新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

鴨リンピック2024

『青木さん家の奥さんⅡ(つう)』



【東京大会】
2024年8月22日(木)〜25日(日)
雑遊

作:内藤裕敬 演出:荒谷清水
照明:池田哲朗(㈱PAC West)
制作協力:岡本康子
企画製作:鴨リンピック実行委員会

出演:
渡会久美子[新宿梁山泊]
赤松由美[コニエレニ]
中道裕子
鴨鈴女[南河内万歳一座]

ギター:安田太

STORY
本番3日前に作・演出に逃げられた4人の女優。それぞれの不安を口にしつつ、残されたわずかな台本とビールケースを手がかりに青木さん家の奥さんが好みそうな舞台を作り上げていく。

1994年、南河内アマゾンとして内藤さん自身の演出で初演、その後、2008年からは鴨リンピックとして4年に1度上演を続けている作品。

男性キャストメインの『青木さん家の奥さん』は映像で観た記憶はあるが(関西ローカル局で深夜に放送されていた)、女性版の『Ⅱ(つう)』は初めて。
舞台の壁沿いには山のように積まれたビールケース。下手奥にギターの安田太さんが陣取り、上手奥、積まれたケースの上には聖火台に見立てられた中華鍋。

定刻から遅れること8分、法被姿で前説をしていた荒谷さんによる開会の言葉によって本篇開始。下手奥の小さな扉から4人が登場し、それぞれビールケースを椅子代わりにして着席。下手から渡会さん、中道さん、赤松さん、鴨さんの順。鴨さんはミルキーの服。
まずそれぞれがいかに不安か、いかに落ち着かないかなどを話してなぜか歌い、徐々に芝居づくりを始めていく。
本作には役名はなく、本人として舞台に立っている。必然的にそれぞれの役者の力量、個性、これまで培ってきたものが問われるわけだが、今回の4人はいずれも年季の違いを見せつけてくれた。
とりわけ新宿梁山泊の渡会久美子さんと元唐組の赤松由美さんの共演は胸熱で、文字通りスケールアップした赤松さんは汗びっしょりになっての熱演だった(新人扱いというのがまた可笑しい)。
青木さん家の奥さんが好みそうな芝居ということで、2.5次元だったりミュージカルだったりを試す中、ビールケースを並び替えてパリの街並みや王座に見立てるあたりは実に演劇的。俳優陣の奮闘ぶりもあいまって感動すら覚えるほどだった。

上演時間1時間20分。




『ロックよ、静かに流れよ』



1988年日本映画 100分
脚本・監督:長崎俊一
脚本:北原陽一 原作:吉岡紗千子
製作者:ジャニー喜多川、増田久雄
撮影:杉村博章 音楽:義野裕明
プロデューサー:佐倉寛二郎
音楽プロデューサー:蛎崎広柾
音楽コーディネーター:太田正一
照明:佐藤勝彦 録音:弦巻裕
美術:尾関龍生 編集:大島ともよ
助監督:崎田憲一、小林のぞみ
制作担当:磯村達也
演出助手:桜田繁、佐々木浩久

出演:
岡本健一(片岡俊介)
成田昭次(ミネさ・大峰たけし)
高橋一也[高橋和也](トンダ・戸田努)
前田耕陽(トモ・友成拓也)
あべ静江(俊介の母・片岡沙代)
渡辺正行(弁当屋、トンダの兄貴分・秋山)

内藤剛志(俊介たちの担任・野村教諭)

寺尾聰(毎朝新婦記者・磯山)

鈴木瑞穂(松本東学園校長)

内田あかり(たけしの母・ 大峰和子)
光GENJI(内海光司、大沢樹生、諸星和己、佐藤寛之、山本淳一、赤坂晃、佐藤敦啓[佐藤アツヒロ])[友情出演](代々木公園の少年たち)
磯崎亜紀子(俊介の妹・片岡みどり)
大寶智子(レコード店の女子高生・由美)
魁三太郎(レコード店店長・島崎)、清水幹雄(大川教諭)、諏訪太朗(石田教諭)、青木和代(弁当屋店員)、木村翠(トモの母)、白坂久世、寺島進(他校の不良生徒)、栗田幸博(同)、小西邦夫(同)、酒井和彦(同)、木崎弘正、塩原浩一、宮田康司

STORY
俊介は両親の離婚がきっかけで母・妹と共に東京から長野県松本市へ引越してきた。転校早々、ツッパリのミネさとトンダから喧嘩を売られたが、そんな関係もいつしか友情に変わっていった。ある日、仲間のトモが他校の生徒に絡まれ、それを俊介、ミネさ、トンダの3人が助けたことで友情は深まった。さらに4人を結びつけたのは、みんなロックが好きで“クライム”というバンドのファンということだった。そして、俊介らもバンドを結成することになり、楽器を買うためにアルバイトを始めたが、お金はなかなか貯まらない。そこで“郷土提言賞”という懸賞論文に応募して見事賞金30万円を手にするが、内容は見かけだけで不良と決めつけ真実を見極めようとしない教育の現場を批判したものだった。俊介らはバンドを“ミッドナイト・エンジェル”と名付けて練習に励み、デビューは憧れの“クライム”と同じ11月30日と決めた。しかし、不幸にもデビューを目前にしてミネさが、オートバイ事故で帰らぬ人になってしまう。俊介、トンダ、トモは3人でもバンドを続けるかどうか悩むが、デビュー・コンサートをミネさの追悼コンサートとすることにした。新聞社のホールを借りた3人は、ミネさの遺影を前にギンギンのロックを歌う。大勢の観客の中には俊介の母や妹、ミネさの母の姿もあった。そして3人はミネさの思い出を胸に“ミッドナイト・エンジェル”を成功させたのだった。【「KINENOTE」より】

