互に展開。
「香の記憶」は美術館で出会い、ゴッホの《夜のプロヴァンスの田舎道》に惹かれた男女がプロヴァンスを目指すという物語。市原湖畔美術館が使われていたのがポイント高し。「音の記憶」はモノクロで少女2人の淡い関係性を描き、三者三様の味わいがあった。

東京での初日ということで、この日は常間地裕監督の他、山下リオさん、小久保寿人さん、磯西真喜さん、山本奈衣留さんが舞台挨拶に登壇。


KAAT神奈川芸術劇場プロデュース

『スプーンフェイス・スタインバーグ』

Spoonface Steinberg



2024年2月16日(金)〜3月3日(日)
KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉

作:リー・ホール 翻訳:常田景子
演出:小山ゆうな
美術:大島広子 照明:大石真一郎
音響:徳久礼子 舞台監督:山田貴大
出演:安藤玉恵(スプーンフェイス・スタインバーグ)

STORY
顔がスプーンみたいに丸いため“スプーンフェイス”と名付けられた自閉症の少女は、7歳にして癌に侵される。死を間近に、両親やお手伝いのおばさん、病院の先生、大好きなオペラに思いをめぐらせながら、生きることや死ぬこと、そしてこの世界の意味をも問い語り続ける…【公式サイトより】

ミュージカル『ビリー・エリオット』などの脚本を手がけたリー・ホールさんがラジオドラマとして書いた作品。2000年にキャサリン・ハンターさん主演で舞台化され、日本では2010年に長塚圭史さん演出でリーディング公演として上演されている(スプーンフェイス役は麻生久美子さん)。

天井からは白い布が垂れ下がり、舞台上には棚や机、帽子掛け、おもちゃのピアノ、おもちゃ箱、ハンガーラックなど。奥には円形の台があり、ぐるりを白いカーテンが覆う。
『悲劇喜劇』に掲載されている戯曲は途中まで読んでいたのだけど、イメージしていた数十倍もポップな仕上がり。安藤玉恵さんは金髪のウィッグをつけ、舞台も子供部屋の雰囲気。
天井から垂れ下がっている布は可動式で、下まで下ろして映像を映し出す際にはスクリーンとして使用。下手手前にビデオカメラが据えられ、スプーンフェイスがカメラに向かって喋ったり、カメラを手に取って撮影したりもする。
また、マリア・カラスさん歌唱によるオペラの楽曲がいくつか使われており、スプーンフェイスが客席通路まで出ていって歌い上げるといった演出も。

安藤玉恵さんは癌に冒された自閉症のユダヤ人少女という、どこから手をつけていいものやらな役柄を見事に演じ、75分間、しかと客席を惹きつけた。
今のところ観に行く予定はないけど、片桐はいりさん(今日は最後列で鑑賞されていた)がこの役をどう演じるのか気になるところ。

上演時間1時間14分。


藤家と南風盛と中條

『蝶のやうな私の郷愁』



2024年2月16日(金)〜18日(日)
アトリエ春風舎

作:松田正隆
クリエーションメンバー:藤家矢麻刀、南風盛もえ、中條玲
スチール:小池舞 照明協力:緒方稔記
制作:中條玲

出演:
藤家矢麻刀(男)
南風盛もえ(女)

STORY
台風が近づく中、男が仕事から帰ってくる。女は食事の用意をしながら駅前に建設中のマンションの話を始め、見に行ってみないかと提案する。女も夕食を食べ始めるが、停電したため、2人でローソクを探す。そんな中、結婚する前、男が女の死んだ姉に土産として買ってきた貝殻が見つかる。男は海に行ったことがないという女を海に連れて行くと約束する。

1989年初演、1998年に大幅に改定された松田正隆さんの初期作を、稽古会を開いていた藤家さんと南風盛さんに中條さんを加えた3人で上演。タイトルは三好達治の詩からつけられたとか。

舞台は4方向に客席。大小の箱馬が積み重ねられ、テーブルや箪笥に見立てられる(テーブルには雲形の天板)。
登場人物は一組の夫婦のみ。やりとりは夕食時の他愛ないものながら(ソースではなく醤油が用意されていたりコロッケに輪ゴムが入っていたり)、近づく台風、停電による暗闇のためか、普段は触れないでいるような過去も明らかになる。
どうやら男は女の姉と結婚していたか恋人だったかで、妹である女と浮気していたらしい。姉が踏切の事故で亡くなった後、2人は結婚したのだが、女は姉が自分たちの関係を知っていたと聞いて自分のせいで死んだのではないかと悔やむ。
物語の大半が暗闇、あるいはローソクのほのかな灯りのもとで展開されるため、役者の力量が問われる作品となっているが、藤家さんも南風盛さんも微妙なバランスの上で成り立っている関係性をしかと表していた。
ただ一点、スーツの扱い方がぞんざいなのが気になる。これは他の作品でもよく見かけるのだけど、演劇関係者に毎日スーツを着て出勤した経験がある人が少ないせいだろうか。