男闘呼組、初主演映画。

松本市を舞台にした作品を調べていたら、この作品がヒット。もちろん存在は知ってはいたもののアイドル映画という認識でスルーしていたが、長崎俊一監督なら観てみようかということで鑑賞。
実話ベースということも知らなかったが、昭和末期の不良映画としての側面もある。男闘呼組は旧ジャニーズ事務所の中では硬派なイメージだったとは言え、親の前でも煙草を平気でパカパカ吸い、酒を飲み(酔っ払って帰ってきても叱られもしない)、万引きをし、更には暴行までする始末。
まぁその暴行されたレコード店の店長がというのも、女子高生に万引きの疑いをかけ、事務所で制服を脱がせるというかなりあぶない人ではあるのだけど。

ミネさがバイクの事故で死んでしまうというのも、成田昭次さんが同じ年に起こした交通事故を思い出させてしまいますなぁ(事故後の『夜のヒットスタジオ』は生で見ていた)。

渡辺正行さんは今のイメージと違ってちょっとカッコいい役どころ。寺島進さんが不良生徒役として出演しているというのも驚き。光GENJIも友情出演していたのね(公園でローラースケートをしていて、バックに「ガラスの十代」が流れる)。

 


『地面師たち』EPISODE#07

TOKYO SWINDLERS

 

 

2024年日本ドラマ 64分

監督・脚本:大根仁

原作:新庄耕「地面師たち」(集英社文庫刊)

音楽:石野卓球

企画協力:福冨薫

脚本協力:黒住光、楠野一郎、二宮孝平

プロデューサー:吉田憲一、三宅はるえ

撮影:阿藤正一、森下茂樹 照明:中村裕樹

美術:都築雄二、浅野誠 録音:渡辺真司

サウンドデザイン:石坂紘行 編集:大関泰幸

監督補:二宮孝平 助監督:北野隆

装飾:浜崎はるみ、田中宏、作田孝行、庄島毅

スタイリスト:伊賀大介 衣裳:荒木里江

ヘアメイク:宮内三千代

特殊メイク・造形スーパーバイザー:江川悦子

スタントコーディネート:出口正義、雲雀大輔

VFXスーパーバイザー:オダイッセイ(小田一生)

タイトルバック:中島賢二

スクリプター:井坂尚子

キャスティング:新江佳子

制作担当:弓田悠太、小山武秀

プロダクションスーパーバイザー:福島聡司、宿﨑恵造

 

出演:

綾野剛(交渉役・辻本拓海)

豊川悦司(リーダー・ハリソン山中)

小池栄子(手配師・麗子)

ピエール瀧(法律屋・後藤義雄)

染谷将太(ニンベン師・長井)

池田エライザ(警視庁捜査二課刑事・倉持玲)

山本耕史(石洋ハウス開発事業部部長・青柳隆史)

山田孝之(ナレーション)

松尾諭(石洋ハウス商業事業部部長・須永)、清水伸(青柳の部下・大谷)、松岡依都美(光庵寺住職・川井菜摘)、吉村界人(「CRAZY LOVE」No.1ホスト・楓)、アントニー(竹下の手下・オロチ)、オクイシュージ(情報屋・久保田昌志)、谷川昭一朗(社長・安倍川久雄)、小林麻子(なりすまし役・谷口淑恵)、安井順平(ABIRU HD社長・阿比留剛)、赤堀雅秋(地面師・西谷(佐伯一真))、田野倉雄太(石洋ハウス社員・二宮)、松本ししまる(石洋ハウス社員・屋敷)、青野竜平(石洋ハウス社員・原口)、塩顕治(石洋ハウス社員・山内)、杉崎シュンペーター(石洋ハウス社員・高須)、政修二郎(司法書士・児玉)、本田清澄(石洋ハウス会長・和田島努)、美乃すずめ(社長秘書)、池村匡紀(石洋ハウス社員)、吉田庸(石洋ハウス社員)、山本泰弘(石洋ハウス社員)、福田周平(法務局員)、廣川三憲(タクシー運転手)、早瀬マミ(後藤の妻)、竹井榛希(後藤の息子)、佐藤一和(後藤の息子)、荒谷清水(刑事)、植木紀世彦(刑事)、真田幹也(警官)、祐村要(警官)、山本篤(警官)、司容熱子(弁護士)、樋渡真司(弁護士)、石崎日梨(コンパニオン)、高崎かなみ(コンパニオン)、愛甲ひかり(コンパニオン)、佐藤さき(コンパニオン)、海津雪乃(コンパニオン)、ペルシ(作業服の男)、ファイサ(作業服の男)、ブリーズ(作業服の男)、関ヒロユキ、打田マサシ(レポーター)、浅野夏実(アナウンサー)、武谷公雄、上川路啓志、ベーコン(猫)、くろまさ(同)、クロちゃん(同)、ひげ(同)、あんず(同)、すもも(同)、いちじく(同)、ざくろ(同)