連続テレビ小説『ブギウギ』
第20週「ワテかて必死や」(第96回)


作:櫻井剛
音楽:服部隆之
主題歌:「ハッピー☆ブギ」中納良恵、さかいゆう、趣里
語り:高瀬耕造アナウンサー

出演:
趣里(福来スズ子)
藤間爽子(タイ子)
小田ゆりえ(ラン)、辻凪子(マキ)、和海(タマ)、蒼昴(達彦)、要冷蔵(医者)、天野順一朗(映画会社社員)、今仲ひろし(ビーナスレコード社員)、岡田力(劇団モダンタイム劇団員)、澤井梨丘(花田鈴子・幼少期・回想)、清水胡桃(タイ子・幼少期・回想)、和歌山県のみなさん、スリーピース、テアトルアカデミー[加地湊・長谷川杏和・井上陽奏・中尾琉愛](福来愛子)、ルート、関西タレント事務所、日芸プロ、プロジェクト・コア、アートキャップ、アティチュード、舞夢プロ、グループエコー
田中麗奈(おミネ)
市川実和子(羽鳥麻里)
近藤芳正(山下達夫)
草彅剛(羽鳥善一)

STORY
スズ子は、タイ子と語り合う。夢を叶えたスズ子と、どん底にいる自分を比べると惨めで恥ずかしいというタイ子だったが…。一方、羽鳥善一は、作曲が思うように進まずに悩んでいた。そんな時、スズ子が新曲を早く作って欲しいとやって来る。スズ子からおミネの話を聞いた羽鳥は、その瞬間、新曲をひらめく。スズ子の新境地「ジャングル・ブギー」は、圧巻のステージとなる。【NHK公式サイトより】

惨めで恥ずかしいというタイ子に対し、「恥ずかしない!」と言うスズ子は、達彦を立派に育てたタイ子は本当にすごいとタイ子の手を取る。
スズ子は歌手になれたのはタイ子のお陰として、「ワテに義理返させてぇな」と言っていましたが、ここに来て第2回で鈴子がツヤから教わった「義理と人情」が生きてきますねぇ。また、「おせっかいが人を助けることもある」は第7回でのタイ子の台詞を踏まえてのもの。
お互いに「おおきに」と言いながら抱き合うスズ子とタイ子。いや、鈴子とタイ子。タイ子の前では「スターさん」ではなく、昔と変わらない「花田鈴子」なんですよね。

数日後、タイ子は医者の診察を受け、脚気と診断される。いつ治るのかと医者に迫り、焦りは禁物と言われるスズ子を見て笑みを浮かべるタイ子。
スズ子はおミネにタイ子のことを話す。おミネは夜の仕事を辞めたい女の子たちのために職業訓練所を作るのが夢だと語る。スズ子は「ワテに出来ることは何でも言うてください」と申し出るが、おミネは「アンタに出来ることはね、歌だよ」と返す。
おミネたちをワンマンショーに招待する約束をしたスズ子は、羽鳥を訪ねて新曲の催促。山のような仕事を抱えて行き詰まっていた羽鳥だったが、スズ子がラクチョウのおミネと友達だと聞き、以前作曲を依頼された歌詞を探し出す。その中の「ジャングル」という言葉を見た羽鳥はものの1時間で新曲「ジャングル・ブギー」を書き上げる。
この「ジャングル・ブギー」の作詞は誰あろう黒澤明監督。映画『醉いどれ天使』の挿入歌として用いられ、笠置シヅ子さんも出演しているんですよね。いちばん手軽に見られる笠置シヅ子さんのパフォーマンスかも。

 












連続テレビ小説『ブギウギ』
第20週「ワテかて必死や」(第95回)


作:櫻井剛
音楽:服部隆之
主題歌:「ハッピー☆ブギ」中納良恵、さかいゆう、趣里

出演:
趣里(福来スズ子)
藤間爽子(タイ子)
小田ゆりえ(ラン)、辻凪子(マキ)、和海(タマ)、蒼昴(達彦)、池田龍生(浮浪児)、宮崎奏太(同)、澤井梨丘(花田鈴子・幼少期・回想)、清水胡桃(タイ子・幼少期・回想)、又野暁仁(花田六郎・幼少期・回想)、キャストプラン、ピカロ、オフィス・ミナミカゼ、グループエコー、劇団ひまわり、ビックワンウエスト、西尾優希・鈴木来希・中井陽翔・白井孝誠[クレジットなし](少年)
田中麗奈(おミネ)

STORY
スズ子は靴磨きの少年・達彦に会いに行く。達彦にタイ子との思い出話をし、達彦からはタイ子の近況やこれまでのいきさつを聞く。なんとかタイ子の力になりたいと考えるスズ子は、おミネにある相談をすることにする…。おミネの協力でいつもより多くの売上を得た達彦だったが、タイ子はお金を返してくるよう言う。見かねたスズ子はタイ子の家の中に乗り込んでいく【NHK公式サイトより】