 

STORY

物件下見という緊迫した状況下で、機転を利かせた対応をしなければならない麗子。最後に笑うのは地面師たちか、それとも石洋ハウスか。【NETFLIX番組紹介より】


 2017年に起きた積水ハウス地面師詐欺事件を題材にした新庄耕さんの『地面師たち』を大根仁監督が映像化。全7話。


ついに最終回。

川井菜摘が沖縄から戻って来る前に何とか物件下見を切り上げたい拓海たち。寺の門を開け、中に入ったらそこへタクシーが――と思ったら、老夫婦。このパターンは絶対あると思ってましたよ。笑

そんな中、川井菜摘から送られてきたという文書を見せて、これはどういうことかと問い質す青柳。そこで麗子が一世一代の名演技。よよと泣き崩れ、本物の重要文化財である仏像を見せることで、その疑いを晴らしてしまう。

本物の川井菜摘が戻ってきて麗子が必死に門を閉めるあたりも含めて、終始ハラハラさせられました。


祝勝会の後、高層ビルの一室からガラス越しに階下の夜景を見ながら、愛人でもある社長秘書にバックで攻める青柳。これ、完全に大根監督の趣味でしょ。笑

詐欺だったことを知った時の青柳のリアクションもよかったですが、まさか車に轢かれてしまうとは……。


そして自分たちを破滅に追いやった地面師・西谷の陰にハリソン山中がいたことを知った拓海は、ハリソンとの直接対決へ。その前に後藤と麗子も亡きものに…(後藤の下の名前がようやく判明)。

長井に作らせた銃でハリソンを狙おうとするも、地面師にしてやると唆されたオロチに刺される拓海。そんなオロチは当然のようにハリソンに射殺され、拓海も――となったところへ倉持登場。カッコいいー。

ところで倉持っていかにも池田エライザさんのために作られたような、いかにも大根仁監督の好きそうな役だよなぁと思っていたら、やはり原作小説には登場しないオリジナルキャラクターだそうで。

辰も原作では死なないとのこと。『ダイ・ハード』も大根監督の趣味だろうなと思っていたのよね。


結局、ハリソンは爆発を逃れてまたハンティングに出向いておりましたが、いかにしてこの猟奇的な人物が出来上がったのか、前日譚も知りたいところ。

小説は今回の配信とタイミングを合わせるように続篇が出たようてすが、やはりこれも映像化するんでしょうかね。


 

 

 

KARA THE 5th JAPAN TOUR 2024

“KARASIA”



【東京(千葉)公演】
2024年8月17日(土)・18日(日)
Lala arena TOKYO-BAY

KARA:
ギュリ
スンヨン
ニコル
ジヨン
ヨンジ
ハラ

KARA、9年ぶりとなるKARASIAツアー。

KARA自体は昨年、横浜でのファンミに参加して以来ではあるが、KARASIAとなると2013年の2nd JAPAN TOUR名古屋公演以来。
この間、様々なことがあったKARAだが、ステージ上で歌って踊る彼女たちは軽々とその年月を越えてみせる。最初の衣裳は黒を基調としたもので(ジヨンはシルバー多め)、本当におよそ10年の月日が流れたのかと思うほど変わらぬ姿がそこにはあった。

3曲を終えてのMCでは、ヨンジが今日でちょうどKARAとしてデビューしてから10年だとアピール。他のメンバーが「後でサプライズしようと思ってたのにー」と言うと、「お姉さんたち朝から何も言ってなかったから!」と説明。
更にジヨンが珍しくちょっと日本語に詰まるとヨンジが「もっと日本語勉強してください!」とツッコミ。スンヨンも「今日は私の方が日本語うまいかも」と笑わせる。
メンバーは入れ替わっても、こうした和気藹々としたやりとりも変わらない。改めて10年前、加入してくれたのがヨンジでよかったと思わざるを得ない。

映像明け、今度はピンクの衣裳に身を包んで再登場(ギュリいわく「頑張りました」)。「Honey」「Pretty Girl」といった韓国語の曲でも客席が一体となって歌い、Bステージも使って「ジェットコースターラブ」。
今回、まさかまさかのアリーナ席最前列で肉眼ではっきりと捉えられるほどの近距離で、Bステージでは後ろ姿になってしまったのだけど、普段見ることはできない角度なので貴重と言えば貴重。
しかも、ソロコーナーで事件発生。ジヨンがBステージの通路からアリーナ席に降りてきて通路をぐるり。端にいた私も手を差し出し、ハイタッチ程度かなと思ったら、しっかりこっちを見て手を握ってくれて昇天。笑
今回、合間合間に5人がタイムカプセルを探しに行くというサイレント風の映像が流れていたのだけど、ソロコーナーの前後でまったく同じ映像が……あれは何の意図だったのだろう(ま、私は昇天していたのでそんなことはどうでもよかったのだけど。笑)。

そんな繰り返し映像の後、衣裳をチェンジした5人が座った状態で「HANABI」をしっとりと歌い上げ。
「Last Summer」に続いて新曲「Hello」では一列に並んだマイクスタンドでの歌唱。この曲はハラが生前に録音した音声が入っており、最後にステージ後方に5つの花束に囲まれたもう一本のマイクスタンドにスポットライトが当たる演出。場内からはハラちゃんコール。もうこんなん泣くしかないよね。
更に新曲「I Do I Do」披露の後(スンヨンはこの曲が一番好きになったとのこと)、お約束通りサプライズ(矛盾)でヨンジのデビュー10周年を祝うケーキ。場内からは「ホ・ヨンジ」コールが沸き起こり、ヨンジも感極まった様子。うんうん、何度も書くけど本当にありがとう。

ヨンジのデビュー曲「マンマ・ミーア!」、そして「ミスター」と続いて最後の曲前の挨拶。
ここではヨンジが10年前の自分の映像を見たらダメダメで「カッコいいヨンジを見せる!」と頑張ったことやジヨンがこの日を迎えるのが不安だったことなどを語るなど、メンバーそれぞれが自分の思いを時に感極まりながらも何とか日本語で伝えようとする姿にこれまた感動。

アンコールでは一転、ボールやらタオル?やらを客席に投げてこれまた大盛りあがり。バックダンサーも交えてステージをあちこち行くものだから目が2つでは足りん!
気がつけば3時間近くが経過。まさに夢のごとき瞬間でありました。カメラが入っていたので、今日のライブがソフト化されたら家宝にします。笑

公演時間2時間55分。

セットリストは以下の通り。

01. WHEN I MOVE (Japanese ver.)
02. Lupin
03. Pandora
04. Queens
05. Honey
06. Pretty Girl
07. ジェットコースターラブ
08. サマー☆ジック
09. Sunshine Miracle
10. GO GO サマー!
11. L.O.V.E <ヨンジ ソロ>
12. 好きな人がいること <ジヨン ソロ>
13. Daydream <ギュリ ソロ>
14. Guilty <スンヨン ソロ>
15. 5!6!7!8! <ニコル ソロ>
16. HANABI

17. Last Summer

18. Hello
19. I Do I Do(Japanese ver.)
20. マンマミーア!
21. ミスター
22. Happy Hour
【アンコール】
EN1. SOS
EN2. Rock U
EN3. STEP




 

 

 


 

『地面師たち』EPISODE#06

TOKYO SWINDLERS

 

 

2024年日本ドラマ 36分

監督・脚本:大根仁

原作:新庄耕「地面師たち」(集英社文庫刊)

音楽:石野卓球

企画協力:福冨薫

脚本協力:黒住光、楠野一郎、二宮孝平

プロデューサー:吉田憲一、三宅はるえ

撮影:阿藤正一、森下茂樹 照明:中村裕樹

美術:都築雄二、浅野誠 録音:渡辺真司

サウンドデザイン:石坂紘行 編集:大関泰幸

監督補:二宮孝平 助監督:北野隆

装飾:浜崎はるみ、田中宏、作田孝行、庄島毅

スタイリスト:伊賀大介 衣裳:荒木里江

ヘアメイク:宮内三千代

特殊メイク・造形スーパーバイザー:江川悦子

スタントコーディネート:出口正義、雲雀大輔

VFXスーパーバイザー:オダイッセイ(小田一生)

タイトルバック:中島賢二

スクリプター:井坂尚子

キャスティング:新江佳子

制作担当:弓田悠太、小山武秀

プロダクションスーパーバイザー:福島聡司、宿﨑恵造

 

出演:

綾野剛(交渉役・辻本拓海)

豊川悦司(リーダー・ハリソン山中)

北村一輝(情報屋・竹下)

小池栄子(手配師・麗子)

ピエール瀧(法律屋・後藤義雄)

池田エライザ(警視庁捜査二課刑事・倉持玲)

山本耕史(石洋ハウス開発事業部部長・青柳隆史)

山田孝之(ナレーション)

清水伸(青柳の部下・大谷)、松岡依都美(光庵寺住職・川井菜摘)、吉村界人(「CRAZY LOVE」No.1ホスト・楓)、アントニー(竹下の手下・オロチ)、オクイシュージ(情報屋・久保田昌志)、田野倉雄太(石洋ハウス社員・二宮)、松本ししまる(石洋ハウス社員・屋敷)、青野竜平(石洋ハウス社員・原口)、塩顕治(石洋ハウス社員・山内)、杉崎シュンペーター(石洋ハウス社員・高須)、政修二郎(司法書士・児玉)、廣川三憲(タクシー運転手)、伸哉(沖縄の男)、久獅(沖縄の男)、澤井一希(沖縄の男)

 

STORY

詐欺計画のキーパーソンが思わぬ事態に見舞われたことを知った地面師たちは、取引を成功させるために必死で策を練る。だが想定外の出来事はそれだけでは終わらず...。【NETFLIX番組紹介より】


2017年に起きた積水ハウス地面師詐欺事件を題材にした新庄耕さんの『地面師たち』を大根仁監督が映像化。全7話。


比較的おとなしめだった前回とは打って変わって、今回はいちばん短い配信時間ながら、濃かったですねぇ。

まずは直前にして川井菜摘の息子が死んでしまうというハプニング。いやまぁ、人の子供の死をハプニングと呼ぶのもどうかと思いますが、時間がない中、麗子が身代わりになることに。