スズ子は靴磨きをしている達彦のところへ行き、靴を磨いてもらいながら、話をする。達彦はタイ子が「東京ブギウギ」が嫌いと言っていたことから、スズ子が福来スズ子だとピンと来たと話す。
父親が戦死したときもタイ子が病気になった今も誰も助けてくれなかったという達彦に、スズ子はいつでも頼ってくれていいと言う。スズ子にとってタイ子は心の友で、タイ子が花咲のことを教えてくれたことからすべてが始まった。タイ子は福来スズ子の産みの親だと言うスズ子。
そうなんですよねぇ。花咲には落ちましたけどね。笑

タイ子を助けたいスズ子はおミネに相談する。おミネは病気で寝たきりになり、幼馴染を避けるタイ子の気持を理解し、施しを受けるんじゃなくて自分の力で何とかしたいのだと話す。
それを聞いたスズ子はおミネに頼み、ラン、マキ、タマら夜の女たちに達彦の客になってもらう。夜の女たちも達彦が気に入った様子で、病院代が稼げたらタイ子も早くよくなると期待するスズ子。
とそこへ達彦の商売の邪魔をする少年たちが現れるが、おミネが凄みを利かせて追い払う。
お姉様方、達彦くんにはちょっと刺激が強すぎるのでは…笑。おミネもさすがの貫禄でしたが、ガキどももただおとなしく退散しないところがいいですね。

これまでにない売上げを持って帰宅する達彦。しかし、タイ子はどこかから盗んできたのではと疑う。外からその様子を見ていたスズ子はたまりかねて、本当に達彦が稼いだお金だと説明する。
それでもなおスズ子を他人扱いするタイ子に対し、スズ子は「思い出させたる」と子供の頃の話を始める。 「やめて!」と泣きながら言うタイ子を抱きしめながら、スズ子も「やめへん!」と泣きながら話を続ける。
タイ子は地べた這いつくばって生きている自分と夢を叶えた鈴ちゃんとでは天と地だと胸の内をさらけ出す。
日本中を元気にしたかに思われた「東京ブギウギ」もその歌が聞こえてくると惨めな思いにさせられる人もいたというわけですなぁ…。しかも「福来スズ子の産みの親」である親友がそんな思いにさせられていたとは。
ちなみにタイ子の初恋の相手は松岡くん(第3回での告白は名シーンでしたな)。名前忘れたりなや。笑

 












柚木彩見プロデュース第19弾

あっとほーむvol.16

『視界の先に』



2024年2月14日(水)〜18日(日)
TKJシアター

脚本・演出:業
音響・照明・舞台監督・美術・フライヤー・スチール:カンフミト
企画・制作・衣装・小道具・プロデュース:柚木彩見

出演(Bチーム):
九島勇(北野亮)
荏原汐里(亮の恋人・藤本美月)
岩邊諒(亮の高校時代の友人・石原圭吾)
小町なこ(同・青木彩香)
たかみやまほ香(同・菊池さくら)
重清もも子(亮の美大時代の友人・吉村菜緒)
小島美緒(菜緒のルームメイト・十城咲)

STORY
「結婚しよう」北野と藤本はそう話す。北野は、昔の同級生に「おめでとう」と告げられるが、親友の吉村には思いもよらぬことを言われる。そんな中、 藤本は道で唐突に「絵を描かせてくれ」そう告げられ…。【当日パンフレットより】

TKJシアター1周年記念公演。Wキャストのうち、Bチームを鑑賞。

舞台中央壁の前にテーブルと椅子2脚。壁の向こう側に冷蔵庫がある設定。下手側にソファ、スタンドライト。上手側が一段高くなっていて、ベランダや道路など別空間として使用。上手手前にハケ口。

物語はクリスマス、北野が恋人の藤本にプロポーズするところから始まる。北野は高校では美術部、その後、美大に進んでいたが、藤本が妊娠しているということもあり、絵を描くのは止めることにする。
北野と藤本の出会いは、駅前で北野が絵のモデルになってほしいと藤本に声をかけたことがきっかけなのだが、藤本に声をかけたのには理由があった。
どうにもこうにも北野の無神経さにモヤモヤ。藤本を高校の美術部仲間に会わせた際、藤本が高校時代に亡くなった北野の恋人ジュン(漢字不明)に似ていることが分かるのだけど、友人たちのリアクションは当然予想できたわけで、前もって話しておくなり、藤本には気取られないようにしたりいくらでもできそうなところを何もしない。
藤本が立ち去った後、転げ落ちるような物音がするが、藤本に何が起きたのかは明確にならないまま、北野が藤本の絵を描いて終わるのだけど、そこでも悲劇の主人公気取りなのが鼻につく。
北野の友人たちのおふざけのノリとかはよかったけど(特にカラコンを入れた彩香(さいか)役の小町なこさん)、やや消化不良。荏原汐里さんには役不足だった(本来の意味で)。

上演時間1時間38分。