当然、不満の声を漏らす麗子の髪の毛を摑み、「殺すよ?」「殺してみろよ!」といった麗子の口癖に釘を刺しつつ、1億円のボーナスを餌に身代わりを承諾させるハリソン山中。いやー、やはりこの人を怒らせてはいけませんね。


かくして石洋ハウスとの契約当日。

予定通り、本物の菜摘は楓と沖縄へ。

那覇空港を出迎えに来たのがなんと竹下。

人目につかないトイレに行き、金の入ったバッグを渡したと思いきや……あわれ、楓くん。しかしあんなところで血まみれになったら、いくら何でも足がつきそうなものですが。

菜摘は東京行きの航空券を渡されてとんぼ返り。

と、今度は竹下の前に……顔は映らずともハリソンであることは明確で、土地所有者本人確認中の拓海のもとにも連絡が。

竹下としては自分が殺されることを予期し、その前に計画を潰すつもりだったとのこと。

そんな竹下に「フィジカルでプリミティブでフェティッシュな」制裁を加えるハリソン。ほらぁ、だから怒らせてはいけないと言ったのに。

しかしこれだけグロいとさすがに地上波では流せないよなぁ。あと、竹下の顔を踏み潰したハリソン、明らかにエクスタシーに達していましたよね。変態やな。

車にGPSをつけて徐々に地面師グループに接近している倉持にもよからぬことが起こらなけばいいのだけど……。


本人確認が進む中、打ち合わせで聞かれた光庵寺創建の年を聞かれて答えにつまる麗子。後藤がいつものように「もうええでしょう」と遮ろうとする中、何とか拓海から助け舟を出されて窮地を脱する一同。

そんな中、予定より早く東京に着いた菜摘に逃げられ、タクシーで追いかけるオロチ。無理矢理、路線変更をさせようと焦った結果……。


さてついに最終回だ!


 

 

 

ガチゲキ!!復活前年祭

劇団だるめしあん

 『ラブイデオロギーは突然に』



2024年8月8日(木)〜18日(日)

アトリエ春風舎


作・演出:坂本鈴

舞台監督:稲元洋平
音響:大嵜逸生(くによし組)、深澤大青
音響操作:ワタナベユウタ(株式会社K-works)
照明:瀬戸あずさ(balance,inc.DESIGN)

照明操作:森山紗貴、武田弓果
統括:前原麻希(趣向) 宣伝美術:郡司龍彦
制作:類家アキヒコ 制作補佐:タナバタカナリア
HP製作:斧口智彦(Theatre 劇団子)

振付協力:河南由良(劇団だるめしあん)

衣装協力:オノマリコ(趣向)

企画制作:『ガチゲキ!!』実行委員会


出演:

田実陽子(脚本家・杉原美咲)
小泉まき[中野成樹+フランケンズ](原作者・藤井リカ)
陽向さとこ[エアフォルク企画](ヒロイン・雨宮桜子)
勝沼優[ブルーエール](ヒーロー・矢吹和也)
木内コギト[\かむがふ/](塾講師・佐伯啓介/パーティー会場のウェイター)
菅野貴夫(元テレビプロデューサー・櫻庭哲平/桜子の父・雨宮秀俊)


STORY

ケータイ小説を原作にしたドラマ『あまこい』の主題歌「スローモーション」をモチーフにしたドラマが月9で放送されることになり、関係者を集めたパーティーで原作者のリカと脚本家の美咲が顔を合わせる。その時、地震が発生。シャンデリアが頭上に落ちてきて、気がつくと2人はドラマの世界に転生していた。美咲はヒロイン・桜子の恋敵・小雪として、リカは桜子の親友・あかりとして悲劇的な展開を避けて桜子と和也を結びつけて物語を終わらせるべく奔走する。


『ガチゲキ!!復活前年祭』参加作品。


くによし組松森モヘーの小竹向原ボンバーズとも基本的には〈伏線編〉の内容はほぼそのまま〈ネタバレ編〉に組み込まれていたが、本作は〈伏線編〉の内容をダイジェスト風にしてから本篇開始。

〈ネタバレ編〉だけを観ても楽しめるようには作られているが、〈伏線編〉を見ておいた方が『あまこい』の内容がよりよく分かるようになっている(当日パンフで補完はされているが)。あと、ダンスは両方であったが、田実陽子さんと小泉まきさんが制服姿なのは〈伏線編〉のみ。笑

〈ネタバレ編〉ではドラマ『あまこい』の脚本家・美咲と原作者・リカがドラマの世界に転生してからに焦点が当てられ、ドラマではドラッグやらDVやら事故死やらといった過激な展開が待ち受けている2人がそれらを回避しつつ、桜子と和也が結ばれるように骨を折る。

怒濤の展開が凝縮されていた分、どうしても〈伏線編〉の方がテンポよく感じられたが、ドラマではありがちな女子高生と年上の男性(特に教師など)間での恋愛に異を唱えるなど、コメディ的展開の中にも筋の通ったものを感じた。

近年、男女の新しい関係を提示するドラマが増えていると近著『テレビドラマは時代を映す』で指摘されていた岡室美奈子さんにも本作を観ていただきたかったな。


〈伏線編〉でもその片鱗は見せていたが、陽向さとこさんのヒロインなりきり演技に拍車がかかり、闇落ちしてからのギャップも面白い。ダンスもお見事。

田実陽子さん&小泉まきさんも現実と役柄の間で葛藤する様をコミカルに演じていた。


上演時間1時間28分。



 

 

イキウメ

『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』



【東京公演】


原作:小泉八雲 脚本・演出:前川知大

ドラマターグ・舞台監督:谷澤拓巳

美術:土岐研一 照明:佐藤啓

音楽:かみむら周平 音響:青木タクヘイ

衣裳:今村あずさ ヘアメイク:西川直子

舞台監督:山下翼

プロップマスター:渡邉亜沙子

演出助手:山下茜 所作指導:山下禎啓

照明操作:溝口由利子 音響操作:鈴木三枝子

衣裳進行:馬場晶子 ヘアメイク助手:山﨑智代

宣伝美術:鈴木成一デザイン室

舞台写真:田中亜紀 写真提供:小泉八雲記念館

制作:坂田厚子 票券:宍戸円

制作デスク:谷澤舞 プロデューサー:中島隆裕

当日運営:保坂綾子(東京)


出演(数字はエピソード番号)

浜田信也(小説家・黒澤/2.夫/3.式部平内/5.萩原新三郎)
安井順平(警察官・田神/1.猟師/2.夫の友人/3.関内/5.医師・山本志丈)
盛隆二(検死官・宮地/1.住職/2.夫の友人/3.侍)
松岡依都美(旅館の女将/2.妻)
生越千晴(旅館の仲居甲/2.女中/3.平内の妻/4.舞子の姉/5.お露の侍女・お米)
平井珠生(旅館の仲居乙/2.後妻/4.黒澤の恋人・しのぶ/4.河野舞子/5.お露)
大窪人衛(旅館の仲居丙/1.若い僧/2.使用人/4.若き日の黒澤/5.新三郎の下男・伴蔵)
森下創(旅館の仲居丁/2.夫の友人/5.良石和尚)


STORY

とある旅館に泊まりながら、小説を執筆する黒澤。ある夏の日、旅行客の田神と宮地が部屋の準備ができるのを待っている間、この旅館が元々寺だったことを話したことをきっかけに3人でかわるがわる奇怪な話をすることとなる。そのうちに田神と宮地が警察関係者で、ある事件を調べていく中でこの旅館にたどり着いたことが分かりーー。


2009年、世田谷パブリックシアターの主催公演として初演され、後にシリーズ化もされた『奇ッ怪』第1作を劇団公演として上演。前回にも出演しているのは浜田信也さんと盛隆二さんのみ(もちろん別の役)。


舞台中央よりやや下がったところに中庭。下手側に祠があり、上手側に梅の木。開場時、梅の木の近くに天井から砂が落ち続ける。中庭の周囲を板敷きの床が取り囲み、出入りは下手奥から。また、左右の端に6本ずつ柱が立っている。


ベースとなるのは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談話「1.常識」「2.破られた約束」「3.茶碗の中」「4.お貞の話」「5.宿世の恋」の5篇。そこに語り手でもある黒澤を中心とした怪談話が繰り込まれるという構成。

これが実に巧みで、とりわけ「お貞の話」を黒澤自身の話に置き換え、更に「牡丹燈籠」に材を取った「宿世の恋」に繋げていくあたりはもはや名人芸。とりわけ新三郎=黒澤の切なる思いの強さに胸を打たれる。

昼に観た若手劇団も怪談を扱っていたが、やはりレベルが違う。ちなみにそちらではトーキング・ヘッズの名前が出ていたが、こちらはグレイトフル・デッド。これが最後の最後に効いてくる。


脚本もさることながら、簡素にして的確な舞台美術、照明、音楽、もちろん役者陣も言うことなしで、思わず溜め息が漏れるほど。

客演陣では最近、NETFLIX『地面師たち』で注目の松岡依都美さん(ABIRUホールディングスの社長もいるよ!)や生越千晴さんもよかったが、平井珠生さんが思っていた以上の活躍を見せていた。


上演時間2時間2分。



排気口新作公演

『暗愁行尸』



2024年8月15日(木)〜18日(日)

荻窪小劇場


作・演出:菊地穂波

音響プランナー:Mana-T

音響・操作操作:小山都市雄

照明:中村仁 宣伝美術:福西想人

制作:排気口 パンフレット:ボリボリ先生


出演:

中村ボリ(コンビニバイト・マレ林ポえ)

広野健至(フリーライター・松永タカシ)

倉里晴(タカシの彼女・レミコ)

東雲しの(逆流性食道炎アイドル・葵ミサエ/ヘルパー・山田アリサ)

坂本恕(黒子・山本晴敏)

坂本ヤマト(心霊タレント・マダムさちよ)

佐藤暉(怪談師・イワヤ玉手箱)


STORY

フリーライターのタカシは最恐心霊スポットとして名高いT市Sトンネルについて調べるうち、昔の心霊番組にたどり着く。それはアイドル・葵ミサエが黒子とともに司会を務め、霊感おばさんのマダムさちよや〈誇張怪談〉のイワヤ玉手箱とともにSトンネルを訪れるというものだった。取り憑かれたようにその映像をみるタカシを心配する恋人のレミコは同級生で怪談に詳しかったマレ林ポえに連絡を取る。一方、黒子の山本は自分が働く喫茶店に玉手箱を呼び出し、Sトンネルにまつわる怪異について調査を始める。


排気口、昨年4月に上演された『人足寄場』以来の新作ホラー長篇。ちなみにタイトルは「あんしゅうこうし」と読む。


舞台左右に台があり、それぞれにパイプ椅子が2脚ずつ。中央奥にある左右の台より高い台には布がかけられ、座布団が2つ。

ホラーとは言え、心霊番組の司会が黒子でまったく喋らなかったり、ゲストのマダムさちよ(漢字不明)もイワヤ玉手箱もクセが強かったり、更には端々に細かいギャグが詰め込まれてそれなりに楽しく観られた。

ちなみに言及される固有名詞等を列挙すると、サザンオールスターズ、トーキング・ヘッズ、上村一夫『同棲時代』、『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』、『菊次郎の夏』、『ハリー・ポッター』シリーズ、津山三十人殺しとなかなか幅広い(さすがに私も『デジモン』は分からなかった。細田守監督だけどね)。

それなのに終盤にかけて失速していったのは、トチりの多さ。気圧のせいなのかなんなのか、トチらなかった人がいないのでは?と思うぐらいにトチりちらかしていた。稲川淳二さんであっても、トチりながら怪談話したら怖さが半減されてしまうと思うのだけど、ホラーはコメディをやるよりも語り口が重要だなと再認識させられた。


そんな状態ではあったが、二役を演じる東雲しのさんは印象に残った。


上演時間1時間36分。


 


『地面師たち』EPISODE#05

TOKYO SWINDLERS

 

 

2024年日本ドラマ 44分

監督・脚本:大根仁

原作:新庄耕「地面師たち」(集英社文庫刊)

音楽:石野卓球

企画協力:福冨薫

脚本協力:黒住光、楠野一郎、二宮孝平

プロデューサー:吉田憲一、三宅はるえ

撮影:阿藤正一、森下茂樹 照明:中村裕樹

美術:都築雄二、浅野誠 録音:渡辺真司

サウンドデザイン:石坂紘行 編集:大関泰幸

監督補:二宮孝平 助監督:北野隆

装飾:浜崎はるみ、田中宏、作田孝行、庄島毅

スタイリスト:伊賀大介 衣裳:荒木里江

ヘアメイク:宮内三千代

特殊メイク・造形スーパーバイザー:江川悦子

スタントコーディネート:出口正義、雲雀大輔

VFXスーパーバイザー:オダイッセイ(小田一生)

タイトルバック:中島賢二

スクリプター:井坂尚子

キャスティング:新江佳子

制作担当:弓田悠太、小山武秀

プロダクションスーパーバイザー:福島聡司、宿﨑恵造

 

出演:

綾野剛(交渉役・辻本拓海)

豊川悦司(リーダー・ハリソン山中)

北村一輝(情報屋・竹下)

小池栄子(手配師・麗子)

ピエール瀧(法律屋・後藤)

池田エライザ(警視庁捜査二課刑事・倉持玲)

リリー・フランキー(警視庁捜査二課刑事・下村辰夫)

山本耕史(石洋ハウス開発事業部部長・青柳隆史)

山田孝之(ナレーション)

川上麻衣子(辰の妻・下村佐恵子)、松尾諭(石洋ハウス商業事業部部長・須永)、清水伸(青柳の部下・大谷)、谷川昭一朗(社長・安倍川久雄)、松岡依都美(光庵寺住職・川井菜摘)、吉村界人(「CRAZY LOVE」No.1ホスト・楓)、アントニー(竹下の手下・オロチ)、小林麻子(なりすまし役・谷口淑恵)、猪俣俊明(拓海の父・辻本正海)、安井順平(ABIRU HD社長・阿比留剛)、岩谷健司(下村の上司・羽場理事官)、オクイシュージ(情報屋・久保田昌志)、赤堀雅秋(地面師・西谷(佐伯一真))、田野倉雄太(石洋ハウス社員・二宮)、松本ししまる(石洋ハウス社員・屋敷)、青野竜平(石洋ハウス社員・原口)、塩顕治(石洋ハウス社員・山内)、杉崎シュンペーター(石洋ハウス社員・高須)、水木薫(拓海の母)、清水葉月(拓海の妻・辻本詩織)、渋谷そらじ(拓海の息子・辻本俊海)、市原茉莉(辰の娘・友里)、斉藤佑介(友里の夫)、鈴木玲奈(辰の孫)、大野夏希(辰の孫)、嶋村太一(石洋ハウス社員)、粕谷吉洋(石洋ハウス社員)、佐藤まんごろう(カフェ店員)、岡太郎(石洋ハウス取締役・西園寺)、山下秀光(石洋ハウス取締役・大友)、志村勝(石洋ハウス取締役・南)、小林やすひろ(石洋ハウス取締役・山室)

 

STORY

大きなリスクがあるにもかかわらず、同僚の忠告を無視して決裁を推し進めようとする青柳。一方倉持は、ハリソンの周辺を本格的に探り始める。【NETFLIX番組紹介より】


 2017年に起きた積水ハウス地面師詐欺事件を題材にした新庄耕さんの『地面師たち』を大根仁監督が映像化。全7話。


第5話はクライマックスに向けての前振りといった感じで、ややおとなしめの内容。


まずは倉持。

辰さんの葬式が執り行われる中、自殺とは到底思えない倉持は羽場理事官に掛け合うもケータイの履歴さえ調べる必要はないと言われてしまう始末。

妻・佐恵子は遺書の筆跡は確かに夫のものだが、文面には違和感ありということで、何かあった時に連絡しろと言われていた情報屋・久保田の連絡先を倉持に手渡す。何でも辰さんは羽場のことを嫌っており、捜査二課に勤めていた佐恵子もセクハラを受けていたとか。

その情報屋がオクイシュージさんだー。キャラの濃さが滲み出ておりますなぁ。


一方、地面師たちは川井菜摘のなりすまし役も決まり、竹下もギャラの折り合いがついた様子。さすがにまだ消されていなかったか。笑

視察当日も楓が菜摘を沖縄に連れて行く算段。楓が沖縄出身でハンバーガーショップを開きたいと思っていると嘘八百を並べ立てられて、コロッと信じてしまう菜摘。まぁ惚れ込んだ相手にここまで言われたら、体もうずいてしまいますわな。


そして石洋ハウスでは至急案件であり、社長決裁案件でもあるとして、土地の買収を急ぐ青柳。

視聴者としてはアホやなぁ、須永の言うことを聞いておけばいいのにと思わずにはいられないところですが、もはや周りの声、ましてやライバル関係にある須永の声など受け容れるはずもなく。

社長は社長で取締役が稟議書に判を押してくれないと相談され、自分が現地視察をしたとなれば判を押さざるを得ないだろうと細工。

あーあ、やっちまったな。


さてそんな中、興味深かったのがポートエレンの価値をめぐって交わされるハリソンと拓海の会話。

土地が人を狂わせる…まさにキャッチコピーの「土地狂ってる」ですが、かつて地面師(本名は佐伯と判明)に騙され、妻と息子まで失うことになった拓海にとっては耳の痛い言葉かもしれませんな。

最後、妻と息子の墓参りに来た拓海の前に現れる倉持。事件のことを聞かれても当然白を切るわけですが、さてどうなりますか。


 

 

 

ガチゲキ!!復活前年祭

松森モヘーの小竹向原ボンバーズ

『熱海占い学園伝説からくり人形殺人温泉』



2024年8月8日(木)〜18日(日)

アトリエ春風舎


作・演出:松森モヘー

舞台監督:稲元洋平
音響:大嵜逸生(くによし組)、深澤大青
音響操作:ワタナベユウタ(株式会社K-works)
照明:瀬戸あずさ(balance,inc.DESIGN)

照明操作:森山紗貴、武田弓果
統括:前原麻希(趣向) 宣伝美術:郡司龍彦
制作:類家アキヒコ 制作補佐:タナバタカナリア
HP製作:斧口智彦(Theatre 劇団子)

企画制作:『ガチゲキ!!』実行委員会


出演:

遠さなえ(遠藤あゆみ/部長の部下・なぎさ/脱出ゲーム参加者・山崎/あゆみに似た通行人 他)

小嶋直子(あゆみの母・ももえ/月9の妖精/脱出ゲーム参加者・江頭 他)
佐藤昼寝[昼寝企画](広島県警刑事・石坂シィンベエ/ひかるの父・たつろう/名探偵の孫・東麻生原くにひこ/通行人/稲垣五郎丸 他)

加藤睦望[やみ・あがりシアター](あゆみの担任・吉岡先生/通行人B/医者/警視庁部長刑事・草なぎ伝三郎/脱出ゲーム参加者・森永/通行人1/友達1/先生2/傀儡師・園田さん/リコーダー 他)

松森モヘー(転校生・星野/通行人 他)


STORY

熱海占い学園に通うあゆみのクラスにある日、転校生がやってくる。超能力があるという転校生によって姿を消されてしまうあゆみ。母・ももえは担任に相談するも埒が明かず、失踪した娘を必死に捜すが、残された余命はわずかだった。


『ガチゲキ!!復活前年祭』参加作品。

舞台両端の壁沿いに箱馬10個。

シーンによって移動させて使用。


まだ劇団だるめしあんは観ていないが、おそらく今回の3つの団体の中でもっとも〈ネタバレ編〉での印象が変わらないのが小竹向原ボンバーズであろう。

〈伏線編〉の勢いそのままに、モヘーさんが勢いでつけたタイトルと月9というテーマ、声の大きさの制限という三つ巴と格闘しつつ、時にはメタ演劇的に脱線しつつ、客席を爆笑の渦に巻き込んでいく(特に今日は反応がよかった)。

今後、月9を見るたびにこの作品のことを思い出しそう。笑


遠さなえさん(ピンク)、小嶋直子さん(ベージュ)、加藤睦望さん(グリーン)、佐藤昼寝さん(レッド)、そして松森モヘーさん(ブルー)の声デカ戦隊は上演時間が約3倍になっても一向にパワーダウンする気配なし。遠さなえさんが今回の舞台で俳優業を無期限活動休止されるそうなので、この座組がもう見られないのは残念(いつか復帰される際は…と一縷の望みは抱きつつ)。


上演時間1時間17分。